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【株】ベッセント長官、どっちやねん?

足下のドル円の動きに翻弄されたFX投資家は多いのではないでしょうか。1月23日、日本の通貨当局は為替介入の前段階となるレートチェックを実施しました。円安に歯止めをかけるための協調行動です。高市首相が消費減税の検討を表明したのを機に円安が急速に進行し、23日には1ドル=160円に迫りました。このタイミングで例のレートチェックです。ただ、通常は日銀の単独行動となるのですが、今回はNY連銀からもレートチェックが入ったというので、市場関係者はパニックに襲われたわけです。一転、円は円高に転じ、一時153円79銭を付けました。日米協調でのレートチェックは、ベッセント米財務長官がダボス会議の経済フォーラム年次総会に同席していた片山財務大臣に持ちかけたものと見られています。トランプ大統領も予てドル安を歓迎しています。

ところが、28日の米CNBCのインタビューでベッセント長官は「為替に介入していない」と発言、日米協調のレートチェックを否定しました。これにより、NY時間ではドル円は156円台に下落しました。そして、同長官は「米国は常に強いドル政策をとってきた」とも語り、米当局が過度なドル安を許容しない態度を示しました。
(しかし、29日の東京市場では1ドル=153円前半まで円高が進行しています。)
この2枚舌とも言うべきベッセント長官に対し、私たち個人投資家はこう文句を言いたくなります。ベッセント長官。あんたええ加減にせーや。円高ドル安か、円安ドル高か、いったいどっちやねん?

為替を触っている個人投資家の皆さん、これが為替の怖いところです。為替相場は購買力平価だの、実質金利差だの、需給だのといったファンダメンタルズに関係なく、ある日突然、政治的な力でかき乱されます。株式市場や債券市場では起きないことが、為替市場では普通に起きるのです。これを理不尽と嘆いてみても始りません。為替とは所詮そういうものなのです。

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【株】日本国債40年4%は買いか?

日本国債市場で超長期国債(償還までの期間が10年超の国債)の利回りが急上昇しています。1年前の今頃は2%台半ばであった40年国債の利回りは、足下では4%を超えています。背景には、消費税減税を始めとした高市内閣の財政拡張的な政策の推進があります。マーケット関係者は減税の財源として赤字国債の増発による債券マーケットの需給悪化を予測し、先回りして大量の売りを出しているのです。

ところで、この40年国債で4%の利回り、投資対象として非常に魅力的だと思いませんか。新発債で購入すれば償還(満期)までの40年間、毎年4%の利息を受取れます。40年国債は確定利付き債券なので、4%は変動することはありません。さらに、40年後には元本割れすることなく元本の償還が保証されています。
株式でも4%の利回りを期待できる銘柄はいっぱいありますが、配当は減配の可能性がありますし、投資資金がマイナスになることもザラです。

やはり、日本国債40年4%は買い? でも、ちょっと待って下さい。確かに、デフレ経済下においては目をつぶってでも買うべき投資対象といえます。しかし、現下の日本は毎年2%物価が上がるインフレ経済です。ここでは、仮にずっと2%の物価上昇が続いた場合に、現在の100円が40年後にいくらになるか考えてみましょう。
100円×(1+4%)^(ー40)=45円
驚くなかれ、40年後には現在の100円の実質価値は45円に低下してしまうのです。
同様に、40年後の利息4円も実質価値は1.8円(4×0.45=1.8)に減少します。

これがインフレリスクの怖さです。目先の高い(名目)利回りに目を奪われて確定利付きの債券に飛び付くと、市場リスクは回避できてもインフレリスクでやられることになります。
インフレリスクを回避するためには、一部で市場リスクを受け入れて株式等のリスク資産に投資することが有効です。株式であれば毎年2%物価が上昇しても、それ以上に配当が増加していけば(例えば4%)、差し引きでプラスの増加が期待できます。また、40年後に投資元本の実質価値が減少するどころが何十倍にも増加することも期待できます。

実際には超長期国債の現物を個人投資家が直接購入することはできませんが、iFreeHold日本国債(JGB2056)等の投資信託を利用することで投資が可能です。しかし今回見てきたように、インフレ経済下での固定利付き債券への投資は大きなリスクを孕んでおり、事前によくよく検討されることをお勧めします。

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【株】辰巳天井、午尻下がり

昨日(2026.1.6)のモーサテ(テレビ東京系のモーニング・サテライト)でエコノミストの一人が、今年の日本株について表題の相場格言を持ち出して弱気な見通しを語っていました。でも、この相場格言、本当に当たるんでしょうか?

まず、肝心の相場格言をご紹介しましょう。「辰巳(たつ・み)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さる・とり)騒ぐ。戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)はつまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる。」 これは、1730年頃に世界初の先物取引が行われた大阪の堂島米相場が起源とされています。で、「辰巳天井、午尻下がり」(辰年と巳年に相場は天井を付け、午年に下落する)を引いて、冒頭のエコノミスト氏は日本株は今年下落すると言うわけです。

これは戦後の午年の日経平均の騰落率を表したものです。確かに、前々々回の午年1990年は平成バブル崩壊の年で、日経平均株価は▲40%近く下落しています。また、前々回の2002年もITバブル崩壊の傷が癒えない中、▲20%近く下落しました。しかし、前回の2014年はアベノミクスの影響で約7%の上昇となっています。ちなみに、戦後の午年全体での戦績は3勝3敗となっており、この相場格言をもってアノマリーと認定するのは難しそうです。



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【株】損出しの効果

あわただしくクリスマス、お正月とイベントをこなすと、その先には確定申告が待っています。そう、税金の季節の到来です。NISAや源泉徴収ありの特定口座で株式投資を行っている分には、敢えて確定申告をする必要はありませんが、中には保有銘柄の損出しをして税金の支払いの軽減を図る方もいらっしゃると思います。そこで、今回はこの損出しの効果と注意点についてお話します。

損出しとは、含み損(評価損)が出ている保有株をいったん売って、税務上の「損失」をその年に確定させることを指します。損失を確定させることで、その年の他の株の譲渡益等と相殺して税金の負担を抑えることができます。株価が上がる見込みのない銘柄を売却する損切りと異なり、損出しは売却した後に同じ銘柄を買戻しする手法のため、保有銘柄に変化はありません。

ここで、注意しなければならない点があります。損出ししたい銘柄の売却後、同じ銘柄を同一日に買戻しした場合、特定口座では制度上、買いが先にあったものとみなして平均取得単価が算出されます。そのため、実際に買戻した株価よりも高い取得単価になって損出し額が想定よりも小さくなる場合があります。そのため、損出しした銘柄を買戻すのは翌営業日以降であることが重要です。ただし、翌営業日以降に買戻す場合は、日をまたぐので同じ株価で買戻せる可能性は低くなります。そこで信用取引を活用すれば、売却価格と買戻し額を同等の株価で取引することができます。(信用取引の詳細は省略します)

このように損出しを使って税金の支払いを圧縮できるのが、投資信託にはない個別株投資のメリットのように思われます。しかし、実は損出しのお話には続きがあるんです。上記の例で見ていきます。まず、損出ししない場合。B銘柄の当初購入価格を50万円とします。その後、株価が上昇したのでB銘柄を70万円で売却したとします。このときのB銘柄に係る課税額は、70万円ー50万円=20万円。20万円×20.315%=40,630円となります。次に、途中で損出しした場合。当初50万円のB銘柄を一旦20万円で売却し、損出しします。損出しによる節税額は20万円ー50万円=▲30万円。▲30万円×20.315%=▲60,945円となります。そして、即B銘柄を同じ値段の20万円で買戻します。その後、株価が上昇したのでB銘柄を70万円で売却します。このときに課税額は、70万円ー20万円=50万円。50万円×20.315%=101,575円です。損出しによる節税効果を加味すると、▲60,945円+101,575円=40,630円となります。あら不思議。損出ししない場合と損出しした場合で、最終的な課税額は同じになってしまいました。そのカラクリは、B銘柄を売却して損出ししたあと買戻した段階で、買い簿価が当初購入価格50万円から買戻し価格20万円に切り下がったためです。これにより、最終売却時の売却益がその分大きくなってしまうから。(20万円⇒50万円) 結局、損出しには税金の削減効果はなく、あるのは課税時期の先送り効果です。この点は、世の中にあまたある節税系の金融商品に共通します。生命保険を使った節税策、不動産の減価償却による節税等。ただ、これから金利が上昇し高金利時代に突入すれば、課税時期の先送り効果は大きなメリットを生むことになります。

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【株】日銀が利上げするのに円安?

円安傾向が止まりません。12月13日現在、ドル円は1ドル=155.60円近辺。日銀は12月18日・19日に開催される金融政策決定会合で、0.25%の利上げを行うことが確実されています。お金は金利の高い方に流れるというセオリーに従えば、本来ならば為替は円高に向かうはず。なのに、なぜ円安?

この謎を解く鍵は、短期金利ではなく長期金利にあります。短期金利は日銀が操作する無担保オーバーナイト・コール金利に連動するのに対し、長期金利は(超)長期国債市場の需給で決まります。そして、今この超長期国債市場で異変が起こっています。なんと、超長期国債市場での外国人投資家の10月の売買比率が59.6%まで上がっているというのです。ちなみに、20年1月当時はわずか27.6%でした。

超長期国債市場のメインプレイヤーとなった外国人投資家が今、(超)長期国債を売りまくっています。背景には、高市総理大臣の積極財政政策での赤字国債の増発による(超)長期国債市場の需給悪化懸念があります。外国人投資家が日本国債を売れば、そのまま円売りとなります。これが現下の円安の大きな要因です。
相場はセオリー通りには動かないという事例でした。

さて、ここで私から皆さんに質問です。最高決算を発表した会社の株がなぜか売られてしまいました。なぜでしょう? 次回のブログ更新で答え合わせしたいと思います。

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【株】新たなトレンドの始まりか

いやあ、強いですね。日経平均のことですが。11月4日にザラ場で高値52,636円を付けたあと、翌11月5日に相場は急落し、一時5万円の大台を割り込んで49,000円近辺まで下げました。このタイミングで恐らく例の著名個人投資家さんも、利食いの売りを出されたものと思います。しかし、引けにかけて買い戻しが入り、結局5万円の大台を回復しての引けとなりました。私はてっきり45,000円くらいまでの調整があるものと覚悟してましたので、予想外の粘り腰にビックリです。

この表は日経平均の空売り比率(ピンクで網掛けの部分)を掲載したものです。ご覧頂くと分かるように、空売り比率が40%を超えて日経平均が急落した翌日に相場が急騰する展開が続いています。典型的な踏み上げ相場ですが、今も売り回転が継続中で収束の兆しはありません。この強い相場をどう見るか。現下の日経平均の上げの要因はいうまでもなく、SBG・東京エレクトロン・アドバンテストの3兄弟に代表されるAI・半導体ブームですが、その他にも我が国固有の要因として、デフレ経済からインフレ経済への転換があるように思います。これはバブル崩壊以降続いた停滞の時代の終焉ともいうべきパラダイムシフトです。今やインフレが常態となった日本経済を、そして日本株を、今までとは異なる視点、尺度で評価すべき時代に入ったのではないでしょうか。

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【株】いつまで続く日経株高

10月27日の日経平均株価は初めて5万円の大台を突破しました。28日の日経新聞はコラム記事(スクランブル)で次のように伝えています。「けん引役は人口知能(AI)ブームの追い風を一身に受けるソフトバンクグループ(SBG)だ。」「……売り手が踏み上げられて上昇の勢いはしばらく収まりそうにない。」また、外資系証券会社のコメントとして「ものすごい額を売買している著名な個人投資家やその影響を受けた個人の売買シェアが高くなっているように感じる。」と紹介しています。ここでいう著名な個人投資家とは、いうまでもなく日経平均を動かす男=cisさんでしょう。

続けて日経新聞は「……空売りのために貸株残高は9月中に215万株とおよそ3年ぶりの高水準になった。……ところが、SBGの上昇に弾みがつくと様相が変わった。売り手が耐えられなくなって持ち高を解消し、買い方も再び持ち高を増やし始めた。貸株残高は10月22日には6万株台まで減少した。」と伝えています。

インフレによる日本株の先高感に加え、貸株市場の歪な需給に着目したcisさんが、機関投資家顔負けの大ロットでSBG株に買いを入れたのでしょう。売り方はパニック状態です。損失が~とか言ってるひまはありません。逃げ遅れたら骨まで焼かれてしまいます。目をつぶってSBG株を買い戻すしかないのです。

ただ、忘れてはならないのはcisさんは私たちのような長期投資家ではないことです。間違いなく、どこかのタイミングで利益確定の大量の売りを出してきます。それがいつなのか。インフレ、AIブームはこれからも株式市場の上昇を支えるでしょうが、短期的にはいつ調整が入ってもおかしくないと思います。

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【株】いつになったら山は動くのか

前々回、好調な日経平均株価と対照的に全く動意のない我がポートフォリオのお話を致しましたが、いつになったらうちの子たちは動いてくれるのでしょうか。そこで、ひとつ目安になるのがNT倍率です。NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割った数値で、具体的には次のように計算します
・NT倍率=日経平均株価​/TOPIX
高いNT倍率は日経平均株価がTOPIXよりも強いことを示し、低いNT倍率は日経平均株価がTOPIXよりも弱いことを示します。
SBI証券さんのHPよりNT倍率の10年チャートをお借りしましたので、以下にご紹介します。

このチャートをご覧いただくと、足下のNT倍率は15倍を超えたあたりにあって、過去10年の最高値15.5強に迫る水準にあることが分かります。昨今、日経平均は東京エレクトロンやソフトバンク等の半導体関連株の好調を受け高値を更新する一方、TOPIXはプライム市場全体の強さを反映するため日経平均に比べて出遅れ感が否めません。当面半導体株の好調が続く限りNT倍率の上昇も続くと思われますが、ヒストリカル的にはそろそろTOPIXの逆襲が始ってもおかしくないとの認識は持っておきたいところです。TOPIXが買われる環境になれば、うちの子たちも少しはやる気を出して仕事をしてくれるでしょう。




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【株】動かざること山のごとし

高市トレードやらで日経平均株価は凄まじい勢いで上昇していますが、わがポートフォリオの株たちは不動の構え。お恥ずかしい限りですが、10/6引値での銘柄一覧を開示致します。薄緑色の銘柄が昨年から今年初めにかけて購入した銘柄です。いずれも日経が40,000円以下のレベルで仕込んだはずですが、なぜか評価損の銘柄が目立ちます。自分の運用の下手さ加減を再認識した次第です。

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【株】インフレと株高

9月12日の日経新聞朝刊の2面に、著名個人投資家cisさんのコメントが掲載されていました。cisさんはメディアに出ることがほとんどないので、びっくりされた方も多かったのではと思います。cisさんは、日本株の最高値更新は日本株の実力が評価されたわけではなくインフレで世界の株価が上昇したためと見ていて、現在の株高を「いわゆるバブルだとは思っていない」とのことです。
ところで、そもそもインフレになるとどうして株価が上昇するのでしょうか。今回はその素朴な疑問について考えてみたいと思います。

ちょっと前になりますが、私の手元に2023年12月6日の日経新聞があります。ここに岩井克人東大名誉教授の「インフレ、新たな価値創造」というインタビュー記事が掲載されています。この記事がインフレが経済成長を促し、株高につながるメカニズムを分かりやすく説明しているので、簡単にご紹介しましょう。

冒頭、岩井教授は日本経済が30年にわたって停滞した理由をデフレだと断定。資本主義においてデフレは(経済を)長期衰退に導く最も確実な道だと指摘します。そして、資本主義は利潤の追求で動き、その源泉は(シュンペーターが言うところの)イノベーションだとします。イノベーションによって生み出された新しい商品や技術、市場開拓等が利潤につながるわけです。しかし、イノベーションを現実化するにはお金が必要です。そして、アイデアのある人の多くはお金がありません。でも、インフレ下では借金は時間の経過とともに目減りしていくので、アイデアはあるがお金のない人は借金をしてアイデアを現実化しやすくなります。その結果、イノベーションが促され、経済成長を通じて株高が実現します。歴史的にも、資本主義はインフレによって始まったといえます。英国では、16世紀後半から17世紀にかけて緩やかなインフレが続きました。貿易や毛織物の製造など、投資に必要なお金が借りやすくなり、資本主義的な発展を始めることができたのです。

こう見てくると、インフレ下の日本において株価が上昇しているのは、cisさんの言うようにバブルなどではなく必然であることが分かります。しかし、株高を喜んでばかりもいられません。なぜなら、現下の日本では株式以上に身の回りのあらゆるもの、お米、お肉、野菜、バター、家電、自動車、電気、ガス、美容院の料金、マンション……の値段が上がっているからです。まさに株高不況。インフレによって名目ベースで株価が上昇しても、実質ベースでは値下がり?といったことになります。

最後に取り急ぎ、安定志向の強い方々にお伝えしなければならないことがあります。インフレ下において最もパフォーマンスが悪い資産は預金・キャッシュです。いま株価が上昇する裏側で、預金・キャッシュの価値が猛烈な勢いで下落しています。預金・キャッシュはもはやハイリスク・マイナスリターンの資産なのです。株式や不動産・コモディティ等への資産分散が喫緊の課題となっていることにご留意下さい。