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閑話休題

【閑】ヘタレの中期経営計画

先日、私は自治体が主催する「還暦を祝う会」に出席しました。参加された皆さんは仕事に趣味にとアクティブに活動されており、パワーに圧倒されました。そこで、私も「65歳までにやり遂げること」を中期経営計画としてコミットし、達成に向けワイルドに日々を送っていこうと考えた次第です。

私の中期経営計画は以下の4項目です。
①百名山を50座踏破する(進捗率:56%)
今まで28座を登っています。あと22座を南北アルプスを中心に登攀したいです。しかし、今の私の体力ではかなり厳しいので、トレーニングを積む必要があります。「百名山全山踏破」と言いたいところですが、無理なことは口にしない主義です。
②ダイビングを300本潜る(進捗率:80%)
今まで沖縄、伊豆、越前海岸を中心に240本ほど潜ってきました。引き続き、伊豆や越前海岸で300本までダイビングを重ねたいと思います。波照間島や小笠原にも行ってみたいな。昔、私にダイビングを教えてくれた自衛隊の師匠は、2,000本潜って名球会に入りました。(ウソです)
③運用資産を1億円に増やす(進捗率:45%)
現在、4,500万円ほどの資産を運用しています。これは私がずっと社宅住まいだったため、手元に残ったマイホーム購入資金を株に寝かせていたら勝手に膨らんだものです。(私は今も借家に住んでいます。) 資産を増やすといっても、トレードで収益を積み上げる能力は私にはありません。できることは、給料から僅かばかりの資金を追加拠出しつつ、相場の上昇を祈ることだけです。日経平均が今の倍の水準まで上がらないと目標達成はおぼつかないので、ほぼ実現不可能なミッション(MI)です。
④お腹を6つに割る(進捗率:0%)
私のゲル状のたぷたぷお腹を、セミのようなシックスパックの筋肉お腹にしたいです。地道に腹筋運動を続けたいと思います。

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ライフプラン

【ラ】大相続時代と資産所得倍増プラン

日本は団塊の世代が超高齢者となる「大相続時代」を迎えようとしています。大相続時代についてMUFG資産形成研究所は1月の月次レポート「資産所得倍増プランの実現に向けて」の中で、「団塊の世代を含む70歳以上の高齢者層に最も家計金融資産が偏在している環境下、年間死亡数が140万人を超える大相続時代を迎えることになります。特に、団塊世代が80歳代に突入する2030年代は年間死亡数が160万人台となり、現在の約145万人から2040年のピークである約167万人へと大幅な増加が見込まれています。」(P15)と伝えています。

政府は資産所得倍増プランの目標として、家計による投資額(株式・投資信託・債券等の合計残高)の倍増を掲げています。足下(2023年9月末)の家計の有価証券投資残高は285兆円ですが、これを570兆円レベルまで持ち上げようというのです。新NISAがスタートしてNISA全体の残高が倍増したとしても25兆円ほどですから、なかなかハードルの高い目標です。そして、さらに目標の達成を困難にするのが冒頭の「大相続時代」です。株式を相続した相続人は、後になって「二重課税」に悩まされることになります。そのため、被相続人(予定者)の多くが相続発生前に株式を売却し、キャッシュの状態で相続する道を選ぶことになります。結果、株式は次世代に受け継がれることなく、家計の有価証券投資残高は減少します。

ここで、相続株式の二重課税の問題についてお話します。(上場)株式を相続した相続人は、相続した株式を相続発生時の時価(※1)を基準に相続税を納めます。そして、何年か後に相続した株式を売却すると、譲渡益(※2)に関し所得税を納めることになります。問題は譲渡益を計算する際の取得費の考え方です。相続人は相続時の時価をベースに相続税を払って株式を取得したわけですから、相続時の時価を取得費(取得原価)とすべきです。しかし、我が国の税制はそうなっていません。なんと、被相続人が株式を取得した時点の価格を取得費とする定めです。
被相続人が何十年も前に株式を購入したような場合、多額の含み益が生じている可能性が高いです。相続人は相続時点の含み益を反映した時価で、既に相続税を納付済です。それなのに、相続人が相続株式を売却すると、改めて相続時点の含み益に所得税を課税されてしまい、大きな経済的ロスを被ることになります。(米国では相続時の時価を取得費とするルールになっています。) 相続税は相続による経済的価値の移転に着目した課税、所得税は資本所得への課税、と税目の体系が異なるから二重課税には当たらない、というのが税務当局の見解のようですが、私には全くの屁理屈に思えます。
(※1)次の価額のうち最も低いもの。①相続発生日の終値②相続発生日の月の終値の平均③相続発生日の前月の終値の平均④相続発生日の前々月の終値の平均
(※2)譲渡益=売却金額ー取得費ー譲渡費用

政府が資産所得倍増プランを本気で実現したいなら、「大相続時代」が始る前に株式に係る相続税と所得税の二重課税を解消すべきです。もし徴収税額の減少が心配なら、現在余りにも優遇されている不動産の相続税を課税強化すればいいのです。その方が相続税制の資産種別間の不均衡も是正されて一石二鳥だと思いますが、いかがでしょう?

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株式

【株】外債投資について

我が家にはいざというときのために、嫁さんから株式投資に回すことを固く禁じられたキャッシュがあります。ただ、2%程度のインフレが今後も続くとなると、キャッシュは10年で2割弱、20年で約3分の1減価することになります。これは見過ごすわけにいかないと思い、キャッシュの一部を外債(米国債)に投資することにしました。私が取引しているM証券では特定口座で外債も購入可能ですが、オンライントレードは新発債のみ可能で既発債はNGとのことでした。既発債を買う場合は、証券会社に電話して発注することになります。

そこでまず、外債のリターンとリスクを見ていきます。今、私が検討しているのは、残存期間が7年~15年程度の米国長期債です。この年限の米国債の税引き前複利利回り(リターン)は足下で4%弱です。債券ですので償還まで持ち切れば、米国がデフォルトを起こさない限りリターンは保証されます。ただ、途中で売却する場合は、長期金利の水準によってリターンはブレます。債券の利回りが1%動いたときに価格が何%動くかを表すデュレーション(正確には修正デュレーション)という指標があります。例えば、MAXIS米国国債7ー10年上場投信では、12月末時点のデュレーションは7.4年です(月次レポーより)。この上場投信(ETF)には残存期間7-8年、8-9年、9-10年の米国債がそれぞれ3分の1ずつ入っていますが、金利が1%上がれば、このファンドの基準価格は1%×7.4年=7.4%下落します。金利が2%上がればファンド価格は14.8%下落しますが、4%の米国長期金利が1年で2%も上昇することはまずありません。株と比べ債券はかなりリスクが低いことが分かります。(個別株なら1日で10%下落することも珍しくありません。)

しかし、これはあくまでドルベースのお話です。外債は利金(クーポン)も元本も現地通貨で支払われますが、それを円で受取ると為替のリスクが絡んできます。今1ドル=145円のドル円が償還時にいくらになっているかで、円ベースのリターンは大きくブレます。例えば償還時のドル円が1ドル=120円だったとします。このとき、(1-120円/145円)×100=17.2%の為替差損が発生します。さらに、1ドル=100円まで円高が進むと31%の為替差損が発生します。このように、(高格付け)外債を償還まで持ち切れば現地通貨ベースではローリスクの商品となりますが、円ベースでは為替のリスクにさらされてハイリスクの商品となります。M証券では顧客の申し出がない限り、利金・元本は円での受取りとなりますが、事前に手続きをすれば外貨建てMMFでの受取りが可能です。我が家の資産は現在100%円資産なので、為替リスクを分散するため利金も元本もドル建てMMFで受取りたいと思います。

次に、外債取引にかかる手数料、税金を見ていきます。外債の売買手数料、口座管理手数料は無料です。ただし、債券購入時や利金・償還金支払時の為替取引において、通貨ごとにスプレッドが加算されます。(例、15時インターバンク仲値を基準にドル買い+25銭・売り-25銭、ユーロ買い+50銭・売り-50銭等。証券会社で異なる。) また、外債の売買価格にもスプレッドが加算されます。つまり、外債取引に係る売買手数料は無料とされているものの、投資家は債券と為替の取引でスプレッド分だけ割高に買い、割安に売ることで、間接的に手数料を負担していることになります。
2016年以降、特定口座で公社債を取り扱うことができるようになりましたが、源泉徴収ありの特定口座では、利金・償還差益(譲渡益)に対し20.315%が源泉徴収されます。また、償還差損(譲渡損)が発生した場合は、特定口座内で他の証券の利益と内部通算が可能となります。(残念ながらNISAでは現物の外債は買えません。)

現在、米国債市場では3月FOMCでの利下げ開始シナリオが修正を迫られており、3%台に低下していた10年債利回りは再度4%台に上昇しています。今後の利回り水準を見極めながら、米国債券の購入タイミングを探っていきたいと思います。世間では高利回りのエマージング国債やハイイールド債を薦める向きもありますが、個人的には現行の利回り水準なら先進国国債で十分だと考えます。どうせリスクを取るなら株で取る方がリ-ズナブルです。(それでも手を出される方は、エマージング国債の為替リスクやカントリーリスク、ハイイールド債の信用リスク、そして両債券の流動性リスクに十分注意して下さい。)

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閑話休題

【閑】タンス預金の行方

第一生命経済研究所のEconomic Trends 2024年1月15日号によると、足下では銀行券発行残高が前年比マイナスになっており、2023年11月に前年比▲0.03%とマイナスに転じた後、12月も▲0.3%とマイナス幅が拡大したとのこと。理由は2024年7月に予定される新札発行を前に、タンス預金をしていた人たちが現行の紙幣で持つことを敬遠する人が多いからだとしています。タンス預金をしている人は、できれば新札で持ちたいと思うからでしょう。

当レポートの筆者(熊野英夫 首席エコノミスト)の試算では、タンス預金の残高は2023年12月に59.4兆円であり、ピークであった2023年1月の60.4兆円から▲1兆円減少したことになるそうです。同じ現象は20年前の新札発行時(2004年11月)にも起こっていました。このときは、前年比▲7.5%まで減少したとのことです。もし、今回も▲7.5%まで減少するとしたら、▲4.5兆円程度の資金シフトがタンス預金から見込まれることになります。いったい、この4.5兆円はどこへ行くのでしょうか。

一部では20年ぶりの新札発行は、積み上がったタンス預金をいぶり出すのが目的ではないか、との声もあるようです。ホントかウソか知りませんが、政府が進める資産運用立国政策の一環との見立てです。筆者は、目的や意図は別として、2024年夏にかけてタンス預金からのシフトが活発化することは間違いないとみています。大きな要因の一つが、2024年6月に所得減税が行われることです。過去、こうした一時的な所得増は、貯蓄やタンス預金に回ることが多かったです。2020年夏から秋に支給された国民1人10万円の特別定額給付金の際は、銀行券発行残高が前年比+5~6%まで大きく押し上げられました。今回は、新札発行が2024年7月のタイミングのため、所得減税で得たお金=総額5.4兆円の中からタンス預金に回る割合は相当少なくなると思われます。所得減税分を含めた数兆円の資金の行方が気になります。

筆者はタンス預金の行き先として、現金によく似た性格であり、インフレ抵抗力もある金(ゴールド)や暗号資産を候補に挙げています。私は金や暗号資産は一般の人にとって、かなり特殊な投資先だと考えます。やはり第1候補は単純に銀行預金でしょう。また、株式や投資信託にも一部のお金が流れるのではないでしょうか。

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株式

【株】運転手さん、制限速度オーバーですよ

年始早々、株式相場がえらいことになっています。2024年は堅調な相場を予測する市場関係者や会社経営者が多かったのは事実ですが、年初いきなりのこの展開を予想した人は少なかったのではないでしょうか。

後付けの講釈になってしまいますが、1月4日大発会に出現した日経平均チャートの長い下ヒゲ。この日の引け味の良さに相場の強さを実感した人は多かったと思いますが、CTA等の海外ファンドもこれを見て一気に買いポジションに走った可能性があります。それから、能登半島地震の影響で、マイナス金利解除の1月実施の可能性が低下したことも大きかった。また、昨年6月以来再々に亘って上値抵抗線となっていた34,000円をあっさり超えたことでショート筋が大踏み上げ大会を演じ、相場の上げを加速させた面もありました。でも、1週間で3,000円の上げですよ。さすがにスピード違反でしょう。さらに、1月12日には幻のSQ値36,000円のおまけまで付きました。

週明けの1月15日、私は日経平均が大幅に下落するものと確信していましたが、またもや300円を超える上げとなり、改めて36,000円トライの様相です。私は確定拠出年金の日経平均インデックス投信を、34,500円を超えた1月11日の引け値で売却しました。しかし、このまま上昇相場が続くとNISAで個別株を買うことができません。どうしたものか? 相場下落の材料は、CTAの買いポジションの手仕舞いと、日銀のマイナス金利解除の思惑ですかね。

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株式

【株】Z世代と長期投資

「今どきの若者」のリアル(山田昌弘編、PHP新書)を読みました。第1章を世代・トレンド評論家でお馴染みの牛窪恵さんが書かれています。牛窪さんは、時間の浪費、ストレス、不確実性を嫌うのがZ世代の特徴だと言います。そして、カラオケボックスでサビの部分だけを歌う「サビカラ」(JOYSOUND)など、短時間でかつ、”余分なストレスを与えない”コンテンツが、Z世代を中心に人気を集めていると具体例を紹介しています。(私など「サビカラ」と聞いて、ワサビとカラシのことかと思いましたが……)

私は長期投資をZ世代の若者に理解してもらうことの困難さを痛感しました。長期投資は時間がかかり、大きなストレスに耐え、不確実性を伴うもので、まさにZ世代の特徴の真逆をいっているからです。
株式に馴染んでもらうことを優先して、ゲーム感覚の短期投資から入ってもらうことも検討する必要があるかも。本当に悩ましい問題です。

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保険

【保】がん保険不要論

楽天証券経済研究所客員研究員で経済評論家の山崎元さんが1月1日お亡くなりになりました。山崎さんは「”やってはいけない”資産運用」などの書籍やユーチューブを通じ、個人投資家向けに分かりやすい言葉で資産運用の基本の啓蒙に努められました。65歳という早すぎる死に、心よりお悔やみ申し上げます。
山崎さんはがんに罹患後、がんの治療費の大半を公的医療(健康保険)からの給付で賄うことができたご自身の経験から、がん保険不要論を強く主張されていました。健康保険の高額療養費と、山崎さんが加入されていた健康保険組合の任意給付で、実質的な自己負担は月額2万円程度であったとのことです。

こういう話を聞くと、日本には立派な公的医療制度があるので、わざわざ個人で民間のがん保険に入る必要はないと思ってしまいます。しかし、実際には日本人の約4割の人ががん保険(がん特約を含む)に加入しています。(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022年度)これはなぜでしょうか。理由のひとつは、今現在十分な公的医療が受けられても、先々今の水準の給付を受けられる保証はないことです。つまり、公的医療制度の将来不安です。ふたつめは、がん保険はがんの治療費をカバ-するだけのものではないことです。がんに罹患すると、長期に亘って抗がん剤や放射線の治療が必要となるケースがあります。治療のダメージでフルタイムの就業が困難になったり、休業せざるをえなくなったりと、収入の減少は避けられません。その際、がん保険に入っていれば、収入の減少をカバーすることができます。そして、もうひとつ。日本人にはリスクを過大に評価するリスク過敏症(あるいは心配症)とも言うべき性癖があります。がんに罹っても治療費は健康保険で賄えるから大丈夫と言っても、本当にそうか?想定以上に治療費がかかったらどうしてくれるんだ!と多くの日本人は尽きることのない不安に悩まされます。そして、不安を和らげる精神安定剤として、がん保険が必要とされるわけです。

さて、ここからは頭の体操です。目下、政府は新NISAやiDeCoといった税制優遇措置により、国民の2,000兆円に及ぶ金融資産を株式や投資信託に誘導しようと躍起になっていますが、足元でNISA口座を開設したのは国民の20%程度です。業を煮やした政府が法改正して、国民に年収の一定額(例えば年収の2割)の株式を保有するよう義務付けたと仮定します。このとき、何が起こるでしょうか。長期で保有していれば株式は利益を生むはずと政府がいくら説明しても、その言葉を信用する国民はきっと少数です。そして、株式が下落したときの損失を補償する”株式保険”(実態はただの円株プットオプション)を保険会社が発売したならば、多くの国民が購入することでしょう。このとき、株式の下落による損失を”株式保険”でカバーできても、トータル損益は保険料相当だけ確実にマイナスとなります。株式は長期的には上昇していくという政府の説明は正しいのです。それでも確率的には小さな株式下落リスクを過大に評価して、日本人は”株式保険”の購入という非合理的な行動に出るのです。これはがんのリスクに過剰に反応し、本来は不要であるはずのがん保険を購入する日本人の行動パターンと相似形です。

山崎元さんが主張された「がん保険不要論」は、ほぼ正しいと思います。しかし、人間は必ずしも理屈通りに動くものではありません。人間の行動原理の非合理性によって、がん保険は今後も支持され続けるでしょう。