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閑話休題

【閑】介護施設に母を訪ねる

現在、私の母は要介護2級の認知症で、特別養護老人ホーム(特養)に入っています。一時は母の顔から表情が消え、まるでデスマスクのようになっていました。会話は成立せず、徘徊も始ったので、自宅介護を諦め施設に入ってもらいました。当時は夫(私の父)の名前も言えない状態で、要介護4級に認定されました。しかし、不思議なもので薬を変えたところ、母の顔に表情が戻り、会話も普通にできるようになったのです。要介護認定も2級に改善しました。(直前の出来事や言動を直ぐに忘れてしまう認知症固有の症状は、残念ながら改善しません。)

母が入っている施設は私の自宅から車で30分ほどの距離で、月に1回の頻度で訪問しています。先日施設を訪問したときは、母はニコニコしながら食堂でトレーを拭いていました。この施設では体を動かせる入所者には、軽い作業をさせているようです。母は自分を施設の職員だと思い込んでおり、しきりに「忙しい、忙しい」と口にしていました。そして、実家にいる父のことを「おっとおは、働かんとテレビばっか見とるでかんわ。あんなもん、じきボケるで。」と名古屋弁でディスるのでした。

満足そうな母の様子を見ていると、認知症もそう悪いものでもないと思えてきます。少なくとも、死の恐怖からはおさらばです。

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株式

【株】バブル超え

2024年2月22日、とうとう日経平均はバブル高値の38,915円を超えました。もう少し時間がかかるかと思っていましたが、意外にあっさり超えてしまいました。当日は新聞の号外が配られたり、翌日の朝刊一面に大きく「バブル超え」の文字が掲載されたりと、一部で盛り上がりは見られましたが、多くの一般ピープルにとっては他人事のような印象でした。バブルは35年も前の出来事であり、今や日本人の忘却の彼方へ消え去ってしまったのでしょうか。

私は1987年4月に某銀行に入行したので、バブルの形成と崩壊をリアルタイムで経験しました。(もっとも、それがバブルだと分かったのは、バブルが崩壊して何年もたってからのことです。) 当時の状況を今と比較して感じるのは、関係者の熱量の違いです。当時は一般の事業法人が、本業そっちのけで「財テク」と称して株の投機にのめりこんでいました。投資家はプロもアマも冷静な判断力を失い、上がるから買う→買うから上がる→……という集団ヒステリー状態の中、地獄への階段を駆け上がっていきました。  
なぜ、あのとき、誰もが熱病に冒されていたのか? 立ち止まって、後ろを振り返らなかったのか? ひとつには、当時の東京株式市場は海外投資家がほとんど参入できない鎖国状態にあり、東京市場が海外市場と比べ割高な状態にあっても裁定は働かず、冷や水をかけて目を覚ませてくれる人がいなかったからだと思います。(その後、ソロモンブラザーズ等の米系投資銀行の本格的参入がバブル崩壊のきっかけとなったことは象徴的です。)

しかし、今や海外投資家の東証売買シェアは6割から7割に達し、他市場と比べ東京だけが割高な水準に買われることは考えにくい状況です。今回のバブル超えも日本発のバブルというよりも、世界共通の半導体ミニバブルという方が妥当だと思います。インフレによる日本株大暴落説を唱える澤上篤人さんのような方もいらっしゃいますが、今の株高がバブルでないとすれば、調整があっても、当面、通常モードの10%~20%程度の下げを見込んでおけば十分でしょう。

それでは、長期個人投資家はこの先どう動くべきか。日経平均が最高値を更新した直後ですから、押し目を待つというのも一案でしょう。でも、このまま押し目らしい押し目もなくもう一段高、の可能性もあります。投資に相場観を入れないとの私の立場では、①全額直ぐ買う、②購入予算の取り敢えず半分を買う、の2択となります。②では3ヶ月とか6ヶ月とかの期間を定め、期間内にターゲットとする水準まで下がってこなければ、その時点で残りの買いを入れることになります。

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年金

【年】年金を繰下げる

皆さんが一番恐れているもの、最大のリスクは何でしょうか。仕事のストレスや上司のパワハラ? 相場の大暴落? 子供の将来? 数え上げたら切りがありませんが、私の場合は医学の進歩で人間が死ななくなること、超高齢期まで生き延びてしまうことです。そうなると医療や介護の費用が青天井でかかり、子供や(まだいませんが)孫に迷惑をかけてしまうことが心配です。

次世代にかける負担を少しでも軽くするため私たちにできることは、自分の面倒は自分でみることです。医療や介護の費用は極力自分で準備することです。そのために手っ取り早い方法が、(公的)年金の繰下げによる受取額の増額です。(5年の繰下げで42%の増額) 年金を繰下げるというと、「どうせ長生きできないから繰下げは損だ」という声が必ず聞こえてきます。そういう人は年金を「預金」と同じように考えています。年金は現役時代に国に預けたお金なのだから、退職後は利息を付けて返してもらわないと損だというわけです。

確かにそういう考え方も一理あります。しかし、年金の繰下げで増額された年金額は生涯にわたって保証されます。年金の増額で医療や介護の負担増に対応する余力がつきます。払った保険料は死ぬまでに回収したいという気持ちも分かりますが、年金を長寿への「保険」と考えてみてはいかがでしょう。体の動く間は仕事を続け、その間、年金は繰下げる。そして、いよいよ体が言うことを聞かなくなったら年金の受給を開始し、生活費や公的医療・介護制度で賄いきれない費用に充当する。もちろん、心や体の調子が悪い人が年金を繰上げることは、否定されるものではありません。でも元気な高齢者は、次世代の負担を軽減するため、少しばかり汗をかいても罰は当たらないでしょう。

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株式

【株】兜町のマグマ

最近はFOMCじゃなくて、FOMO(Fearing of Missing Out)というらしいですね。買えないまま相場が上がってしまい、未来永劫買えないのではないかという恐怖。日本中の投資家がこの恐怖にとらわれています。かく言う私も、確定拠出年金で日経平均インデックス投信を売ったまでは良かったのですが、あっという間に相場が2,000円も上がってしまい、 この先どうしたものかと途方に暮れる今日この頃です。

バブル期の最高値38,915円(引値ベース)まで、あと2,000円です。さすがにこのゾーンは簡単には抜けないと思います。でも、抜けてしまったら、そこは宇宙空間です。行く手を阻むモノは何もありません。50,000円、60,000円と一気に突き抜けていくことでしょう。

失われた30年。世界大恐慌以来、先進諸国でこれだけの永きに亘って経済スランプを経験した国はありません。この間、怒りや絶望、嘆きといった日本人の負の巨大なマグマが、兜町の地中深くに蓄積されてきました。そして、今、マグマは噴出する時を待っています。富士山の大噴火に匹敵する凄まじいパワーを、この目で見る日は近いです。