カテゴリー
株式

【株】いつになったら山は動くのか

前々回、好調な日経平均株価と対照的に全く動意のない我がポートフォリオのお話を致しましたが、いつになったらうちの子たちは動いてくれるのでしょうか。そこで、ひとつ目安になるのがNT倍率です。NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割った数値で、具体的には次のように計算します
・NT倍率=日経平均株価​/TOPIX
高いNT倍率は日経平均株価がTOPIXよりも強いことを示し、低いNT倍率は日経平均株価がTOPIXよりも弱いことを示します。
SBI証券さんのHPよりNT倍率の10年チャートをお借りしましたので、以下にご紹介します。

このチャートをご覧いただくと、足下のNT倍率は15倍を超えたあたりにあって、過去10年の最高値15.5強に迫る水準にあることが分かります。昨今、日経平均は東京エレクトロンやソフトバンク等の半導体関連株の好調を受け高値を更新する一方、TOPIXはプライム市場全体の強さを反映するため日経平均に比べて出遅れ感が否めません。当面半導体株の好調が続く限りNT倍率の上昇も続くと思われますが、ヒストリカル的にはそろそろTOPIXの逆襲が始ってもおかしくないとの認識は持っておきたいところです。TOPIXが買われる環境になれば、うちの子たちも少しはやる気を出して仕事をしてくれるでしょう。




カテゴリー
株式

【株】動かざること山のごとし

高市トレードやらで日経平均株価は凄まじい勢いで上昇していますが、わがポートフォリオの株たちは不動の構え。お恥ずかしい限りですが、10/6引値での銘柄一覧を開示致します。薄緑色の銘柄が昨年から今年初めにかけて購入した銘柄です。いずれも日経が40,000円以下のレベルで仕込んだはずですが、なぜか評価損の銘柄が目立ちます。自分の運用の下手さ加減を再認識した次第です。

カテゴリー
株式

【株】インフレと株高

9月12日の日経新聞朝刊の2面に、著名個人投資家cisさんのコメントが掲載されていました。cisさんはメディアに出ることがほとんどないので、びっくりされた方も多かったのではと思います。cisさんは、日本株の最高値更新は日本株の実力が評価されたわけではなくインフレで世界の株価が上昇したためと見ていて、現在の株高を「いわゆるバブルだとは思っていない」とのことです。
ところで、そもそもインフレになるとどうして株価が上昇するのでしょうか。今回はその素朴な疑問について考えてみたいと思います。

ちょっと前になりますが、私の手元に2023年12月6日の日経新聞があります。ここに岩井克人東大名誉教授の「インフレ、新たな価値創造」というインタビュー記事が掲載されています。この記事がインフレが経済成長を促し、株高につながるメカニズムを分かりやすく説明しているので、簡単にご紹介しましょう。

冒頭、岩井教授は日本経済が30年にわたって停滞した理由をデフレだと断定。資本主義においてデフレは(経済を)長期衰退に導く最も確実な道だと指摘します。そして、資本主義は利潤の追求で動き、その源泉は(シュンペーターが言うところの)イノベーションだとします。イノベーションによって生み出された新しい商品や技術、市場開拓等が利潤につながるわけです。しかし、イノベーションを現実化するにはお金が必要です。そして、アイデアのある人の多くはお金がありません。でも、インフレ下では借金は時間の経過とともに目減りしていくので、アイデアはあるがお金のない人は借金をしてアイデアを現実化しやすくなります。その結果、イノベーションが促され、経済成長を通じて株高が実現します。歴史的にも、資本主義はインフレによって始まったといえます。英国では、16世紀後半から17世紀にかけて緩やかなインフレが続きました。貿易や毛織物の製造など、投資に必要なお金が借りやすくなり、資本主義的な発展を始めることができたのです。

こう見てくると、インフレ下の日本において株価が上昇しているのは、cisさんの言うようにバブルなどではなく必然であることが分かります。しかし、株高を喜んでばかりもいられません。なぜなら、現下の日本では株式以上に身の回りのあらゆるもの、お米、お肉、野菜、バター、家電、自動車、電気、ガス、美容院の料金、マンション……の値段が上がっているからです。まさに株高不況。インフレによって名目ベースで株価が上昇しても、実質ベースでは値下がり?といったことになります。

最後に取り急ぎ、安定志向の強い方々にお伝えしなければならないことがあります。インフレ下において最もパフォーマンスが悪い資産は預金・キャッシュです。いま株価が上昇する裏側で、預金・キャッシュの価値が猛烈な勢いで下落しています。預金・キャッシュはもはやハイリスク・マイナスリターンの資産なのです。株式や不動産・コモディティ等への資産分散が喫緊の課題となっていることにご留意下さい。

カテゴリー
株式

【株】高市トレード

いやあ、強いですね。9月9日、日経平均株価はザラ場で一時44,000円台をつけました。新聞等の報道では、総裁選挙で高市早苗氏が勝利すれば金融緩和・財政拡大路線が取られるとの思惑から株が買われているとのことですが、実際のところは分かりません。私は、単に足の速いイベントドリブン系のヘッジファンドがポジションを組んだだけだと思っていますが……。彼らは2024年9月の前回総裁選挙の際も、高市氏の勝利にベットして日本株を買い上がり(高市トレード)、決選投票で石破氏が勝利すると一斉にポジションの解消に走って日経平均急落のきっかけを作った前科があります。今回も同じ展開とならないことを祈ります。

さて、相場はどちらに動くのか。私などに分かるはずもありませんが、そもそも高市氏勝利⇒日本株買い、のシナリオが合っているのか疑ってみることも必要かと思います。仮に高市氏が総裁選挙に勝利し、注文通りに財政拡大政策をとったとしましょう。当然、財源は赤字国債です。しかし、ただでさえ足下では長期~超長期国債の市場は不安定な状態です。そこへ国債増発なんて話をしたら、火に油を注ぐようなもの。債券のパニック売りは必至です。そして、日本国債の暴落は円資産全般の信用低下に繋がります。つまるところ、円債売り⇒円売り⇒円株売り、です。

次に、高市氏が金融緩和策を取れるのかという話です。建前上は、金融政策は日銀の専管事項となっています。総理大臣といえど、軽はずみに口出しできません。権限のない大統領が中銀トップをクビにするぞと恫喝する某ならず者国家と日本は違います。物価の高騰が続く日本で、金融引き締めを続ける日銀のスタンスを総理大臣が自分の都合で勝手にねじ曲げることは許されません。

このように、仮に高市氏が総理大臣に選出されたとしても、金融緩和・財政拡大策を実施することは容易ではないことが分かります。それに、総裁選で高市氏が敗北する可能性も考慮しなければいけません。
現下の相場で私たち長期投資家が肝に命ずべきは、買いは押し目を待つこと。高市トレードに踊らされて高値に飛びつかないことです。

カテゴリー
株式

【株】デュポン・システム~労働者のための収益獲得力増強策~

デュポン・システム(デュポン分析)をご存じでしょうか。デュポン・システムは企業のROE(自己資本利益率)を3つの要素に分解することで、ROEの増減要因を特定したり、同業他社との比較分析や経営戦略の改善策を立案することに使われます。具体的には、以下の式のようにROEを3要素に分解するところから始ります。

ここで、①は売上高純利益率で、企業の売上げに占める利幅の厚さ=プライシング力の強さを表します。この数値が大きいほど、高い価格で商品・サービスを販売できていることになります。②は総資産回転率で、企業が保有する資産をどれだけ有効活用しているか=効率性を表します。③は財務レバレッジで、総資産が自己資本の何倍あるか、他人資本をいかに上手く活用しているかを表します。ただ、この数値は高ければいいというものではなく、財務の健全性を損なわない程度であることが求められます。

このようにデュポン・システムはもともと企業の財務状況を分析するためのツールですが、①~③の要素の改善を図ることで、逆に企業のROEの向上を図る方策を探ることにも使えます。ならば、このデュポン・システムを労働者という一人の人間に当てはめたら、労働者の収益獲得力を増強するための方策が見えてくるのではないか。今回はそんな視点でデュポン・システムを見つめ直してみたいと思います。

まず、①の売上高純利益率の改善です。これを労働者に当てはめると、収益力アップ=単位時間当たり賃金の引き上げに相当します。そのためには、ノウハウやスキルを習得し業務経験を積み、その道のプロフェッショナルとなることが必要です。そうなった暁には、社内での昇格や高待遇の他社への転職により賃金の引き上げが可能となります。
次に②の総資産回転率の改善です。これを労働者に当てはめると、どうなるか。労働者の体は一つしかありません。日中、労働者は会社へ行って働いていますが、もしその時間帯に他人にも働いてもらうことができれば、2倍、3倍の収益が獲得できるかも知れません。でも、そんなことができるのでしょうか? 資産運用という手法を使えば可能となります。例えば株式投資をすれば、労働者が会社で働いている間、投資先企業の経営者や従業員は株主である労働者に代わって働いてくれます。労働者は株式投資や不動産投資といった資産運用を通じ、資産効率=資産回転率のアップを図ることができます。
最後は③の財務レバレッジの改善です。これは銀行から借り入れをして総資産を膨らませることで実現できますが、労働者が銀行から多額のお金を借りるのは不動産ローンを除くと困難です。なので、労働者が財務レバレッジを高めるには、例えばアパートローンを借りて不動産に投資することが考えられます。もっとも、好条件でローンを借りられ、かつ収益力のある物件に投資できることが前提となりますが……。

以上のように、自身のスキル・経験に磨きをかけて高い賃金を獲得し、賃金の一部を株式等に投資するとともに、借入れによるレバレッジを活かして不動産に投資する。これがデュポン・システムが示唆する、労働者の収益獲得力を増強するための最強の方策となります。

カテゴリー
株式

【株】ある投稿に関する考察

最近、Xに次のような投稿がありました。「インデックス投資家も高配当株投資家も自己投資した自分を信じられなくなった末路やからね」「どっちもおじさんとおばさんの世界やで」「若者は自分に投資して自分と心中した方がええよ」

今回はこの投稿に対し、ひとりのおじさん(おじいさんか?)の意見を聞いてほしいと思います。まず、最初にビジネスの世界は株式市場と同じく、極めて予測不能で理不尽である点を強調しておきたいです。頑張った者は報われるというナイーブな世界ではないのです。あるときはズル賢く悪知恵の働く者が勝つ世界。あるときは政治力に秀でた者が勝つ世界。そんな混沌とした世界で、私たちはどのようにして生き残っていけばいいのか。まずできることは、リスクの分散です。具体的には、収入を労働にのみ依存せず、投資からも得られるようにしておくこと。しかし、人間に与えられた時間は24時間しかありません。その時間内に労働と投資の両方をこなし続けるのはしんどいです。そこで出てくるのが、投資について外部にアウトソースする考え方。できればコストも抑えたい。そんなわがままなニーズをかなえてくれるのが、インデックス投資となります。また、外部委託せず自分で株式の銘柄を選びたいという方には、高配当株投資という手もあります。ここで注意頂きたいのは、インデックス投資も高配当株投資も、自己投資した結果を発揮すべく労働に十分な時間を割くために行っているという点です。何も、自己投資した自分を信じられなくなったからではありません。

さて、ここでもう一度言わせて下さい。ビジネスの世界は予測不能で理不尽です。頑張ったものが報われる保証はありません。成功するには実力以上に運が必要となります。そんなビジネスの世界で「自分に投資して自分と心中する」行為は、投資でいうところの集中投資に似て、非常にハイリスクです。当たれば大金持ち、外れたら自己破産。丁半博打と同じです。「若者は自分に投資して自分と心中した方がええ」とこの投稿者はいいますが、本当に心中するはめになっても責任は取ってくれません。
自分の身は自分で守るもの。そのときの武器がリスク分散です。若者は自分に投資し、自分を信じてビジネスに注力するのはいいでしょう。しかし、ビジネス以外に収入の道を設け、ビジネスで失敗しても路頭に迷うことのないよう、事前に手を打っておくことが賢明です。インデックス投資や高配当株投資は、そのための有効なツールとなります。

カテゴリー
株式

【株】逆ドルコスト平均法

ドル・コスト平均法とは、株式などの価格が変動する商品に対して「常に一定金額を定期的に」購入する方法のことをいいます。投資金額を一定にすることで、価格が低いときには購入量(口数)を多く、価格が高いときには購入量(口数)を少なくすることとなり、商品の購入を機械的かつ効率的に行うことができます。今、定期購入する株式の価格をp、購入量をqとすると、ドルコスト平均法での株式の購入は、pq=k(一定)と表現できます。例えば、毎月の定期購入額をk=20,000円と設定した場合、p=100円の月はq=200単位、p=400円の月はq=50単位購入することになります。価格が低い月は購入量を多く、価格が高い月には購入量を少なくする調整機能が発揮されています。と、ここまではどの投資本にも書かれている内容ですが、当ブログではもう一歩踏み込みたいところです。

株式等を機械的かつ効率的に売却するにはどうすればいいのか。うまくドル・コスト平均法を応用できないものか、考えてみましょう。具体的には、ドル・コスト平均法とは逆に、価格pが低い月には売却量qを少なく、価格が高い月には売却量を多くできればいいわけです。これは、例えばq/p=k(一定)を満たすように、p、qを決めれば実現できます。仮にk=10と設定したとします。p=100円の月はq=1000単位を売却、p=400円の月はq=4000単位を売却するイメージです。これなら、価格が低い月は売却量を少なく、価格が高い月には売却量を多くすることができます。ただ、注意しなければいけない点があります。購入のときと違い、売却では価格pがどんどん上昇していくと、売却量qも青天井で多くなっていきます。結果、予定以上の株式を売却してしまう危険性があるのです。このリスクを回避するためには、予め1回あたりの売却量に上限を決めておく必要があります。例えば、q/p=10(q≦5000)みたいな感じです。

目下、政府はシニア層の資産取崩しニーズに応えようと、「プレミアムNISA」の創設に動いていますが、今回検討した逆ドル・コスト平均法を使えば特別な商品や仕組みがなくても、機械的かつ効率的に資産の取崩しができると思います。

カテゴリー
株式

【株】たまにはチャートでも~最近の相場の傾向と対策~

たまにはチャートでも見ながら相場の話をしましょうか。といっても、私はチャーチストではないので、テクニカル分析をしての相場予測などは致しません。あくまで、事実としての相場の軌跡をチャートで確認するだけです。

これは2022年1月から直近までの日経平均株価の日足です。①は2024年8月5日の大暴落、②は2025年4月7日のトランプショックです。このチャートから確認できるのは、(ア)2024年7月31日の日銀利上げ以降、毎年20%前後の急落が起こっているが、(イ)二番底を付けることなく、(ウ)急速に値を戻していることです。

(ア)~(ウ)から言えることですが、
(A)相場が底を打ってから買おうと思っても手遅れ。買いたいと思ったら落ちるナイフを掴む覚悟がいる。
(B)暴落だとパニックになって損切りすると、そこが底値だったりする。
(C)相場が下がって安易にショートを振ると、手痛く踏まされる。

確かにVIX指数は10%台に落ち着いてきましたが、まだまだ物騒な相場が続いています。こんなときは、超長期のほったらかし投資に徹するのが一番です。さもなくば、超短期のトレードにとどめ、ポジションは日計りで決済すること。オーバーナイトは危険です。

カテゴリー
株式

【株】米国格下げとな?

大手格付け会社ムーディーズは16日、米国の発行体格付けの引き下げを公表しました。過去の格下げ時の経験から、今回も市場では通貨安、債券安、株安のトリプル安を警戒する声が出ています。歴史は繰り返すといいますが、さて、今回はどうでしょうか?

ひとつ、頭を冷やして考えましょう。まず、米国格下げですが、これは何も今に始ったことではありません。2011年のS&P、2023年のフィッチが既にAAAからの格下げを実施済です。それから、格下げによる米国の信用低下ですが、これもトランプさんのチャランポランな関税政策のせいで海外投資家の信用はとっくに失っています。また、格下げで米国債券が売られれば、トランプさんが最も気にしている長期金利が上がってしまいます。そうなれば例のトランププットが発動され、株価の下支えが期待できます。

このように考えてくると、一瞬トリプル安があったとしても長続きはしないのではないかと思えてきます。実際、現在の為替の水準は1ドル=145円程度とやや円高に振れていますが、パニック的な動きにはなっていません。

カテゴリー
株式

【株】プラチナNISA

4月26日の新聞各紙は、金融庁が高齢者向けのNISAを創設する方向で検討に入ったと朝刊の第一面で報じました。2026年度の税制改正要望に織り込む方向とのことで、運用益等を分配金として毎月払い出す「毎月分配型」の投資信託を「プラチナNISA」と銘打ち、65歳以上の高齢者に限り利用できるようにするそうです。これは年金に頼る高齢者の「NISA内の投信を毎月の生活費に充てたい」というニーズに応えるもので、NISA口座の資産を売却せずに分配型に移行できる「スイッチング」も1回だけ認められる予定です。

関係者の中にはプラチナNISAの創設を、「長期の資産形成と逆行する」と指摘する向きがあるようですが、私は違うと思います。老い先の限られた年金生活者を前に、「投資は長期目線でやるべき」と説教することがおかしいことに気が付かないのでしょうか。私はプラチナNISAは資産運用のための商品ではなく、資産管理のための商品だと思います。つまり、若年期から中年期で積み上げてきた資産を高齢期において効率的に回収するためのものです。従来はNISA内の投信の出口は、投資家が自分の判断でタイミングを見て売却するしかなかったわけですが、今後はプラチナNISAにスイッチングすることで機械的にキャッシュを回収することができるようになります。投資家の選択肢が増えるという意味で大変有意義だと思います。