カテゴリー
閑話休題

【閑】昭和男とスギちゃん

最近は年(60歳)のせいか、食事はさっぱりした日本食、お酒はすっきり辛口の冷酒、音楽はすかすかのブルースがお気に入りです。身の回りのグッズも、無駄な飾りのない機能的なものに惹かれます。ハサミとか包丁とか。そうそう、バイクなんか、とてもセクシーだと思います。

生活や趣味でもシンプルさを追求するようになりました。家族や友人、会社の仲間やお客様の笑顔、それから投資している株式の塩梅。生活面で気を配っているのはこれくらいです。趣味は登山とダイビングの2つだけ。その分、体の動く限りは徹底して楽しみたいです。また、趣味ではシンプルさだけでなく、ワイルドさも追求しています。私は無事に山から下りてきたとき、海から上がってきたとき、こう心の中でつぶやきます。「ワイルドだろうぉ。」(スギちゃんか!) いい年してタフガイに憧れる、昭和男のノスタルジーだと笑ってやって下さい。

カテゴリー
閑話休題

【閑】寄生虫人生

人間は「幸せ」を糧に生きている動物です。そして人間には2つのタイプがあります。自分で「幸せ」を創れるタイプと、自分では「幸せ」を創ることができないタイプ。ちょうど光合成で炭水化物を作れる植物と、葉緑体を持たず自分では炭水化物を作れない植物がいるのと同じです。では、自分で「幸せ」を創れない人間は、どうやって生きていくのでしょうか? 彼らは他人に寄生し、「幸せ」を分けてもらうことで生を繋いでいきます。

どうやら私は、自分で「幸せ」を創れないタイプのようです。もうすぐお盆ですが、私の勤めていた会社にはお盆休みがありませんでした。しかし、私はお盆休みに故郷へ帰省したり、観光地に向かう人たちを見るのが好きでした。なぜか私もハッピーな気分になれたからです。今にして思えば、帰省や旅行に行く人たちから「幸せ」を分けてもらっていたのだと思います。そして、今では嫁さんや娘から「幸せ」を分けてもらっています。嫁さんや娘が毎日を楽しく、思い通りに過ごせる環境を整えるのが、ダンナでありオヤジである私の役目です。

これからも私は寄生虫として生きていくことになりますが、寄生虫の人生にもいい面があります。人は加齢とともに自分で「幸せ」を創り出すことが難しくなっていきますが、寄生虫は高齢者になっても若年者の宿主に寄生すれば、いつまでも上質で瑞々しい「幸せ」を感じることが可能です。こんなことを言うと、若い人から「気持ち悪りぃジジィ」と嫌われそうですが……。

カテゴリー
閑話休題

【閑】急がば回れ~霊峰白山の雪辱

2024年7月27日(土)、私は霊峰白山へ2度目の挑戦をしました。昨年コテンパンにやられた、あの白山です。昨年は準備万端、自信満々で登山に臨んだのですが、スタート直後からバテバテ、コースタイム8時間30分のところ、10時間かけて登頂・下山したのでした。事前に十分トレーニングしたのに、なぜあんなにもバテたのか。まず思い当たるのが、オーバーペースです。私は白山(2,702m)ほどの本格的な山に登るのは30年ぶりでしたが、ついつい若かったころのイメージで登り始めてしまいました。結果は、1時間後に”仮死状態”。そして、もうひとつの理由が飲酒です。昨年は前日に結構な量のお酒を飲み、体の重さを感じながら白山に登りました。(医学的に正しいかどうか知りませんが)、人間は登山中に大量の筋肉老廃物を血中に放出します。しかし、アルコールで腎機能が低下していると、老廃物の無毒化に支障が出るはず。そのため、体内に毒素が長期間滞留し、悪影響が出たのでは? また、脱水症状にもなりやすかったのでは?と、勝手に自己分析しました。

今回は昨年の反省を踏まえ、マイペースの登山に徹しました。しんどさを感じたら、とにかくペースダウン。そして、4ヶ月前からの”準禁酒”。意思の弱い私には完全な禁酒は無理なので、週1日程度に飲酒を限定しました。以前は年間366日?飲んでいたので、これでもかなりの酒量削減です。この2つを武器に、雪辱を果たすべく臨んだ霊峰白山。前回の記録を大幅に短縮する、7時間10分(休憩時間は除く)で登頂・下山できました。急がば回れ!この調子で南アルプスの光岳にも挑戦したいと思います。(7月に予定していた北アルプス薬師岳は天候不順のため断念しました。)

カテゴリー
閑話休題

【閑】柔よく剛を制す

私のサラリーマン人生は今年で37年になりますが、そのほとんどを営業の仕事に費やしてきました。それもお偉いさん(管理職)ではなく、現場の担当者としてです。営業ですから、当然結果を求められます。どうしたら成果を上げられるか。ない知恵を絞って色々と考えました。若い頃は「当社サービスをご利用いただくと、こんないいことがありますよ」的な、お客様の業務改善に繋がる提案を心懸けました。でも、大抵のお客様は、「お宅のサービスがうちにとってプラスになることは分かったけど、オレ、今忙しいんだよ。悪いけど、またにしてくれる。」といった感じで、スルーされることがほとんどでした。担当者様では埒があかないからと、部長様や課長様のところへ話を持って行くと、担当者様から「何で上に話を持って行った! オレは今忙しいと言っただろ!」と、きついお叱りをいただくのが常でした。

ヘタレな私は、社内でも上司からよく叱られました。他人に叱られるというのは、実に不愉快なものです。あるとき、私は気付きました。上司に叱られて不愉快なのは、取引先の担当者様も同じはず。だったら、担当者様が上司から叱られないようなお手伝いができれば、担当者様も当社サービスの採用に協力して下さるのではないか。例えば、私が担当者様の会社にダメージを与える可能性のある事案をご指摘し、当社サービスを使った対応策をご提案できれば、担当者様も喜んで動いてくれるのではないか。なぜなら、会社にとってダメージとなる事態を事前に回避できる手立てがありながら、担当者様の怠慢で放置したことが分かったら、あとから担当者様は上司に厳しく叱責されるはずだからです。(これはいわゆるマッチポンプというやつです。)

そのときから私は悪魔になりました。私は様々な業種の取引先を担当していましたが、その業界で、あるいはその取引先で先々災いとなりそうなネタを、毎日目を皿のようにして探しました。法律の改正、マーケットの変化、競合の動向、地政学的リスク等、環境の変化に伴うネタはいくつもあります。目に付いたネタがいかに取引先のダメージとなるか。そして、当社のサービスがいかにダメージを極小化するか。この流れをストーリーにまとめたら、あとはプレゼン資料に落とし込むだけです。(※)
(※)資料イメージ:①外部環境の変化→②取引先への影響→③当社サービスを使った対応策の提案→④効果検証(シミュレーション)

サラリーマンにとって、会社の利益への貢献度を評価される期待よりも、会社に生じた損失の責任を追及される恐怖の方が、アクションを起こす動機付け効果は大きいようです。私が指摘する事案がどれほど会社にダメージを与えるか、ダメージの程度を私が強調するほど、当社サービスを採用いただける可能性は高まります。私は取引先の危機を煽り立てる、忌まわしい悪魔でした。

私は高校で少しだけ柔道をやっていました。柔道には「柔よく剛を制す」という言葉があります。相手の態勢を”崩し”、相手の力をうまく利用すれば、体格の小さな者でも大きな相手を投げることができることを言います。私の営業では、当社のサービス内容を説明する前に、環境の変化により取引先がいかにヤバい状況にあるか、担当者様にご理解いただくところが”崩し”に相当します。自社のヤバい状況を理解した担当者様は、私が営業でプッシュするまでもなく、ご自身で前のめりになって当社サービスの採用に動いて下さいました。どれだけ当社サービスの品質が優れていても、それだけでは担当者様の「今オレ忙しい」の一言で終わりです。担当者様に危機感を共有いただき、「オレがさぼっていたことが課長にバレたらマズい」と思っていただければ、その時点で商談は成立したも同然です。




カテゴリー
閑話休題

【閑】お札とお札

私は毎朝、ある女性行政書士のブログを訪問するのが日課となっています。それは、私がいつか行政書士の試験にチャレンジしたいと思っていることもありますが、彼女のちょっと斜に構えた、そしてちょっと皮肉めいたドライな語り口が無性に好きだからです。昨日の朝もブログを訪問し、いつものように最新の記事を読み始めたのですが、何ともいえない違和感を感じました。記事はこんな書き出しで始ります。「そういえば、お札を新しいものに替えていなかった。外出したついでに神社に寄って、お札を新しいものに替えよう。」 私はてっきり、お札(さつ)を新札に交換する話かと思いました。テレビで諭吉から栄一さんにチェンジするというニュースをやってましたから。(※) でも、それなら行き先は銀行のはず。なんで神社なの? 確かに神社ならお賽銭のお札はいっぱいありそうだけど、旧札を新札に両替してくれるなんて聞いたことないし……。これが私の感じた違和感の正体です。そして、私の鈍い脳みそが、お札=おふだ、であると認識するまで10分かかりました。
(※)新札の発行は7月3日です。

でも、言い訳するわけじゃありませんが、お札(さつ)とお札(ふだ)、この二つをフリガナなしで並べられたら、正直、区別つきませんて。悔しいのでググってみたら、私と同じようなコメントがいっぱい出てきました。中には、最中(もなか)と最中(さいちゅう)も区別できないぞ、との意見もありましたが、こちらは前後の文脈から判断できそうです。

お札(さつ)とお札(ふだ)の話に戻ります。この二つが同じ文字なのは、もともとの由来が同じだからだそうです。(ネット記事の受け売りですが。) 現代社会では、モノやサービスの代金はお札(さつ)で「支払い」ますが、これは「お祓い」に由来する言葉とのこと。その昔、神社では人の罪やケガレのお祓いをヌサという紙(または麻・木綿)を使って行ったあとで、領収書兼お守りとして依頼人にお札(ふだ)を渡していました。そして、このヌサが現在のお札(さつ)に発展したと考えられています。このように、お札(さつ)もお札(ふだ)も、人の罪やケガレを祓うことに関係したものであり、言ってみれば双子のような関係だったのです。今ではお札(おさつ)は、人間の「金銭欲」や「支配欲」といったケガレの支払いに充てられています。お金持ちはおのれのケガレを落とすため、必死で稼いだお金を必死で使っているわけです。そう思うと、意外にお金持ちも辛いかもしれませんね。

カテゴリー
閑話休題

【閑】海の中の槍ヶ岳

海と山と」では海と山が通じているというお話をしましたが、今回はその続きです。まずは、下の写真↓と上の写真↑を見比べて下さい。ちなみに上の写真↑は槍ヶ岳です。

荒ぶる海から突き出た、槍の穂先のような岩の塊。何じゃこりゃ?と思われたことでしょう。これは東京のはるか南約650キロ、鳥島の南約76キロにある高さ100mの孀婦岩(ソーフガンまたはソーフイワ)といわれる奇岩です。(偶然の一致というべきか、槍の肩から槍ヶ岳山頂まで、いわゆる「槍の穂先」の標高差も100mです。) 2018年秋に放送されたNHKスペシャル「秘境探検 東京ロストワールド孀婦岩」を見て知ってるという人もいるかもしれません。

写真を見ると単独の岩が突き出ているように見えますが、実は水深200mほどのところに平らな台地状の山があり、その山は水深2,500mの深海から立ち上がっているのです。(ケーキにロウソクが付き刺さっている様子を想像して下さい。)つまり、標高2,800mのアルプス級の高山の先端100mが海から突き出ているわけです。孀婦岩は安全岩という硬い岩石でできていることが学術調査で分かっていますが、今のような波の浸食を受け続けていくと、数百年から数千年で消えてなくなると推測されています。

以前は、孀婦岩への不定期航路を持つ「スターマリンⅢ号」という大型高速遊漁船があり、ダイビングショップによる孀婦岩ツアーが開催されたこともありますが、その後、乗客減少により海外へ移転したようです。現在は、下田から孀婦岩まで行く船をチャーターできるとの情報もありますが、詳細は不明です。私は来年、槍ヶ岳に登りたいと考えていますが、孀婦岩にはダイビングはおろか近付くことさえままなりません。
(※)古い本ですが孀婦岩については「東京都・豆南諸島まるごと探検」(山下和秀著 三五館)に詳しい。

カテゴリー
閑話休題

【閑】海と山と

当ブログではたびたび書いてきましたが、私の趣味は山登りとスキューバダイビングです。山へは1年を通じ足を運んでいますが、海は7月末~9月末の夏季限定となります。ダイバーの中にはドライスーツに身を包み、真冬の海に潜るツワモノもいますが、ヘタレはそんなことはしません。これからの季節、週末は越前海岸や伊豆の海に通いながら、間を見て山へ行く日々が続きます。ちなみに山の方は7月上旬に昨年の雪辱を果たすべく白山(2,702m)に登り、続いて7月下旬に北アルプスの薬師岳(2,926m)、9月初に南アルプスの光岳(2,591m)に登る予定です。

昨今のアウトドアブームで、低山、高山を問わず日本中の山はどこも登山者であふれています。一方で寂しい限りなのが、(首都圏から近い伊豆半島を除く)全国のダイビングスポットです。ファンダイブに参加するのは、ほとんどが50歳以上のシニアで、参加人数も数人程度と閑古鳥が鳴いています。しかし、私が山登りとダイビングを始めた30年前は違っていました。山登りはキケン・キツイ・キタナイの3Kと言われ、山ヤ(山登りをやっている人)は変わり者、さらには反社会的勢力として世間から白い眼で見られていました。山はそんなアウトローたちの聖地だったのです。逆にダイビングはテニスやスキーと並ぶお洒落なスポーツとして人気を博し、ダイビングスポットはどこも若者で賑わっていました。今は昔といいますが、海を愛する者として、とても悲しく思います。

ところで、私の山仲間でダイビングをやっている人は一人もいません。でも、ダイバー仲間で山をやっている人は何人もいます。これはなぜだろうと考えました。海は山ヤにとって全く異質な世界ですが、山はダイバーにとって海に似た親近感を感じさせる場所です。例えば、海に潜ると根といわれる大きな岩が出てきます。そして、根を海底から見上げると、山を見上げているかのような錯覚にとらわれます。また、海中を泳ぐ魚たちは、まるで空を舞う鳥のようです。海底に目をやれば、そこには赤、青、黄色と色とりどりのソフトコーラルのお花畑が広がっています。このように海の景色が山と通じていることを感じたダイバーが、活動の場を海から山へと広げていくのは自然なことだと思います。

身近なダイビングスポットというと、温泉で有名な熱海があります。熱海の汚れた海に潜ると、別世界が目に飛び込んできます。温泉街の目と鼻の先でこんな光景↓が展開しているなんて、誰も想像しませんよね。私も初めて熱海で潜ったときはビックリしました。そして、後日、北アルプスの白馬岳のお花畑↑を訪れたときに熱海の海で見た光景がフラッシュバックし、2度目のビックリを経験したものです。
私はこれからも海と山の二刀流を続け、海と山を一体として経験することで得られる感動を、一人でも多くの人に伝えていきたいと思います。

カテゴリー
閑話休題

【閑】ジョブ型雇用が招く近未来の日本

最近ジョブ型雇用という言葉を目にする機会が増えました。ジョブ型雇用とは、人材を採用する際に職務内容(ジョブ)を明確に定義して雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用形態をいいます。ジョブ型雇用はもともと欧米で主流(ほぼ100%)の制度ですが、我が国でも注目を集め導入する大手企業が増えています。ジョブ型雇用に対し、従来から日本企業で採用されてきた雇用形態はメンバーシップ型雇用と呼ばれます。メンバーシップ型雇用とは、終身雇用制を前提に新卒で社員を一斉に採用し、業務内容や勤務地を限定せずに契約を結ぶ雇用形態のことです。
ジョブ型雇用では職務を遂行する能力を持った即戦力のプロを、必要に応じ随時採用します。メンバーシップ型雇用では新入社員を一括採用し、研修や異動・配置転換によって時間をかけて戦力化を図ります。(ジョブ型雇用では異動・配置転換はありません) ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の流れをイメージすると、下図のようになります。ジョブ型雇用では人は職務と紐付けされ(下図では人事)、労働者は同一の職務に従事しながら、スペシャリストとして転職を重ねてキャリアアップを図ります。一方、メンバーシップ型雇用では人は会社と紐付けされ(下図ではA社)、同一の会社内部で色々な職務を経験しながら、ゼネラリストとしてキャリアアップを図ります。メンバーシップ型雇用の縦の動きに対し、ジョブ型雇用では横の動きとなります。(こんな感じに社会のあり方が変わっていくとすると、儲かる会社のイメージが湧いてきませんか?)


ジョブ型雇用というと何か目新しい雇用形態のように聞こえますが、むしろ原始的なものです。18世紀に出版されたアダム・スミスの「国富論」に分業による生産性の向上が論じられていますが、ジョブ型雇用の原型はこの「国富論」にあると言われています。我が国においても戦前はジョブ型雇用が一般的で、メンバーシップ型雇用が普及したのは戦後の高度経済成長期のことです。そのため、1947年に施行された労働基準法はジョブ型雇用が立て付けとなっており、雇用時に労使で締結する労働契約に就業場所や従事する職務の内容を絶対的記載事項として明示するよう求めています。(※1)

近年ジョブ型雇用が注目を集めるのには、いくつか理由があります。一つめは、経団連が2020年に公表した「2020年版経営労働政策特別委員会報告」において、日本型雇用システムであるメンバーシップ型雇用のメリットを活かしつつ、適宜ジョブ型雇用を取り入れていくべきと提言していることです。二つめは、日本企業が高スキルのプロ人材を獲得し国際競争力を上げるには、グローバルスタンダードであるジョブ型雇用の迅速な導入が不可欠なことです。三つめは、コロナ禍による在宅勤務やテレワークの普及で、上司や同僚との緊密なコミュニケーションが必要となるメンバーシップ型雇用のミスマッチが目立ってきたことです。そして最後に、「失われた30年」で疲弊した日本企業に定年まで丸抱えで社員の面倒をみる余裕がなくなり、メンバーシップ型雇用の維持が困難になってきたことです。私は最後の理由が一番大きいだろうと見ています。

さて、この先ジョブ型雇用が一般化した場合、日本社会はどう変わるのでしょうか。海外の事例がヒントになります。「50代からの東京アーリーリタイア生活」のブログ主:WATARUさんによれば(WATARUさんは海外勤務が長い)、海外ではあるポジションで人材を募集する場合、会社は正社員と(社外の)個人事業主を同じ土俵で比較して採用を決めるそうです。WATARUさんが参画したプロジェクトでは、約半数がコントラクターと呼ばれる個人事業主だったとのこと。はじき出された正社員は、場合によってはクビです。(※2) このように、ジョブ型雇用の世界では正社員といえども安住の地位にはなく、社外の個人事業主たちと生存競争を繰り広げる不安定な日々を送ることになります。では、正社員の将来は暗いかというと、私は必ずしもそうではないと思います。なぜなら、仕事への満足度調査で、正社員よりもフリーターの方が満足度が高いとの結果がいくつも報告されているからです。処遇面で明らかに不利な立場にあるフリーターが、なぜ正社員よりも仕事への満足度が高いのか。それは恐らくフリーターが会社に隷属せず、自分の意思に従って仕事をしているから。そして、自分で自分の人生をコントロールできている自負があるからだと思います。ジョブ型雇用の導入で会社の指揮命令系統を離れ自主性を取り戻した正社員は、きっと仕事への満足度を向上させることでしょう。

(※1)労働契約法は、一定の条件を満たした場合には就業規則に定める労働条件をもって、労働契約の内容に代えることを認めています。そして就業規則では、就業場所や従事すべき職務の内容の記載が免除されます。つまり、メンバーシップ型雇用は労働契約法のもとに成立していることになります。
(※2)現在、日本では労働契約法の解雇権濫用法理がネックとなって、事業主は自由に社員をクビにすることはできません。解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効とされます。しかし、今後時代の変遷に伴い、このあたりの解釈も変わっていく可能性はあります。

カテゴリー
閑話休題

【閑】嘱託おじさん

私は2024年3月末をもって会社を定年退職し、引き続き4月1日から嘱託社員として勤務しています。年収は税金・社会保険料込みで280万円となります。したがって、月収は280万円÷12=23万3千円。ひと月に20日働くとして、日給は23.3万円÷20=11,700円。1日に8時間働くとして、11,700円÷8=1462円。私の時給は1460円となります。大学生の娘のバイト代と変わりませんが、手取りベースでは負けます。そして、私は何事もなかったかのように、今までと同じ職場で同じ仕事を粛々とやっています。

退職の日、嘱託となる私に上司が温かい言葉をかけて下さいました。「今までと変わることなく、志を高く持って職務に当たるように!」「それはあなたではなく私が言うせりふでは?」と思いましたが、黙っていました。
こう見えて、私も社労士の端くれです。長澤運輸事件や名古屋自動車学校事件に関する判例についての認識はあります。でも、ここは大人の対応をすべき場面なのでしょう。あと5年、お世話になるのですから。

カテゴリー
閑話休題

【閑】謎はすべて解けた

少年マガジンに連載されていた「金田一少年の事件簿」の主人公:金田一ハジメが発する有名な決めセリフですが、最近、私は思わずこのセリフをつぶやいてしまいました。私は高血圧、高血糖、高コレステロール、高尿酸と、成人病のデパートと化しており、係り付けのドクターからダイエットするよう厳命されています。ジョギング・山登り等の運動や、ご飯やお肉の量を減らして魚を食べる等、今まで地道な努力を続けてきましたが、私の体重は減るどころか増える一方です。
「どうして俺の体重は減らないんだ? これ以上何をしろって言うんだ?」 体重が前月から2キロ増えたことを知った夜、私は絶望のあまり慟哭しました。そして、やけになってウイスキーをストレートで煽りました。蒸留酒であれば太らないと誰かに聞いていたので、日頃から私はよく焼酎やウイスキーを飲みます。

ある日、ネットで気になる記事を見つけました。「アルコールが中性脂肪を上げるメカニズム」と題したその記事には、こんな怖いことが書かれています。「アルコールが肝臓に入ると、中性脂肪の原料である脂肪酸を作る酵素(SREBP-1c)の働きが高まり、一方で脂肪酸の燃焼を促す酵素(AMPK)の働きが抑制されるので、中性脂肪が次々と合成されます。さらに、アルコールの分解の過程で出てくるアセトアルデヒドは、中性脂肪の分解や脂肪酸の燃焼に関係するPPAR-αの働きを抑えるので、中性脂肪は分解されず体内に残ります。このように、いくつもの酵素がアルコールの影響を受けて、肝臓内の中性脂肪を増やす方向に働くのです。肝臓で作られた中性脂肪の大半は、血液中に放出されます。」

あちゃー。私がダイエットのためにあらゆる努力をしながら一向に体重が減らなかった理由が、恐らくこれです。