いやあ、強いですね。9月9日、日経平均株価はザラ場で一時44,000円台をつけました。新聞等の報道では、総裁選挙で高市早苗氏が勝利すれば金融緩和・財政拡大路線が取られるとの思惑から株が買われているとのことですが、実際のところは分かりません。私は、単に足の速いイベントドリブン系のヘッジファンドがポジションを組んだだけだと思っていますが……。彼らは2024年9月の前回総裁選挙の際も、高市氏の勝利にベットして日本株を買い上がり(高市トレード)、決選投票で石破氏が勝利すると一斉にポジションの解消に走って日経平均急落のきっかけを作った前科があります。今回も同じ展開とならないことを祈ります。
さて、相場はどちらに動くのか。私などに分かるはずもありませんが、そもそも高市氏勝利⇒日本株買い、のシナリオが合っているのか疑ってみることも必要かと思います。仮に高市氏が総裁選挙に勝利し、注文通りに財政拡大政策をとったとしましょう。当然、財源は赤字国債です。しかし、ただでさえ足下では長期~超長期国債の市場は不安定な状態です。そこへ国債増発なんて話をしたら、火に油を注ぐようなもの。債券のパニック売りは必至です。そして、日本国債の暴落は円資産全般の信用低下に繋がります。つまるところ、円債売り⇒円売り⇒円株売り、です。
次に、高市氏が金融緩和策を取れるのかという話です。建前上は、金融政策は日銀の専管事項となっています。総理大臣といえど、軽はずみに口出しできません。権限のない大統領が中銀トップをクビにするぞと恫喝する某ならず者国家と日本は違います。物価の高騰が続く日本で、金融引き締めを続ける日銀のスタンスを総理大臣が自分の都合で勝手にねじ曲げることは許されません。
このように、仮に高市氏が総理大臣に選出されたとしても、金融緩和・財政拡大策を実施することは容易ではないことが分かります。それに、総裁選で高市氏が敗北する可能性も考慮しなければいけません。
現下の相場で私たち長期投資家が肝に命ずべきは、買いは押し目を待つこと。高市トレードに踊らされて高値に飛びつかないことです。
