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株式

【株】米国格下げとな?

大手格付け会社ムーディーズは16日、米国の発行体格付けの引き下げを公表しました。過去の格下げ時の経験から、今回も市場では通貨安、債券安、株安のトリプル安を警戒する声が出ています。歴史は繰り返すといいますが、さて、今回はどうでしょうか?

ひとつ、頭を冷やして考えましょう。まず、米国格下げですが、これは何も今に始ったことではありません。2011年のS&P、2023年のフィッチが既にAAAからの格下げを実施済です。それから、格下げによる米国の信用低下ですが、これもトランプさんのチャランポランな関税政策のせいで海外投資家の信用はとっくに失っています。また、格下げで米国債券が売られれば、トランプさんが最も気にしている長期金利が上がってしまいます。そうなれば例のトランププットが発動され、株価の下支えが期待できます。

このように考えてくると、一瞬トリプル安があったとしても長続きはしないのではないかと思えてきます。実際、現在の為替の水準は1ドル=145円程度とやや円高に振れていますが、パニック的な動きにはなっていません。

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閑話休題

【閑】ゴールデンウィーク2025

人によっては11連休となった今年のゴールデンウィーク。皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか。私はカレンダー通りの休みでしたので、家族サービスで日帰りのドライブに行ったくらいです。あっ、それから、夏山に向けたトレーニング山行として、長野県と岐阜県の県境にある小秀山(1,982m)に登りました。この山は全国的な知名度は今いちかもしれませんが、日本二百名山に数えられる名峰です。コースタイムは山頂まで登り5時間+下り3時間、距離にして往復で10km、駐車場からの標高差は1,200mです。(二ノ谷ルート) 途中、「かもしか渡り」といわれる垂直な7mの登りがあったり岩場があったりと、ちょっと怖いけど楽しいコースとなっています。

二ノ谷ルートは乙女渓谷のキャンプ場を起点に、幾つもの滝に沿って木道の散策路をしばらく歩きます。そして、散策路が終わるといきなりの急登です。私は去年、一昨年とGWに小秀山に登っており、今年で3度目です。そのため、タフではあるものの勝手知ったるルートとして、リラックスして登山道を登っていました。でも稜線に出た瞬間、そんなお気楽さは吹っ飛びました。なんと、そこはまさかの銀世界。過去2度の山行では見たことのない光景です。私はしばらくツボ足で登っていきましたが、第一高原を過ぎたあたりから堪らずアイゼンを付けました。しかし、慣れない雪道は容赦なく私の体力を奪っていきます。また、雪に隠れて登山道が見えないため、私は何度もルートを外れ、正規のルートに戻るまで無駄に時間を費やしました。
結局、第三高原を過ぎ山頂直下に辿り着いた時点で、私には山頂まであと100mを登る体力も時間もないと判断し、撤退することを決めました。

来た道をとぼとぼと帰る途中、雪道を軽快に登ってくる私と同世代と思しき男性とすれ違いました。「モンスターや!」そう感じました。私もそこそこ体力に自信はあったのですが、自分の力不足を痛感する山行となりました。








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保険

【保】ペット保険

VIX指数が30を割り込み、漸く米国株式市場も落ち着きを取り戻しつつあるようです。株式市場の暴落には無関心なトランプ大統領ですが金利の上昇は気になるようで、米国債券市場が下落するとトランププットを発動するパターンが続いています。だったら、円高の進行が心配ではありますが、ドル円142円近辺で米国10年債4.2%の水準は「買い」だと思うのですが、どうでしょうか? 昨年ドル円155円~160円のとき、ユーチューブで盛んに米国債の買いを煽っていたオジサン、どこへ行ちゃったんでしょう。
さて、相場の話はこれくらいにして、今日はFPジャーナル4月号の「誌上講座」で取り上げられていたペット保険の話をしたいと思います。

ペット保険は主に犬や猫を対象に、ペットの医療費(入院・通院・手術)を補償する保険です。犬の噛み付き賠償や火葬費用をカバーするものもあります。人の場合は1日あたり1万円という様に定額で補償しますが、ペット保険では負担した医療費の一定割合(50%とか70%とか)を補償する形になります。また、ペット保険には付帯サービスが付いていることが多く、獣医師による24時間健康相談や各種優待サービスなどもあります。

次にペット保険を比較・検討する上で主な注意点とポイントです。ペット保険には加入可能年齢があるため、いつでも新規加入ができるわけではありません。各社で違いはありますが、加入可能なペットの年齢の上限は7歳前後から12歳までとなっているケースが多いです。また、生後所定の期間は加入できなかったり、加入後に一定の待機期間が設けられていたりします。入院や手術が中心で通院は補償しないものや、入院や通院、手術等について年間で利用できる上限額や回数が設定されているものもあります。
ペット保険は保険期間が1年更新で、終身補償でないのが一般的です。したがって、保険料は一定の頻度で上昇していきます。そのため、保険の選択にあたっては、目先の保険料だけでなく、将来の保険料負担がどうなるかチェックすることが重要です。また、人の更新型医療保険の場合は、所定の年齢まで自動更新となることが一般的ですが、ペット保険では完治が困難な慢性疾患のようなケースでは更新できないことがあるので要注意です。

尚、保険会社への保険金請求は、一旦被保険者が自分で動物病院に医療費を支払った後で、改めて電話やWEB等で行うことになります。

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株式

【株】プラチナNISA

4月26日の新聞各紙は、金融庁が高齢者向けのNISAを創設する方向で検討に入ったと朝刊の第一面で報じました。2026年度の税制改正要望に織り込む方向とのことで、運用益等を分配金として毎月払い出す「毎月分配型」の投資信託を「プラチナNISA」と銘打ち、65歳以上の高齢者に限り利用できるようにするそうです。これは年金に頼る高齢者の「NISA内の投信を毎月の生活費に充てたい」というニーズに応えるもので、NISA口座の資産を売却せずに分配型に移行できる「スイッチング」も1回だけ認められる予定です。

関係者の中にはプラチナNISAの創設を、「長期の資産形成と逆行する」と指摘する向きがあるようですが、私は違うと思います。老い先の限られた年金生活者を前に、「投資は長期目線でやるべき」と説教することがおかしいことに気が付かないのでしょうか。私はプラチナNISAは資産運用のための商品ではなく、資産管理のための商品だと思います。つまり、若年期から中年期で積み上げてきた資産を高齢期において効率的に回収するためのものです。従来はNISA内の投信の出口は、投資家が自分の判断でタイミングを見て売却するしかなかったわけですが、今後はプラチナNISAにスイッチングすることで機械的にキャッシュを回収することができるようになります。投資家の選択肢が増えるという意味で大変有意義だと思います。

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株式

【株】トラの首に鈴を付ける

昨日も日経平均は大幅安。トランプ関税のダメージ、留まるところを知らずです。この先、世界経済はどうなるのか。日本株はどこまで下がるのか。誰もが知りたいところだと思いますが、今みたいにVIX指数が50を超えるようなカオス状態で、あーだこーだ言っても始まりません。理屈が通じる相場じゃないんです。ヘッジファンドのマージンコール精算が一段落するまで混乱は収まりません。理屈を語るのは、VIX指数が30を割り込んでからでいいでしょう。

最近の相場暴落というと、記憶に新しいところではコロナショックがあります。パンデミックの感染拡大により、2020年3月に日本株は約31%下落しています。また、リーマンショックでは2008年9月のリーマンブラザーズ破綻をきっかけとした金融システム不安から、世界株は約45%、日本株も約32%下落しました。この2つのショックでは当局が打ち出した対策が奏功し、市場の混乱は比較的短期間で収束に向かいました。コロナショックではロックダウンや非常事態宣言の発令に平行し、無料でワクチン摂取を進めました。リーマンショックでは、経営不振に陥った金融機関に公的資金を注入するとともに、金融市場へ大量のマネーを供給して市場の安定を図りました。

しかし、今回のトランプショックの悩ましいところは、危機の元凶が米国大統領その人である点です。今回ばかりは米国政府もFRBも、有効な対策の打ち出しようがありません。とにかく、このアフォな関税を一刻も早くトラさんに引っ込めてもらうしかないのです。関税はインフレというチャネルを通じて、米国民の首をじわじわ締め上げていきます。そうでなくてもコロナ以降インフレに辟易している米国民が、さらなるインフレに我慢できるはずがありません。あとは、米国民にトラさんの首に鈴をつけてもらう。私たちはそこに期待しましょう。

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閑話休題

【閑】マウントを取ることの愚かしさ

お酒の席などでマウントを取らないと気の済まない人、いますよね。特に、男性。これは生存競争を勝ち抜くための動物の本能なのかもしれませんが、こと人間社会においては、マウントを取ることが他者との競争において有利に働くのか、私は疑問に思っています。今回は、株式投資家の目から見た、マウント取りの功罪について考えてみます。

私たちが「この人すごい!」と他人を評価する場合、私は2通りのケースがあると思っています。ひとつは、100mを9秒台で走ったり、甲子園に出場したり、東大の理Ⅲに合格するような人のケース。つまり、自分では到底かなわない、圧倒的な才能を持っているスーパーマン(ウーマン)のケースです。そして、もうひとつは一般人のケースで、事前に自分が認識していたよりも、その人の実際の能力が高いケースです。

2番目のケースですが、例えばこんな感じです。最近あなたの職場に後輩社員が転勤してきたとします。あなたは彼のことを良く知りません。彼は歓迎会の席で下ネタで一人盛り上がり、その後酔い潰れてしまいました。その姿に呆れたあなたは、彼のことを「イケテナイ奴」と認識しました。ところが、翌日、彼は飛び込み営業で大口の契約を取ってきたのです。ビギナーズラックといえばそれまでですが、あなたは「結構やるじゃん」と驚き、彼を「そこそこイケテル奴」と評価し直したのです。ここでのポイントは、あなたは彼を絶対的な能力の高さから評価したわけではなく、現実と認識のギャップ(=現実-認識)、つまり相対的な能力の高さによって評価している点です。

同じようなことは株式投資の世界でもあります。株式の短期的な評価は、企業業績に関する投資家の事前予想と実際の決算のギャップ(実際の決算-投資家の決算予想)に依存します。最高益をたたき出した企業の株価が、決算発表の当日に急落する姿は今や日常茶飯事です。この場合、当該企業の株価に事前に織り込まれた決算の予想が高水準過ぎて、実際の決算がそのレベルに達しなかったことが原因だったりします。日本企業が決算発表で次年度決算を保守的に予測するのも、投資家が織り込む決算予想のハードルを下げたいがためです。

一般人がマウントを取るのは、自分の評価(=現実-認識)を上げることが目的だと思われます。しかし、実際はマウントの効果で先に(他人の自分に対する)認識が上がってしまい、現実と認識のギャップが小さく(場合によってマイナスに)なることで、かえって自分の評価を下げることになりがちです。(※) 皮肉としか言いようがありません。
(※)現実-認識↑=評価↓ 

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年金

【年】年金をもらう

以前から気になっていることがあります。皆さん65歳になって年金を受け取るようになると、決まって「年金をもらう」とおっしゃいます。私はこれが気になって仕方がないんです。だって、年金の保険料を負担しているのは皆さん自身ですよ。自分で払った保険料を後になって年金として受け取るのに、「もらう」は変じゃないですか? 年金を受け取るのは皆さんの当然の権利です。預金が満期になって戻ってきても、銀行から「預金をもらう」なんて誰も言いませんよね。国もこのあたりの国民の誤解を解けばいいものを、わざと放置しているような気がします。国民の方で年金の受け取りを「もらう」と勘違いして、勝手にありがたがってくれれば国としてはラッキーですから。

ところで、英語では年金の保険料をcontribution、給付をbenefitといいます。contributionには寄付という意味もあり、benefitには恩恵という意味もあります。年金の起源をネットで検索してみたのですが、はっきりしたことは分かりませんでした。しかし、恐らく欧米で教会が信者から寄付を募り、遺族や高齢者等の恵まれない人に施しを行ったことが起源になっているような気がします。もし、そうであれば年金を「もらう」という表現は妥当です。しかし、現在の日本では、年金の原資を負担しているのは国民自身。ですから、「もらう」という表現は、もうやめにしませんか。そして、自分が負担した保険料の使い道を国に一任せず、ズルされないようにきっちり払い戻しを受けるまで、国の動きをチェックする心構えが必要だと思います。

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株式

【株】逆億り人

昨日も日経平均は派手に下げましたね。どこまで下がることやら。運用資産を億単位で減らした人のことを逆億り人というそうですが、1億も資産のない私には最初から縁のない話です。でも、今回の下げによる損失率でみれば、逆億り人も私も痛いことに変わりはありません。ただ、1990年代から株式投資を行ってきた者としては「ああ、またか」と思いつつ、「ジタバタしても仕方ない、そのうち戻るさ」と楽観もしています。

今まで威勢のよかったユーチューバーやブロガーの中には、今回の下げのダメージで急に口を閉ざしてしまう人もいますが、一方で相変わらず情報発信を続ける人もいます。皆さんにはこの機会に、本物のユーチューバー・ブロガーを見極めて頂ければと思います。

皆さんの中には「なんでお前は平気でいられるんだ」と思われる方がいらっしゃるかも知れません。その理由ですが、ひとつには、株式市場において直近高値から10%程度の下げは1年から1年半おきに普通に起きることで、驚くには当たらないからです。そして、もうひとつ。私が日本そして米国の経済成長のポテンシャルに信頼を置いており、日米の株式市場の長期的な成長を楽観しているからです。
このような株式市場のストーリーが信じられないという方は、残念ですが早々に株式投資から撤退されることをお勧めします。(ご参考:金融経済教育の前にすべきこと「年1時間で億になる投資の正解」を読んで


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ライフプラン

【ラ】健康寿命の違和感

男性72.57歳、女性75.45歳。これが令和4年の日本人の健康寿命だそうです。てことは、今61歳の私は、あと10年ほどしか健康な状態でいられないということ? 冗談でしょ。私、全然心の準備できてませんけど。この前、社員が70歳まで働けるように人事制度を変えたと、会社から説明を受けたばかりだし……。皆さんも、男性72歳、女性75歳が健康寿命だなんて言われた日にぁ、ビックリ!ですよね。そこで、今回はこの健康寿命を巡る違和感について考えてみたいと思います。

まず、健康寿命の定義ですが、「健康寿命とは、ある健康状態で生活することが期待できる平均期間を表す指標です。これは、算出対象となる集団の各個人について、その生存期間を『健康な期間』と『不健康な期間』に分け、前者の平均値を求めることで表すことができます。」とあります。(厚生労働省 e-ヘルスネット) 次に、健康寿命の算出方法ですが、「日常生活に制限があること」を不健康と定義し、3年ごとに実施される「国民生活基礎調査」で得られたデータをもとに算出するとのこと。具体的には、「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問に対し、「ない」という回答を「健康」とし、「ある」という回答を「不健康」として算出するそうです。

この説明を読んで、私は違和感の原因が何となく分かりました。「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか?」と聞かれて、「ない!」と即答できる高齢者がどれだけいるでしょうか。人間70歳にもなれば体のひとつやふたつ、調子の良くない所があるはず。「ちょっと膝が~」とか「ちょっと腰が~」とか。恐らく、ほとんどの高齢者が色々考えたあげく、「ある」と回答するでしょう。結果、日常生活にほとんど制限がなく元気な高齢者も、「不健康」にカウントされることになります。つまり、健康寿命は実態より若年方向にバイアスがかかった形で算出される可能性が高いのです。

明石市は上記の厚生労働省方式について、「3年に1回行われる全国的なアンケート調査(国民生活基礎調査)によって得られた『日常生活に制限のない期間の平均』から算出されて健康寿命は、回答者の主観が反映される傾向がある」として、独自に「日常生活動作が自立している期間の平均」から健康寿命を算出しています。具体的には、要介護2級から5級の認定者を「不健康」、それ以外を「健康」とするもので、厚生労働省方式に比べ客観性が高いと言えます。
ちなみに、明石市方式での健康寿命(令和元年)は男性79.98歳(平均寿命81.32歳)女性84.20歳(平均寿命87.24歳)となっており、平均寿命と対比しても違和感の少ないものです。
これを見て、私の心臓のバクバクも少し収まりました。


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株式

【株】シニア向けNISA二段重ね活用術

現在61歳の私は某社で嘱託として働いていますが、多くの会社員の方が定年退職後も嘱託として継続勤務されていることと思います。今や65歳まで働くのは当たり前。70歳まで働くという元気なシニアの方も多いです。ただ、問題はシニアが手にする給料が、現役当時に比べ大幅に減らされてしまうことです。そのため、生活費に充てるキャッシュが不足する場合、年金や資産運用でカバーする必要が生じます。今回はそんなシニアの事情に合わせたNISA活用術を考えてみたいと思います。

シニアにとって資産運用の目的は将来の資産形成ではなく、足下での生活費の原資となるキャッシュフローの獲得です。私はそんなシニアの方に、まずはNISAの成長投資枠での高配当株投資を提案します。株価はしばしば企業の業績とは無関係に、市場参加者の気分(PER)によって激しく変動します。一方、株式の配当は企業の業績(EPS)に応じて変動し、株価の影響は直接には受けません。高配当株に投資すれば、(企業の業績に大きな変動がないかぎり)株価が上がろうと下がろうと、安定したインカムゲインを手にすることができます。

しかし、高配当株も企業業績が悪化すれば減配、最悪、無配に転落します。そのため、企業業績の悪化時への対応も考えておきたいものです。そこで、もうひとつの提案です。それは、NISAのつみたて投資枠で株式インデックス(TOPIX)投信に投資するのです。そして、TOPIXの予想PERが例えば17倍とか18倍(※)を超えるような過熱したマーケットになったら、投信の一部を売却しキャッシュでプールしておきます。先々、企業業績が悪化して配当が減少した場合は、キャッシュを取崩しインカムゲインの減少分を補うようにします。このように、成長投資枠の高配当株でベースとなるインカムゲインを確保しつつ、配当減少時にはつみたて投資枠のキャッシュを注入することで、より安定したキャッシュフローの獲得が期待できるという仕組みです。
(※)一般的にPERの適正水準は15倍前後とされます。