私は学生の頃から海外のポップスが好きで、60年代から80年代の曲をよく聴いていました。中でも、ビートルズのSomethingとLong and Winding Roadが大好きです。
Somethingといえばジョージ・ハリソンの名曲で、ビートルズの数多あるヒット曲の中でもYesterdayに次いでカバーされることの多い曲です。この曲は好きな女性に寄せる切ない恋心を歌った美しいバラードです。私はこの曲を聴くと、「人を好きになるのに理由はいらない。なんとなく(something)でいいんだよ。」と、ジョージに諭されているような気持ちになります。
もう1曲、皆さんにご紹介したい曲があります。イギリスの3大ギタリスト(※)の1人エリック・クラプトンの最高傑作Laylaです。この曲は恋人への熱き想いを印象的なギターのリフに乗せて聴くものにぶつける、激しいロックナンバーです。
(※)他の2人はジミー・ペイジとジェフ・ベックです。
ところで、SomethingとLayla、静と動。この対照的な2曲が同じ女性について書かれたものだと言ったら、皆さんは信じますか? その女性はパティ・ボイドといって、ジョージ・ハリソンの奥さんだった人です。Somethingはジョージとパティが幸せな時間を過ごしていた頃に書かれた作品です。一方、Laylaはクラプトンが親友ジョージの奥さんに抱いた、叶わぬ想いを歌った作品です。そりゃあ、激しい曲にもなりますよね。ただ、最終的にはクラプトンの執念が実り、パティはジョージと離婚しクラプトンと結婚することになります。
このような背景を知ったうえで2つの曲を聞き比べると、また違った光景が見えてくるかもしれません。
それにしても、パティ・ボイドはよほど魅力的な女性だったようで、ジョージとクラプトン以外にも彼女に想いを寄せる複数のミュージシャンがいました。ビートルズのジョン・レノンとローリング・ストーンズのミック・ジャガーです。先の2人を含め、いずれもロック史に名を残す偉大なレジェンド達です。本当にすごい女性がいたものです。