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閑話休題

【閑】お札とお札

私は毎朝、ある女性行政書士のブログを訪問するのが日課となっています。それは、私がいつか行政書士の試験にチャレンジしたいと思っていることもありますが、彼女のちょっと斜に構えた、そしてちょっと皮肉めいたドライな語り口が無性に好きだからです。昨日の朝もブログを訪問し、いつものように最新の記事を読み始めたのですが、何ともいえない違和感を感じました。記事はこんな書き出しで始ります。「そういえば、お札を新しいものに替えていなかった。外出したついでに神社に寄って、お札を新しいものに替えよう。」 私はてっきり、お札(さつ)を新札に交換する話かと思いました。テレビで諭吉から栄一さんにチェンジするというニュースをやってましたから。(※) でも、それなら行き先は銀行のはず。なんで神社なの? 確かに神社ならお賽銭のお札はいっぱいありそうだけど、旧札を新札に両替してくれるなんて聞いたことないし……。これが私の感じた違和感の正体です。そして、私の鈍い脳みそが、お札=おふだ、であると認識するまで10分かかりました。
(※)新札の発行は7月3日です。

でも、言い訳するわけじゃありませんが、お札(さつ)とお札(ふだ)、この二つをフリガナなしで並べられたら、正直、区別つきませんて。悔しいのでググってみたら、私と同じようなコメントがいっぱい出てきました。中には、最中(もなか)と最中(さいちゅう)も区別できないぞ、との意見もありましたが、こちらは前後の文脈から判断できそうです。

お札(さつ)とお札(ふだ)の話に戻ります。この二つが同じ文字なのは、もともとの由来が同じだからだそうです。(ネット記事の受け売りですが。) 現代社会では、モノやサービスの代金はお札(さつ)で「支払い」ますが、これは「お祓い」に由来する言葉とのこと。その昔、神社では人の罪やケガレのお祓いをヌサという紙(または麻・木綿)を使って行ったあとで、領収書兼お守りとして依頼人にお札(ふだ)を渡していました。このヌサが、現在のお札(さつ)に発展したと考えられています。このように、お札(さつ)もお札(ふだ)も、人の罪やケガレを祓うことに関係したものであり、言ってみれば双子のような関係だったのです。そして、今でもお札(おさつ)は人間の「金銭欲」や「支配欲」といったケガレの支払いに充てられます。お金持ちはおのれのケガレを落とすため、必死で稼いだお金を必死になって使っていると思うと、どこか滑稽です。

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株式

【株】あかん、買ってもうた

わたくし、いつぞやは「為替が145円になったら米国債を買いたい」などと戯言を申しておりましたが、いつまでたっても一向に円高になる気配はございません。そうこうしているうち、ソフトバンクグループ(SBG)がクーポン3%の円建て社債を発行したのを見て、わたくし、為替リスクを取ってクーポン4%の米国債を買うのがバカバカしくなってきちゃいました。でも、SBG債は完売御礼のようですので、今からでは入手不可能です。そこで、仕方ないから高配当株を買うことにしたんです。そりゃ、わたくしにも、足元の株価水準が高いことくらい分かります。なので、相場が深押しするタイミングを待って、買い出動するつもりでございました。昨日までは……。

「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものでございます。我慢ができないという子供の頃からのわたくしの性格は変わりません。結局、相場の下げを待ちきれず、今日、買っちゃいました。8593三菱HCキャピタル。日経平均39,000円どこで。あーあ、やっちまった。
明日はメジャーSQに、日銀金融政策決定会合の結果発表。大ケガにならないことを祈るのみでございます。

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株式

【株】メジャーSQの前に

6月10日に日経平均株価は前日比+354円の39,038円と、久しぶりに39,000円台で引けました。株価上昇の特段の材料がないにも関わらずです。日経新聞は本日(6月11日)朝刊で、157円台への円安を見て海外短期筋が株価指数先物へ買いを入れたと解説していますが、何故に今買う?との疑問は解けません。さらに海外時間に日経平均先物は39,200円まで上昇しています。
この不可解な上げについて、やはり今週末のメジャーSQを抜きには語れません。これまでもメジャーSQの前後でオプション・先物の売り方と買い方の思惑が交錯し、相場が乱高下する場面がたびたびありました。

長期個人投資家としては、ここで変に強気になって相場に付いていくことは慎み、むしろ相場の急落に備え下値で買い指しを入れるくらいで丁度いいと思います。

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年金

【年】2024年、公的年金はどう変わる?

2024年は5年に1度の財政検証(※1)の年であり、公的年金(厚生年金と国民年金)にとって重要な一年となります。2004年のマクロ経済スライド(※2)の導入以降、公的年金の保険料は一定の水準(厚生年金:18.3%、国民年金:16,900円)に固定されていますが、一方、年金額は調整(減額)が続く結果、特に国民年金(基礎年金)が将来的に大きく落ち込む見込みとなっています。そこで、今回の財政検証では、国民年金(基礎年金)の大幅な減少を抑えるための方策を、国民の納得を得られる形で打ち出せるかがポイントとなります。厚生労働省は財政検証において、次の5項目のオプション試算(※3)を行う予定です。
①被用者保険の適用拡大
②国民年金の45年化
③国民年金と厚生年金の調整期間の一致
④在職老齢年金の廃止
⑤標準報酬月額の上限引き上げ
では以下、①~⑤について順に見ていきましょう。
(※1)公的年金の長期にわたる財政の健全性をチェックするために行う検証のことで、社会・経済の変化を踏まえながら原則5年ごとに実施される。
(※2)少子高齢化が進行しても財源の範囲内で給付を賄えるよう、財源に合わせて給付の水準を自動調整(減額)する仕組み。
(※3)財政検証に加えて行われる、年金制度の課題の検討に役立てるための検証作業。オプション試算の内容に沿って、公的年金の見直しが行われる。

①被用者保険の適用拡大
被用者保険とは会社員や公務員が加入する年金のことで、つまりは厚生年金のことです。2020年の年金制度改正法により、短時間労働者に係る被用者保険の適用(人数)要件が、2022年10月から101人以上へ、2024年からは51人以上へと拡大されてきました。また、個人事業所の適用業種についても、2022年10月から弁護士・税理士等の士業にも拡大されています。今回、これら人数要件の拡大を一層進めようというものです。場合によっては、人数規模を問わず全事業所が加入対象となったり、短時間労働者の勤務時間週20時間以上、標準報酬月額88,000円以上という加入要件が撤廃される可能性もあります。要件の緩和・撤廃によって、被保険者数の増加⇒保険料収入の増大により、年金財政の健全化促進を図る狙いがあります。

②国民年金の45年化
現在、自営業者やフリーランス等は国民年金に20歳から60歳まで加入し、保険料を40年間払うことになっています。これを20歳から65歳まで加入し保険料を45年間払うことに変更し、年金額の増額を図るものです。国民年金の保険料(月額)は令和6年価格で16,980円なので、支払い期間が5年延長すると保険料は累計で、16,980円×12ヶ月×5年=1,018,800円、と約100万円増えることになります。(ただし、国民年金保険料は社会保険料控除の対象なので、所得税+住民税の税率が30%の人で実質負担増は70万円ほどです。) 他方、受け取れる国民年金(基礎年金)額は令和6年価格で816,000円ですが、保険料納付期間の延長により12.5%(45年/40年=1.125)増の918,000円となります。約10万円の増額です。メディア等では保険料負担の100万円増ばかりクローズアップされていますが、年金の受取り額が増える点にも注目すべきです。5年分の保険料の実質増加額を70万円、1年分の国民年金の実質増加額(税・社会保険料控除後)を9万円とすると、70万円÷9万円=約8年で元が取れる計算です。決して損な話ではないと思います。

③国民年金と厚生年金の給付調整期間の一致
マクロ経済スライドによる給付水準の調整は、国民年金と厚生年金がそれぞれの勘定で財政均衡するまで続きます。国民年金は厚生年金に比べ財政状況が悪いため調整期間が長期化(20年以上)し、結果、国民年金(基礎年金)の将来の給付水準は厚生年金に比べ相当低いものとなります。2019年財政検証において、厚生年金の給付水準は2047年に向け実質ベースで約2割の減少見込みでしたが、国民年金(基礎年金)では約3割の減少見込みとなっています。そこで今回、国民年金と厚生年金で別々に財政の均衡を目指すことを止め、国民年金と厚生年金を一体で財政の均衡を目指す形に改めようというものです。これにより、国民年金(基礎年金)の調整期間は10年以上短縮され、現状の見通しよりも高い水準で給付が均衡します。一方、厚生年金の調整期間は長期化し、現状の見通しよりも低い水準で給付が均衡することとなります。

④在職老齢年金の廃止
在職老齢年金(在老)とは、働きながら厚生年金を受給している人が、厚生年金の月額(基本月額)とボーナスを含む年収の月額相当額(総報酬月額相当額)との合計で50万円を超えた場合、超えた額の1/2に相当する厚生年金を支給停止する仕組みのことです。(※4) (国民年金は支給停止の対象となりません。)この仕組みは、高齢者の就労意欲を削ぐと以前から批判されており、見直しが求められていました。また、政府は受給期間を遅らせることで年金額を増額する「繰り下げ受給」を推奨していますが、在老で支給停止された部分は繰り下げの対象外です。これは「繰り下げ受給」の増額効果を減退させるものであり、政府の方針に逆行しています。私は在老は今回、全面的に撤廃されるべきと考えます。
(※4)支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額ー50万円)×1/2

⑤標準報酬月額の上限引き上げ
標準報酬月額とは、厚生年金保険料の額を計算する際の元となる給料(保険料額=標準報酬月額×保険料率)のことで、被保険者(会社員や公務員)の4月~6月の給料の平均額から決定されます。標準報酬月額の決定にあたっては、厚生年金の全被保険者の標準報酬月額の平均の2倍を上限(現行65万円)とするルールがあります。今回、この上限を引き上げようというものです。政府は、上限に抵触している高収入の会社員に現行の上限を超える高額な保険料を負担させれば、年金の財源を増やすことができます。高収入の会社員も年金額が増えるので、ウィン・ウィンとなります。ただし、保険料の半分を負担する企業側の反発が予想されます。

以上、2024年の財政検証において見直しが予想される5項目について見てきましたが、今後①~③を中心に具体化に向けた検討が進められると思います。

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株式

【株】ソフトバンクグループ社債について

5月31日、ソフトバンクグループ(SBG)は個人を対象に、利率3.03%の7年債(2031/6/13償還)5,500億円の発行を決定しました。引受け証券の各社とも、売れ行きは好調のようです。当債券は日本格付研究所(JCR)からシングルAの格付けを取得しました。また先頃、米国格付け会社のS&Pグローバルは、SBGの長期発行体格付けをダブルBプラスに1ノッチ引き上げています。今回はSBG第63回無担保社債の発行条件が適正か否か、簡単な方法で確認してみたいと思います。具体的には、①SBG既発債の流通利回りと比較する、②同じ格付けの他社債券の利回りと比較する、の方法でチェックします。

まず①ですが、日本証券業協会の「公社債店頭売買参考統計値表」を使います。これは、日本証券業協会が会員の証券各社からの報告に基づき、公社債の気配値を日次で公表しているものです。この表で5月31日のSBGの既発債の流通利回りを確認すると、2031/4/25償還の第62回債の(平均)利回りは2.995%、2031/3/14償還の第59回債の(平均)利回りは2.982%となっています。したがって、第63回債の利回り3.03%はほぼ妥当であるといえます。

次に②ですが、ここでは国内格付けJCRのAではなく、海外格付けS&PのBB+を基準に見ていきます。米国ハイ・イールド債指数のBB格債インデックスを見ると、5月31日時点のスプレッド(米国国債への上乗せ金利)は2.22%となっています。(出所:野村アセットマネジメント/週間市場情報米国~米国ハイ・イールド債市場~) 5月31日の2031/6/20償還の日本国債(超長期国債第128回債、129回債)の利回りを「公社債店頭売買参考統計値表」で確認すると、0.755%と0.759%となっています。これに、BB格債スプレッドの2.22%を加算すると2.975%と2.979%となります。やはり第63回債の利回り3.03%は妥当といえそうです。当債券を購入された個人投資家の皆さんの眼力に感服です。

ここで、SBG社債のリスクについて考えてみます。通常、債券のリスクというと、金利が頭に浮かびます。しかし、今回、個人投資家の皆さんは、償還まで持切りを前提に購入されていると思います。そのため、金利リスクよりも、大量の社債を発行しているSBGの信用リスクの方が気になるのではないでしょうか。実際、SBGの信用リスクが顕在化するような場面では、SBG社債を市場で売却することはほぼ不可能と思われます。(売れたとしても価格の大幅なディスカウントを求められるでしょう。)そのときは、SBGと心中する覚悟が必要です。

現在、ソフトバンク株の配当利回りは4.4%程度ですが、ボラティリティの高い株式は怖いけど、社債なら投資してもいいという個人投資家の方は多いと推察します。かねて私は、リスクレベルが株式と国債の中間をいく資産があればいいと思っていました。一見、JREITが当てはまりそうですが、当ブログで指摘してきたようにJREITは株式なみにリスクの高い資産です。そういう意味では、今回のSBG社債のようなハイ・イールド債こそ、適役だと思います。政府の資産運用立国の方針のもと、ブラックストーン等の海外運用会社と連携した国内証券会社が、プライベート・エクイティや私募不動産、私募インフラ投資といったプライベートアセットを販売する動きが強まっています。しかし、私はこれらの資産よりも、透明性の高いハイ・イールド債市場の育成を急ぐべきだと考えます。

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閑話休題

【閑】海の中の槍ヶ岳

海と山と」では海と山が通じているというお話をしましたが、今回はその続きです。まずは、下の写真↓と上の写真↑を見比べて下さい。ちなみに上の写真↑は槍ヶ岳です。

荒ぶる海から突き出た、槍の穂先のような岩の塊。何じゃこりゃ?と思われたことでしょう。これは東京のはるか南約650キロ、鳥島の南約76キロにある高さ100mの孀婦岩(ソーフガンまたはソーフイワ)といわれる奇岩です。(偶然の一致というべきか、槍の肩から槍ヶ岳山頂まで、いわゆる「槍の穂先」の標高差も100mです。) 2018年秋に放送されたNHKスペシャル「秘境探検 東京ロストワールド孀婦岩」を見て知ってるという人もいるかもしれません。

写真を見ると単独の岩が突き出ているように見えますが、実は水深200mほどのところに平らな台地状の山があり、その山は水深2,500mの深海から立ち上がっているのです。(ケーキにロウソクが付き刺さっている様子を想像して下さい。)つまり、標高2,800mのアルプス級の高山の先端100mが海から突き出ているわけです。孀婦岩は安全岩という硬い岩石でできていることが学術調査で分かっていますが、今のような波の浸食を受け続けていくと、数百年から数千年で消えてなくなると推測されています。

以前は、孀婦岩への不定期航路を持つ「スターマリンⅢ号」という大型高速遊漁船があり、ダイビングショップによる孀婦岩ツアーが開催されたこともありますが、その後、乗客減少により海外へ移転したようです。現在は、下田から孀婦岩まで行く船をチャーターできるとの情報もありますが、詳細は不明です。私は来年、槍ヶ岳に登りたいと考えていますが、孀婦岩にはダイビングはおろか近付くことさえままなりません。
(※)古い本ですが孀婦岩については「東京都・豆南諸島まるごと探検」(山下和秀著 三五館)に詳しい。

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保険

【保】新社会人にお薦めしたい保険

昔は新人が職場に配属になると生保のおばちゃまがどこからともなく現れ、気が付いたときには保険に入らされていたものです。今はどこの会社もコンプラが厳しくなり、生保の営業担当者が職場に乱入することはなくなりましたが、私のような古いタイプの人間にとってはどこか寂しくもあります。今回は新社会人の皆さんに、保険屋のオヤジではなく善良な第三者として、お薦めの保険をご紹介したいと思います。

その前に、なんで私たちは保険に入るのか、そもそもの理由について考えてみます。皆さんはこれからの長い人生の中で、ときに思いもよらないトラブルに遭遇することがあるでしょう。他人に損害を与えてしまったら、あなたが土下座して謝っても相手は許してくれないかもしれません。そんなとき、どうやってピンチを脱出すればいいのか。一番手っ取り早く確実なのは、お金による解決です。交通事故でヒトをはねてしまった。火事で家が燃えてしまった。大病を患い仕事ができなくなった。そんな万一のアクシデント(保険事故といいます)に備え、お金の準備をするための仕組みが保険です。お金を貯めるには預金や投資信託といった金融商品もありますが、必要なお金が積み上がるまで長い時間がかかります。その点、保険であれば契約したその瞬間に、何千万から何億ものお金の準備が完了します。次の瞬間、保険事故に見舞われても、所定の保険金を受取ることができます。すごいと思いませんか? これが私たちが保険に入る理由です。

では次にどんな保険に入るべきか、どういう基準で入ればいいのか、考えてみます。保険には国が運営する公的保険と、保険会社が販売する民間保険があります。公的保険は日本国民は全員強制加入なので、入るor入らないを検討すべきは民間保険についてとなります。我が国の公的保険、具体的には健康保険(国民健康保険)と厚生年金(国民年金)ですが、いずれも充実した良い制度です。ですので、新社会人の皆さんは、公的保険の保障が不十分だと思う領域にしぼって民間保険に入ればいいのです。(※1)
(※1)自動車事故には自賠責保険という強制加入の保険がありますが保険金額が不十分なので、ドライバーは別途、民間の自動車保険に入る必要があります。また、火災に備える公的保険はないので、マイホームを建てたら民間の火災保険に加入する必要があります。

それでは、保険事故別に公的保険と民間保険を見比べながら、民間保険への加入の必要性を考えてみましょう。まずは、定期保険です。これは被保険者が死亡(高度障害)したときに、保険金が支払われるものです。対応する公的保険は、厚生年金(国民年金)の遺族年金となります。夫が死亡したときに、妻に18歳未満の子がいる場合、国民年金から遺族基礎年金が支払われます。(子のない妻には遺族基礎年金は支給されないので要注意です。) 年金額は妻(母)が約78万円、18歳未満の子一人につき約22万円(第三子以降については一人あたり約7万円)が支給されます。加えて、厚生年金からザックリ「夫の月給×300ヶ月×5.5/1000×3/4」で計算される金額が遺族厚生年金として支給されます。(※2・3) 例えば、夫の月給が30万円の場合、30万円×300×5.5/1000×3/4=37万円、となります。したがって、夫死亡、妻(母)+子一人のケースでは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を合わせて78万円+22万円+37万円=137万円が、子が18歳になるまで毎年支給されることになります。

ここで、夫死亡後に妻(母)と子供で年間いくら生活費が必要かを想定し、遺族年金だけでは不十分な金額について定期保険でカバーするようにします。年間300万円が必要ならば、300万円ー137万円=163万円の不足です。そして、子供が中学校に入学するまで仮に5年間として、必要となる815万円(=163万円×5年)をカバーするため、死亡保険金が1,000万円の定期保険に加入するイメージです。子供が中学校に入学した後は、妻(母)が仕事に就いて家計を支えることが前提です。私は、定期保険は独身者には不要で、結婚して子供ができたらゆっくり考えればいいと思います。
(※2)夫の勤続期間が25年(300ヶ月)を超える時は、実際の勤続月数で計算。また、月給は正確には平均標準報酬(月)額を使用する。
(※3)遺族厚生年金は子のない30歳未満の妻は5年間のみ受給できる。子のない夫は55歳以上の場合に限り受給できるが、60歳まで支給停止となる。ただし、遺族基礎年金を同時に受給できる場合は遺族厚生年金は支給停止されず、55歳から受給可能。

次に医療保険とがん保険です。医療保険は入院または手術が必要な病気・ケガ全般が保障の対象となるのに対し、がん保険はがんのみが保障の対象です。これらに対応する公的保険は、健康保険の療養の給付となります。会社員が病気やケガで病院にかかると、窓口で医療費の3割の自己負担を請求されます。ただ、自己負担が一定額以上になると、高額療養費制度によって健康保険から一部払戻しを受けることができます。これにより、実際の医療費の自己負担は通常、月額8万円~10万円程度に収まります。(※4・5) したがって、いざというとき10万円を用意できる人は、医療保険やがん保険に入る必要はありません。新入社員の皆さんは、お金の余裕ができるまでの間、医療保険やがん保険に加入するということでいいと思います。
(※4)高額療養費の自己負担限度額=80,100円+(医療費ー267,000円)×1%。よって、医療費が1,000万円の場合でも自己負担は20万円弱。尚、正確には高額療養費の自己負担限度額は被保険者の所得水準によって異なる。
(※5)健康保険組合では、任意給付として高額療養費の上乗せ制度を設けているところがある。任意給付があると自己負担の上限が2万円程度に抑えられるので、事前に会社の健康保険組合に確認しておきたい。

最後は就業不能保険です。就業不能保険は、病気やケガの療養のため長期の休業が必要となり、給料が減額ないし無給となった場合に給付金が支給される保険です。対応する公的保険は、健康保険の傷病手当金となります。傷病手当金は、被保険者が病気やケガの療養のため仕事に就けない場合に、連続した休業4日目から給料の日額の2/3(正確には標準報酬月額の12ヶ月平均÷30×2/3)が、最大1年6ヶ月支給されます。皆さんが給料日額の2/3では生活できないとか、支給期間が1年半では不安だと思うのであれば、就業不能保険に入ることを検討してもいいと思います。ひとつ、就業不能保険の問題点を言うと、メンタル系の疾患が支給対象とならないことです。(尚、ライフネット生命の就業不能保険では、所定の精神疾患の場合、一時金が支給されます。)そこで、GLTD(団体長期障害所得補償保険)をご紹介したいと思います。これは就業不能保険と似ていますが、就業不能保険が生命保険なのに対し、GLTDは損害保険です。また、GLTDは1年更新の短期保険で、会社が契約者となって従業員のためにかけるグループ保険です。ですので、皆さんの会社がGLTDを導入していなければ、加入することはできません。私がGLTDを推す理由ですが、それは補償(GLTDは生保でなく損保なので保障ではなく補償となります)の充実と、保険料の割安さです。GLTDは認知症やメンタル疾患等の精神障害も対象(填補期間は最長2年まで)となり、充実した補償を受けられます。また、保険料は22歳男女とも就業不能保険の半分程度と割安に設定されています。(ただし、GLTDの保険料は毎年更新となるので、50歳以降で逆転の見込み。) 私は、長期休業による収入減少に対する公的保険の保障は不十分と考えています。そのため、新入社員の皆さんには、就業不能保険またはGLTDの加入を最優先にお薦めします。皆さんの会社がGLTDを導入しているのなら、迷わず加入しましょう。

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株式

【株】個人投資家向けTAA

TAA(Tactical Asset Allocation)とは、株式・債券・キャッシュの資産配分を戦術的かつ機動的に変更することで、収益の獲得を狙う投資戦略です。通常の投資戦略が株式や債券の銘柄選択によって収益を狙うことに比べ、ユニークな戦略といえます。かつては先端の大手年金基金等で採用されていましたが、パフォーマンスの有効性に疑問ありとのことで、最近では限定的な採用に留まっているようです。そんなTAAですが、今回は個人投資家が採用してはどうですか、という提案です。

個人投資家の最大の悩みといえば、「相場暴落の恐怖」でしょう。そして、ほったらかし投資においては、「相場暴落の恐怖」をいかに克服するかが大きな課題となります。「相場暴落の恐怖」に耐えきれず、底値で損切りした苦い経験のある個人投資家は多いと思います。かくいう私もその一人です。そんな「相場暴落の恐怖」をどうやったら克服できるのか。長年の私の課題でしたが、ここもとの日本株の下落局面において、あるアイデアを思いつきました。今回の下げ相場での投資行動でお話したように、私は確定拠出年金(DC)で積み立てていた資産を3月にキャッシュ化し、4月、日経平均株価が下落するのに合わせて幾つかの日本株を買い下がりました。その間、私はひたすらお目当ての銘柄を安く買うことだけを考えていました。日経平均が下落すれば、私が保有している他の銘柄の評価額も悪化するにも関わらずです。この経験から、私はひとつの仮説を立てました。「投資家はある銘柄を買おうと思った瞬間から、その銘柄を安く買える相場の下落を歓迎し、自身が保有する他の銘柄の評価額の下落は気にならなくなる。」 どうでしょう? あなたにも当てはまるのではないですか。もし、この仮説が正しければ、追加投資するためのキャッシュを持っていれば、「相場暴落の恐怖」を克服できるはずだ。私はそう考えました。

問題は、富裕層でもない限り、追加投資の原資を常に手許にプールしておくのは難しいことです。では、一般の個人投資家はどうすればいいのか。そのためには、保有資産の一部を事前にキャッシュ化し、相場暴落に備えればいいのです。例えば、保有資産の10%を目途にキャッシュ化をします。具体的には相場の上昇局面で、①含み益の大きい銘柄から順に売却する、あるいは反対に②含み損の大きい銘柄/含み益の小さい銘柄から順に売却する(実現損は配当と相殺)、といった方法が考えられます。いずれの方法も、株価の上げ下げに応じ、株式⇒キャッシュ⇒株式と、資産配分の変更を繰り返すことになります。私はこの手法を本来の意味合いとは異なりますが、「個人型TAA」と呼ぶことにしました。「個人型TAA」は、当ブログのモットーである「ほったらかし投資」の趣旨に鑑みると邪道です。長期的なパフォーマンスにも、恐らく悪影響を与えるでしょう。ただ「相場暴落の恐怖」に怯え、底値で損切りするといった愚行を繰り返すよりは、多少のコストを払ってでも「個人型TAA」で武装し、「相場暴落の恐怖」に泰然と立ち向かう方が生産的だと思いますが、いかがでしょう?

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閑話休題

【閑】海と山と

当ブログではたびたび書いてきましたが、私の趣味は山登りとスキューバダイビングです。山へは1年を通じ足を運んでいますが、海は7月末~9月末の夏季限定となります。ダイバーの中にはドライスーツに身を包み、真冬の海に潜るツワモノもいますが、ヘタレはそんなことはしません。これからの季節、週末は越前海岸や伊豆の海に通いながら、間を見て山へ行く日々が続きます。ちなみに山の方は7月上旬に昨年の雪辱を果たすべく白山(2,702m)に登り、続いて7月下旬に北アルプスの薬師岳(2,926m)、9月初に南アルプスの光岳(2,591m)に登る予定です。

昨今のアウトドアブームで、低山、高山を問わず日本中の山はどこも登山者であふれています。一方で寂しい限りなのが、(首都圏から近い伊豆半島を除く)全国のダイビングスポットです。ファンダイブに参加するのは、ほとんどが50歳以上のシニアで、参加人数も数人程度と閑古鳥が鳴いています。しかし、私が山登りとダイビングを始めた30年前は違っていました。山登りはキケン・キツイ・キタナイの3Kと言われ、山ヤ(山登りをやっている人)は変わり者、さらには反社会的勢力として世間から白い眼で見られていました。山はそんなアウトローたちの聖地だったのです。逆にダイビングはテニスやスキーと並ぶお洒落なスポーツとして人気を博し、ダイビングスポットはどこも若者で賑わっていました。今は昔といいますが、海を愛する者として、とても悲しく思います。

ところで、私の山仲間でダイビングをやっている人は一人もいません。でも、ダイバー仲間で山をやっている人は何人もいます。これはなぜだろうと考えました。海は山ヤにとって全く異質な世界ですが、山はダイバーにとって海に似た親近感を感じさせる場所です。例えば、海に潜ると根といわれる大きな岩が出てきます。そして、根を海底から見上げると、山を見上げているかのような錯覚にとらわれます。また、海中を泳ぐ魚たちは、まるで空を舞う鳥のようです。海底に目をやれば、そこには赤、青、黄色と色とりどりのソフトコーラルのお花畑が広がっています。このように海の景色が山と通じていることを感じたダイバーが、活動の場を海から山へと広げていくのは自然なことだと思います。

身近なダイビングスポットというと、温泉で有名な熱海があります。熱海の汚れた海に潜ると、別世界が目に飛び込んできます。温泉街の目と鼻の先でこんな光景↓が展開しているなんて、誰も想像しませんよね。私も初めて熱海で潜ったときはビックリしました。そして、後日、北アルプスの白馬岳のお花畑↑を訪れたときに熱海の海で見た光景がフラッシュバックし、2度目のビックリを経験したものです。
私はこれからも海と山の二刀流を続け、海と山を一体として経験することで得られる感動を、一人でも多くの人に伝えていきたいと思います。

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不動産

【不】再考、不動産投資

不動産投資というと、株式投資と似たようなものと考える人が多いかもしれません。が、実態は投資というよりも事業です。ですから、本当は他のビジネス、例えば飲食業などと比較すべきです。不動産投資家は、事業者=プロとして不動産事業に関わることが求められます。不動産投資で得られた賃料収入は、不動産所得として事業所得と同じ総合課税の対象となりますし、不動産投資家には株式投資家を守る投資者保護基金のようなセーフティネットは用意されていません。国も不動産投資家を事業者=プロと見ている証拠です。そもそも、銀行が積極的に融資してくれるのも、彼らが不動産投資家を事業者とみなしているからです。株式投資家からすると、ありえへん話です。

このように、プロとしての取り組みが必要な不動産投資ですが、書店には素人向けの解説本が山積みされており、気軽に始められる副業としてサラリーマンに人気があります。一部の解説本は、賃料という安定収入に借入れによるレバレッジをコーティングすることで、ローリスクでハイリターンを手にできるかのような幻想を読者に与えてきました。私は不動産の世界に不用意に足を踏み入れた投資初心者が、これからの金利上昇で損失を被ることを懸念しています。

ところで、従前私はレバレッジを効かせた不動産投資について、超ハイリスク運用との認識を持っていましたが、最近考えを改めました。不動産投資は、やり方によってはリスクを軽減できることを知ったからです。今ではハイレバレッジの不動産投資を、ローリスクは言い過ぎでもミドルリスクくらいなら言ってもいいのでは、と思っています。

不動産投資には6つのリスクがあるといいます。空室リスク、滞納リスク、災害リスク、価格下落リスク、修繕リスク、金利上昇リスクです。しかし、このうち予測不能で事前対応が困難なリスクは災害リスクだけ。他の5つは投資家の経験とスキル、そして外部業者のサポートが有れば、ある程度対応が可能です。例えば、空室が発生しても、迅速に空室を埋めるノウハウを投資家が持っていれば、空室のダメージを軽減できます。設備の老朽化で修繕が必要な場合も、低コストで対応してくれる親密な業者さんがいれば、修繕のダメージを軽減できます。また、複数の物件をタイミングを分散して入れ替えていけば、価格下落や金利上昇等のマーケットリスクにも対応できます。ベテラン投資家は各人が独自のスタイルでリスク対処法を確立し、本来はハイリスクなレバレッジ付き不動産投資をミドルリスク化しているのです。

不動産投資家は、下表のようなCF(キャッシュフロー)シミュレーションを用いて投資の是非を判断します。(下表はサンプルです) 空室リスク、滞納リスク、価格下落リスク、修繕リスク、金利上昇リスクをシミュレーションに織り込んだうえで、イメージするCFが獲得できる目途が立てば物件の購入に進みます。そして、最終的な投資の成否は、物件の運営でいかにリスクを抑え、シミュレーションと実績の乖離を圧縮できるかにかかっています。不動産投資は株式投資と異なり、投資家自らリスクの源にアクセスし、改善を図れる点がメリットであり、また、シミュレーションベースで投資を考えられることから、株式投資よりもリスクは低いと言えそうです。(株式投資で15年間の損益シミュレーションを立てても、毎年の損益のブレが大き過ぎて役に立ちません!) ただし、それは投資家に十分な経験とスキル、そして信頼できる外部業者との連携があっての話となります。


【おまけ1 最近の融資事情】
かぼちゃの馬車事件以降、銀行の不動産融資への態度は硬化しており、区分は別にして一棟物ではフルローンはほぼ不可能な状態です。某銀行では最近、頭金2割以上、年収1200万円以上、金融資産5000万円以上が融資実行のメルクマールになっているとの話もあります。

【おまけ2 素人が見た不動産投資の本質】
今回の論考の中で気付いたことがあります。私は不動産投資の経験がない素人ですが、素人なりに「これが不動産投資の本質では?」というものに思い至りました。実務にあたる不動産投資家の方々にとっては「何を今更」でしょうが、「灯台もと暗し」という言葉もあります。忘れないうち記録に留めておきたいと思います。
「不動産投資はシミュレーションに始まり、シミュレーションに終わる」 この一文から不動産投資の本質が見えてきます。
①シミュレーションが成立する物件を購入する
②リスク削減に注力しシミュレーションからの乖離を極小化する
この2点です。