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【株】たまにはチャートでも~最近の相場の傾向と対策~

たまにはチャートでも見ながら相場の話をしましょうか。といっても、私はチャーチストではないので、テクニカル分析をしての相場予測などは致しません。あくまで、事実としての相場の軌跡をチャートで確認するだけです。

これは2022年1月から直近までの日経平均株価の日足です。①は2024年8月5日の大暴落、②は2025年4月7日のトランプショックです。このチャートから確認できるのは、(ア)2024年7月31日の日銀利上げ以降、毎年20%前後の急落が起こっているが、(イ)二番底を付けることなく、(ウ)急速に値を戻していることです。

(ア)~(ウ)から言えることですが、
(A)相場が底を打ってから買おうと思っても手遅れ。買いたいと思ったら落ちるナイフを掴む覚悟がいる。
(B)暴落だとパニックになって損切りすると、そこが底値だったりする。
(C)相場が下がって安易にショートを振ると、手痛く踏まされる。

確かにVIX指数は10%台に落ち着いてきましたが、まだまだ物騒な相場が続いています。こんなときは、超長期のほったらかし投資に徹するのが一番です。さもなくば、超短期のトレードにとどめ、ポジションは日計りで決済すること。オーバーナイトは危険です。

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【株】米国格下げとな?

大手格付け会社ムーディーズは16日、米国の発行体格付けの引き下げを公表しました。過去の格下げ時の経験から、今回も市場では通貨安、債券安、株安のトリプル安を警戒する声が出ています。歴史は繰り返すといいますが、さて、今回はどうでしょうか?

ひとつ、頭を冷やして考えましょう。まず、米国格下げですが、これは何も今に始ったことではありません。2011年のS&P、2023年のフィッチが既にAAAからの格下げを実施済です。それから、格下げによる米国の信用低下ですが、これもトランプさんのチャランポランな関税政策のせいで海外投資家の信用はとっくに失っています。また、格下げで米国債券が売られれば、トランプさんが最も気にしている長期金利が上がってしまいます。そうなれば例のトランププットが発動され、株価の下支えが期待できます。

このように考えてくると、一瞬トリプル安があったとしても長続きはしないのではないかと思えてきます。実際、現在の為替の水準は1ドル=145円程度とやや円高に振れていますが、パニック的な動きにはなっていません。

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【株】プラチナNISA

4月26日の新聞各紙は、金融庁が高齢者向けのNISAを創設する方向で検討に入ったと朝刊の第一面で報じました。2026年度の税制改正要望に織り込む方向とのことで、運用益等を分配金として毎月払い出す「毎月分配型」の投資信託を「プラチナNISA」と銘打ち、65歳以上の高齢者に限り利用できるようにするそうです。これは年金に頼る高齢者の「NISA内の投信を毎月の生活費に充てたい」というニーズに応えるもので、NISA口座の資産を売却せずに分配型に移行できる「スイッチング」も1回だけ認められる予定です。

関係者の中にはプラチナNISAの創設を、「長期の資産形成と逆行する」と指摘する向きがあるようですが、私は違うと思います。老い先の限られた年金生活者を前に、「投資は長期目線でやるべき」と説教することがおかしいことに気が付かないのでしょうか。私はプラチナNISAは資産運用のための商品ではなく、資産管理のための商品だと思います。つまり、若年期から中年期で積み上げてきた資産を高齢期において効率的に回収するためのものです。従来はNISA内の投信の出口は、投資家が自分の判断でタイミングを見て売却するしかなかったわけですが、今後はプラチナNISAにスイッチングすることで機械的にキャッシュを回収することができるようになります。投資家の選択肢が増えるという意味で大変有意義だと思います。

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【株】トラの首に鈴を付ける

昨日も日経平均は大幅安。トランプ関税のダメージ、留まるところを知らずです。この先、世界経済はどうなるのか。日本株はどこまで下がるのか。誰もが知りたいところだと思いますが、今みたいにVIX指数が50を超えるようなカオス状態で、あーだこーだ言っても始まりません。理屈が通じる相場じゃないんです。ヘッジファンドのマージンコール精算が一段落するまで混乱は収まりません。理屈を語るのは、VIX指数が30を割り込んでからでいいでしょう。

最近の相場暴落というと、記憶に新しいところではコロナショックがあります。パンデミックの感染拡大により、2020年3月に日本株は約31%下落しています。また、リーマンショックでは2008年9月のリーマンブラザーズ破綻をきっかけとした金融システム不安から、世界株は約45%、日本株も約32%下落しました。この2つのショックでは当局が打ち出した対策が奏功し、市場の混乱は比較的短期間で収束に向かいました。コロナショックではロックダウンや非常事態宣言の発令に平行し、無料でワクチン摂取を進めました。リーマンショックでは、経営不振に陥った金融機関に公的資金を注入するとともに、金融市場へ大量のマネーを供給して市場の安定を図りました。

しかし、今回のトランプショックの悩ましいところは、危機の元凶が米国大統領その人である点です。今回ばかりは米国政府もFRBも、有効な対策の打ち出しようがありません。とにかく、このアフォな関税を一刻も早くトラさんに引っ込めてもらうしかないのです。関税はインフレというチャネルを通じて、米国民の首をじわじわ締め上げていきます。そうでなくてもコロナ以降インフレに辟易している米国民が、さらなるインフレに我慢できるはずがありません。あとは、米国民にトラさんの首に鈴をつけてもらう。私たちはそこに期待しましょう。

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【株】逆億り人

昨日も日経平均は派手に下げましたね。どこまで下がることやら。運用資産を億単位で減らした人のことを逆億り人というそうですが、1億も資産のない私には最初から縁のない話です。でも、今回の下げによる損失率でみれば、逆億り人も私も痛いことに変わりはありません。ただ、1990年代から株式投資を行ってきた者としては「ああ、またか」と思いつつ、「ジタバタしても仕方ない、そのうち戻るさ」と楽観もしています。

今まで威勢のよかったユーチューバーやブロガーの中には、今回の下げのダメージで急に口を閉ざしてしまう人もいますが、一方で相変わらず情報発信を続ける人もいます。皆さんにはこの機会に、本物のユーチューバー・ブロガーを見極めて頂ければと思います。

皆さんの中には「なんでお前は平気でいられるんだ」と思われる方がいらっしゃるかも知れません。その理由ですが、ひとつには、株式市場において直近高値から10%程度の下げは1年から1年半おきに普通に起きることで、驚くには当たらないからです。そして、もうひとつ。私が日本そして米国の経済成長のポテンシャルに信頼を置いており、日米の株式市場の長期的な成長を楽観しているからです。
このような株式市場のストーリーが信じられないという方は、残念ですが早々に株式投資から撤退されることをお勧めします。(ご参考:金融経済教育の前にすべきこと「年1時間で億になる投資の正解」を読んで


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【株】シニア向けNISA二段重ね活用術

現在61歳の私は某社で嘱託として働いていますが、多くの会社員の方が定年退職後も嘱託として継続勤務されていることと思います。今や65歳まで働くのは当たり前。70歳まで働くという元気なシニアの方も多いです。ただ、問題はシニアが手にする給料が、現役当時に比べ大幅に減らされてしまうことです。そのため、生活費に充てるキャッシュが不足する場合、年金や資産運用でカバーする必要が生じます。今回はそんなシニアの事情に合わせたNISA活用術を考えてみたいと思います。

シニアにとって資産運用の目的は将来の資産形成ではなく、足下での生活費の原資となるキャッシュフローの獲得です。私はそんなシニアの方に、まずはNISAの成長投資枠での高配当株投資を提案します。株価はしばしば企業の業績とは無関係に、市場参加者の気分(PER)によって激しく変動します。一方、株式の配当は企業の業績(EPS)に応じて変動し、株価の影響は直接には受けません。高配当株に投資すれば、(企業の業績に大きな変動がないかぎり)株価が上がろうと下がろうと、安定したインカムゲインを手にすることができます。

しかし、高配当株も企業業績が悪化すれば減配、最悪、無配に転落します。そのため、企業業績の悪化時への対応も考えておきたいものです。そこで、もうひとつの提案です。それは、NISAのつみたて投資枠で株式インデックス(TOPIX)投信に投資するのです。そして、TOPIXの予想PERが例えば17倍とか18倍(※)を超えるような過熱したマーケットになったら、投信の一部を売却しキャッシュでプールしておきます。先々、企業業績が悪化して配当が減少した場合は、キャッシュを取崩しインカムゲインの減少分を補うようにします。このように、成長投資枠の高配当株でベースとなるインカムゲインを確保しつつ、配当減少時にはつみたて投資枠のキャッシュを注入することで、より安定したキャッシュフローの獲得が期待できるという仕組みです。
(※)一般的にPERの適正水準は15倍前後とされます。

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【株】落ちるナイフはつかむな

日経平均が38,000円の大台を割り、為替も1ドル=149円台に突入と、にわかに日本株の行方に暗雲が立ちこめてきました。ひょっとしたら、もう一段の下げがあるかもしれません。こんな場面でよく使われる格言に、「落ちるナイフはつかむな」があります。その意味をネットで検索すると、A証券のホームページでは「落ちてくるナイフをつかむと、上手く柄をつかめないで、刃をつかんでケガをしてしまいます。ナイフが床に落ちてからつかめば全く無傷です。」「株価が急落している時に買ってしまうと、どんどん下がって大損してしまうので、株価が目先の底について、そこから下がらない事を確認してから買った方がいいということです。」とあります。また、B証券のホームページでは「賢明な投資家は落ちてくるナイフなんてつかまずに、株価が底を打つのを見届けてから買う。底に落ちて刺さったナイフなら、安心して抜いていいからね。急落中の株に”安い!”と飛びつく前に、この格言を思い出そう。」とあります。

さて、このA証券やB証券のホームページの解説を見て、皆さんはどう思いましたか。「なるほど」と思った方。ちょっと人が良すぎます。「本当にこれがプロの解説か?信じられない。」と思った方。正しいです。
ここで、A証券さん、B証券さんに伺いたい。だいたい、株価の目先の底を確認するだの、株価が底を打つのを見届けるだの言ってますが、あなた方はそんなこと本当にできるとお考えですか?それとも、株価が底を打った瞬間にコツンと音でもすると仰るのですか?

プロの方にこんなこと言ったら釈迦に説法ですが、短期的な株価動向は予測不能(ランダムウォーク)です。株価の底値だと思ったら、実は二番底の入口だったなんて話はザラにあります。なので、落ちるナイフをつかむことが悪手かどうか事前には分かりません。上がるナイフをつかんだら、そこが戻り高値だったなんてこともありますし。つまり、言えるのは、売買タイミングに下手に相場観を入れるのはやめた方がいいこと。そして、ドルコスト平均法のように機械的に売買する方が、リスク抑制の観点からは好ましいということです。機械的な買いでたまたま”落ちるナイフをつかむ”ことになっても、それはそれで粛々とオペレーションを継続すべきです。

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【株】日本経済の行方

相場の予想なんて当たるわけがありません。もしあなたの回りで、したり顔で相場の予想を垂れる輩がいたなら、眉に唾を付けてから聞くことをお薦めします。しかし、日本という国の経済が今後どこへ向かおうとしているのか、そんな大局観について議論することは決して無駄ではないと考えます。

ひとつ参考にしたい本があります。齋藤ジンさんが書かれた「世界秩序が変わるとき」(文春新書)です。齋藤さんは日本のメガバンク出身の投資コンサルタントです。といっても、そこらへんに転がっている自称コンサルとは違って、ヘッジファンドをはじめとした運用のプロたちに助言する超一流のコンサルタントです。そんな齋藤さんが本書で主張するのが、新自由主義の終わりと日本の復活です。どういうことかと言いますと、「新自由主義的な世界観に支えられてきた既存システムは信認を失った。根幹となる世界観への信認が崩れた以上、パラダイムシフトが発生する。その結果、勝者と敗者の入れ替え戦が始り、(今まで負け組であった)日本は勝ち組になる。」というものです。

「日本が勝ち組」と言われても、にわかには信じ難いですが、日本が勝ち組になると齋藤さんが考える根拠は二つあります。ひとつめの根拠は、覇権国家アメリカが中国を封じ込めるため「強い日本」の協力が不可欠になっており、日本経済の成長を後押しする可能性が高いことです。このような地政学上の要請でアメリカが日本をバックアップした事例は過去にもあります。第二次世界大戦後の冷戦下で、アメリカはソ連封じ込めの一環として日本経済の強化を図るため、1ドル=360円という超円安水準に為替を固定するとともに、日本製品の輸出先として米国市場を開放しました。これらのアメリカの支援によって、日本は高度経済成長を果たすことができたのです。

そして、ふたつめの根拠は、日本経済が「失われた30年」というデフレのノルム(常態)から解放されつつあることです。これからの日本では人口減少がインフレ圧力として働いてきます。実際、2025年春闘では昨年に続き力強い賃金上昇が見込まれています。2024年の春闘では中小企業の賃上げも4%を超えました。これが常態化するようであれば、4%アップの賃金を支払う余力のある企業だけが生き残ることになります。
デフレ下で温存されてきたゾンビ企業は淘汰され、銀行に積み上がった家計の貯蓄は株式市場に流れ込み、企業の内部留保は設備投資に回ることでしょう。日本経済の生産性は劇的に改善することが期待されます。

経済成長と株価の動向は短期的には必ずしも一致しませんが、長期的にはある程度パラレルに動きます。日本経済が齋藤さんの見立て通りになるかは分かりません。しかし、個人的にはこのシナリオに乗ってみたい気分です。ていうか、もう乗っています。

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【株】株式投資のキモをザックリ理解する

株式投資の解説書を読むと、期待リターンだの標準偏差だの、アルファだのベータだのと、小難しい用語が次々に出てきます。でも私たちは投資期間や許容リスクを制限されたプロの投資家ではないので、そんな細かい話は無視しましょう。もっとザックリと大きな流れをつかむことの方が大事です。そこで、今回は「年1時間で億になる投資の正解」を読んででご紹介した内容を引きながら、株式投資のキモをザックリ理解してみたいと思います。

ここで一つだけ専門用語を使うことをお許し下さい。JPモルガンの超長期市場予測(2024年版)によれば、日本大型株の期待リターンは6.7%、日本小型株の期待リターンは7.2%となっています。そこで、取り敢えず間を取って、日本株の期待リターンを7%とします。期待リターンというと何かすごいことのように聞こえますが、何のことはありません。ただの利回りのことです。日本株に投資したら、年7%の利回りが期待できるということです。期待というのは、株式はリスク資産なので、預金のように利回りが確定したものでなく、あくまで期待=予想ベースの数字だよ、という意味です。

ところで、皆さんは「72の法則」をご存じでしょうか?「72の法則」とは、お金が倍になるために必要な期間が簡単に分かる算式のことです。72÷金利(%)=お金が倍になる期間、となります。(※) ここに日本株の期待リターンの7%を入れると、72÷7=10となります。10年で資産が倍に、20年で資産が4倍になる計算です。
(※)あくまで概算、目安です。

株式投資はいいことばかりじゃありません。リスクも考えなければいけません。しかし、私たちは素人の長期個人投資家ですから、標準偏差のような細かい理屈は要りません。ザックリ、何年で何%くらい下落するといった情報があれば十分です。そこで、「年1時間で億になる投資の正解」の出番です。この本の中でS&P500の過去データとして、1年に3回▲5%の下落、16ヶ月に1回▲10%の下落、7年に1回▲20%の下落、そして22年に1回▲50%の下落が紹介されています。米株と日本株の違いはありますが、日本株を米株よりやや厳しめに見ておけば大丈夫。日本株は、1年に1回▲10%の下落、5年に1回▲20%の下落、20年に1回▲50%の下落をするものとしましょう。

5年に1回▲20%の下落なんて、とんでもない! 20年に1回▲50%の下落って、資産が半分になるって話? ふざけるな!
お怒りはごもっともです。ですが、ちょっと待って。日本株の期待リターンに目をやって下さい。10年で資産は倍、つまり利回りは100%です。20年で300%。確かにこれらは計算上の話、机上の空論です。実際はそんなに上手くはいきません。でも、20年、30年……といった長期の時間軸においては、机上の空論が現実となる可能性が高まります。5年で▲20%、20年で▲50%相場が下落しても、それまでの相場上昇で十分なお釣りが来るはず、という仕掛けです。

長期の株式投資の成功の秘訣は、短期的に含み損を抱えても安易に損切りせず、複利の効果で資産が積み上がるまで我慢することです。一旦資産が積み上がれば、含み益がクッションとなって短期的な相場下落も気にならなくなります。長期の時間軸では「相場下落による損失」よりも、「相場上昇による利益」の方が圧倒的に大きいのです。そして、相場の下落は、次なる相場上昇のために欠かすことのできないものです。あなたは高くジャンプしようと思ったとき、どうしますか? 一度大きく屈み込みますよね。それと同じです。

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【株】今年最初のトレード

ご挨拶が遅れて申し訳ありません。今更ですが、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

さて、元日の日経新聞には恒例の企業経営者の相場予想が出ていましたが、皆様一様に強気でしたね。こんな年も珍しいのではないでしょうか。ひねくれ者の私は、かえって弱気を吐きたくなります。とはいうものの、投入資金があれば直ぐに買いたくなる”ダボハゼ”の私。NISAの成長投資枠を埋めるべく、新年早々買い指し値を入れ、早速約定しました。購入した銘柄は、わが地元企業のセイノーホールディングス(9076)。配当利回りが4%を超える高配当株です。成長投資枠というくらいですから、本来はグロース株を買うべきかも知れませんが、自分の年齢を考えると値上がりを待つ時間は余りありません。ですので、どうしても高配当株に目が行きます。今回は枠の半分程度を埋めましたが、3月末までに残りの半分を埋めたいと思います。今のところ、INPEX(1605)あたりが候補です。

日本株式市場の先行きは分かりませんが、本邦経済はインフレの定着による名目ベースの経済成長が当面続くと見ているので、今年も引き続き強気で臨んでいいのではと考えています。