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【株】あかん、買ってもうた

わたくし、いつぞやは「為替が145円になったら米国債を買いたい」などと戯言を申しておりましたが、いつまでたっても一向に円高になる気配はございません。そうこうしているうち、ソフトバンクグループ(SBG)がクーポン3%の円建て社債を発行したのを見て、わたくし、為替リスクを取ってクーポン4%の米国債を買うのがバカバカしくなってきちゃいました。でも、SBG債は完売御礼のようですので、今からでは入手不可能です。そこで、仕方ないから高配当株を買うことにしたんです。そりゃ、わたくしにも、足元の株価水準が高いことくらい分かります。なので、相場が深押しするタイミングを待って、買い出動するつもりでございました。昨日までは……。

「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものでございます。我慢ができないという子供の頃からのわたくしの性格は変わりません。結局、相場の下げを待ちきれず、今日、買っちゃいました。8593三菱HCキャピタル。日経平均39,000円どこで。あーあ、やっちまった。
明日はメジャーSQに、日銀金融政策決定会合の結果発表。大ケガにならないことを祈るのみでございます。

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【株】メジャーSQの前に

6月10日に日経平均株価は前日比+354円の39,038円と、久しぶりに39,000円台で引けました。株価上昇の特段の材料がないにも関わらずです。日経新聞は本日(6月11日)朝刊で、157円台への円安を見て海外短期筋が株価指数先物へ買いを入れたと解説していますが、何故に今買う?との疑問は解けません。さらに海外時間に日経平均先物は39,200円まで上昇しています。
この不可解な上げについて、やはり今週末のメジャーSQを抜きには語れません。これまでもメジャーSQの前後でオプション・先物の売り方と買い方の思惑が交錯し、相場が乱高下する場面がたびたびありました。

長期個人投資家としては、ここで変に強気になって相場に付いていくことは慎み、むしろ相場の急落に備え下値で買い指しを入れるくらいで丁度いいと思います。

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【株】ソフトバンクグループ社債について

5月31日、ソフトバンクグループ(SBG)は個人を対象に、利率3.03%の7年債(2031/6/13償還)5,500億円の発行を決定しました。引受け証券の各社とも、売れ行きは好調のようです。当債券は日本格付研究所(JCR)からシングルAの格付けを取得しました。また先頃、米国格付け会社のS&Pグローバルは、SBGの長期発行体格付けをダブルBプラスに1ノッチ引き上げています。今回はSBG第63回無担保社債の発行条件が適正か否か、簡単な方法で確認してみたいと思います。具体的には、①SBG既発債の流通利回りと比較する、②同じ格付けの他社債券の利回りと比較する、の方法でチェックします。

まず①ですが、日本証券業協会の「公社債店頭売買参考統計値表」を使います。これは、日本証券業協会が会員の証券各社からの報告に基づき、公社債の気配値を日次で公表しているものです。この表で5月31日のSBGの既発債の流通利回りを確認すると、2031/4/25償還の第62回債の(平均)利回りは2.995%、2031/3/14償還の第59回債の(平均)利回りは2.982%となっています。したがって、第63回債の利回り3.03%はほぼ妥当であるといえます。

次に②ですが、ここでは国内格付けJCRのAではなく、海外格付けS&PのBB+を基準に見ていきます。米国ハイ・イールド債指数のBB格債インデックスを見ると、5月31日時点のスプレッド(米国国債への上乗せ金利)は2.22%となっています。(出所:野村アセットマネジメント/週間市場情報米国~米国ハイ・イールド債市場~) 5月31日の2031/6/20償還の日本国債(超長期国債第128回債、129回債)の利回りを「公社債店頭売買参考統計値表」で確認すると、0.755%と0.759%となっています。これに、BB格債スプレッドの2.22%を加算すると2.975%と2.979%となります。やはり第63回債の利回り3.03%は妥当といえそうです。当債券を購入された個人投資家の皆さんの眼力に感服です。

ここで、SBG社債のリスクについて考えてみます。通常、債券のリスクというと、金利が頭に浮かびます。しかし、今回、個人投資家の皆さんは、償還まで持切りを前提に購入されていると思います。そのため、金利リスクよりも、大量の社債を発行しているSBGの信用リスクの方が気になるのではないでしょうか。実際、SBGの信用リスクが顕在化するような場面では、SBG社債を市場で売却することはほぼ不可能と思われます。(売れたとしても価格の大幅なディスカウントを求められるでしょう。)そのときは、SBGと心中する覚悟が必要です。

現在、ソフトバンク株の配当利回りは4.4%程度ですが、ボラティリティの高い株式は怖いけど、社債なら投資してもいいという個人投資家の方は多いと推察します。かねて私は、リスクレベルが株式と国債の中間をいく資産があればいいと思っていました。一見、JREITが当てはまりそうですが、当ブログで指摘してきたようにJREITは株式なみにリスクの高い資産です。そういう意味では、今回のSBG社債のようなハイ・イールド債こそ、適役だと思います。政府の資産運用立国の方針のもと、ブラックストーン等の海外運用会社と連携した国内証券会社が、プライベート・エクイティや私募不動産、私募インフラ投資といったプライベートアセットを販売する動きが強まっています。しかし、私はこれらの資産よりも、透明性の高いハイ・イールド債市場の育成を急ぐべきだと考えます。

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【株】個人投資家向けTAA

TAA(Tactical Asset Allocation)とは、株式・債券・キャッシュの資産配分を戦術的かつ機動的に変更することで、収益の獲得を狙う投資戦略です。通常の投資戦略が株式や債券の銘柄選択によって収益を狙うことに比べ、ユニークな戦略といえます。かつては先端の大手年金基金等で採用されていましたが、パフォーマンスの有効性に疑問ありとのことで、最近では限定的な採用に留まっているようです。そんなTAAですが、今回は個人投資家が採用してはどうですか、という提案です。

個人投資家の最大の悩みといえば、「相場暴落の恐怖」でしょう。そして、ほったらかし投資においては、「相場暴落の恐怖」をいかに克服するかが大きな課題となります。「相場暴落の恐怖」に耐えきれず、底値で損切りした苦い経験のある個人投資家は多いと思います。かくいう私もその一人です。そんな「相場暴落の恐怖」をどうやったら克服できるのか。長年の私の課題でしたが、ここもとの日本株の下落局面において、あるアイデアを思いつきました。今回の下げ相場での投資行動でお話したように、私は確定拠出年金(DC)で積み立てていた資産を3月にキャッシュ化し、4月、日経平均株価が下落するのに合わせて幾つかの日本株を買い下がりました。その間、私はひたすらお目当ての銘柄を安く買うことだけを考えていました。日経平均が下落すれば、私が保有している他の銘柄の評価額も悪化するにも関わらずです。この経験から、私はひとつの仮説を立てました。「投資家はある銘柄を買おうと思った瞬間から、その銘柄を安く買える相場の下落を歓迎し、自身が保有する他の銘柄の評価額の下落は気にならなくなる。」 どうでしょう? あなたにも当てはまるのではないですか。もし、この仮説が正しければ、追加投資するためのキャッシュを持っていれば、「相場暴落の恐怖」を克服できるはずだ。私はそう考えました。

問題は、富裕層でもない限り、追加投資の原資を常に手許にプールしておくのは難しいことです。では、一般の個人投資家はどうすればいいのか。そのためには、保有資産の一部を事前にキャッシュ化し、相場暴落に備えればいいのです。例えば、保有資産の10%を目途にキャッシュ化をします。具体的には相場の上昇局面で、①含み益の大きい銘柄から順に売却する、あるいは反対に②含み損の大きい銘柄/含み益の小さい銘柄から順に売却する(実現損は配当と相殺)、といった方法が考えられます。いずれの方法も、株価の上げ下げに応じ、株式⇒キャッシュ⇒株式と、資産配分の変更を繰り返すことになります。私はこの手法を本来の意味合いとは異なりますが、「個人型TAA」と呼ぶことにしました。「個人型TAA」は、当ブログのモットーである「ほったらかし投資」の趣旨に鑑みると邪道です。長期的なパフォーマンスにも、恐らく悪影響を与えるでしょう。ただ「相場暴落の恐怖」に怯え、底値で損切りするといった愚行を繰り返すよりは、多少のコストを払ってでも「個人型TAA」で武装し、「相場暴落の恐怖」に泰然と立ち向かう方が生産的だと思いますが、いかがでしょう?

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【株】今回の下げ相場での投資行動

401K(確定拠出年金)で運用していた日経平均インデックス投信の解約資金が、4月になってようやく私の口座に入金されました。支払い請求の書類を提出したのが3月初ですから、1ヶ月以上かかった計算です。正直、この対応の鈍さにはあきれました。ただ、入金を待っている間に内外株式の雲行きが怪しくなり、相場が下げ基調となったのはラッキーでした。私は押し目を拾うべく、早速買いの手を入れました。上表がその途中経過です。私は今回の下げの目途を日経平均の高値41,000円から▲10%と置き(毎度のように根拠はありません、単なる希望的観測です)、そこに至るまで38,000円割れから買い下がるイメージでした。今回の下げでは、新NISAの成長投資枠を高配当株で埋めたかったので、メイテックHD(9744)とコマツ(6301)を購入しました。また、最近日本株投資を始めたアジアや中東のお金持ちが好みそうな(?)大型優良株のダイキン工業(6367)を、特定口座で購入しました。あと若干購入資金が残っているので、この先日経平均が36,000円に近付けば、さらに買い下がりたいと思います。

もう一つ宿題があります。我が家の円資産のリスク分散のため、米国債を購入する件です。米国ではにわかに金利引き下げ観測が後退し、長期金利が上昇しています。私が目を付けている米国債(利率4.375%、償還2028/8/31)もアンダーパーになっており、買いたい気分が増しています。しかし、一方で残念なのが円安の進行です。4月26日の日銀金融政策決定会合での結果を受け、足下、ドル円は158円台に突っ込みました。米国長期金利が上昇したことで、米国債の購入を煽るユーチューバーも多いですが、外債を購入する際に注意しなければいけないのが為替です。外債投資はほとんど為替投資といっても良いくらいです。

ご参考に、先程の私が目を付けている米国債の利回りが為替によってどれだけ変化するか、下表にて試算してみました。例えば、米国債の購入時の為替が1ドル=155円であった場合、利金と償還金の支払い時の為替が145円だと年間利回りは2.65%に低下します。これが135円まで円高になると、年間利回りは僅か0.97%です。利率(クーポン)が4.375%だと思って購入した米国債が、ちょっと円高になっただけで利回りが大幅に低下することがお分かり頂けると思います。
2つめの表は、ドル円が145円の水準で米国債を購入した場合です。ここでも、為替が135円に円高になると年間利回りは2.53%まで低下します。実際はここから20%税金が引かれるので、手取りベースでは2%です。
米国債の利金と償還金をドルで受取りドルで消費する人はいいのですが、円で受取る必要がある場合、米国債のパフォーマンスは為替に大きく依存することをご認識下さい。外国債券は安全資産ではありません。外債投資はハイリスクな為替への投資です。
で、私はと言いますと、日銀の為替介入でドル円が145円を割れるようなタイミングがあれば、行こうかなと考えています。ですが、4年後に勝てる気は全くしません。

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【株】オルカン一択の世相に物申す

春本番。桜の花は散ってしまいましたが、引き続き、世間はNISA一色、オルカン一色です。初めてもらう給料からオルカンでつみたてNISAスタート、という新入社員の方も多いと思います。そんな大人気のオルカンですが、今回は投資に当たり注意しておきたい点についてお話したいと思います。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス投信(通称オルカン)。この投信1本で全世界の株式に分散投資できることが売りとなっています。しかし、オルカンの投資先の6割以上はアメリカで、構成銘柄の上位にも米国企業が多く含まれており、実際オルカンとS&P500は似た動きをします。ですから、全世界の株式へ分散投資したつもりが、開けてみたら米国株への集中投資と変わらない、ということになりかねません。そして1番の問題点は、オルカンは外国株投信であり為替リスクがあるにも関わらず、オルカンを推奨する業者やメディアがあまり言及していない点です。

一部の証券会社は、オルカンと日経平均株価のチャートを並べてオルカンの優位性を訴求していますが、これは近年のオルカンのパフォーマンスが、円安の為替差益で嵩上げされているからです。外国株式の場合、株のリターン・リスクに為替のリターン・リスクが乗っかります。したがって、日本株よりも外国株の方がリターン、リスクとも高くなります。そして、為替の期待リターン、リスクは株式のそれとは性格が異なることに注意すべきです。株式の期待リターンはプラスです。それは株式のリターンの源泉が企業の成長力にあるからです。一方で為替の期待リターンはゼロです。それは、為替は2国間の通貨の交換比率に過ぎず、そこから付加価値は生まれないからです。

では、為替のオルカンへの影響はいかほどでしょうか。簡単な試算で確認してみます。今、為替が1ドル=150円として、150万円でオルカンを10,000ドル購入したとします。20年後、オルカンは買値の10倍、100,000ドルになりました。ここでオルカンを売却し円転するとしたら、収益はいくらになるか。
20年後の為替を、①1ドル=200円、②1ドル=170円、③1ドル=150円、④1ドル=120円、⑤1ドル=100円、⑥1ドル=70円、とします。各ケースの収益は、①100,000ドル×200円-150万円=1850万円、②100,000×170-150万円=1550万円、③100,000×150-150万円=1350万円、④100,000×120-150万円=1050万円、⑤100,000×100-150万円=850万円、⑥100,000×70-150万円=550万円。このように、売却時点の為替の水準で、円ベースのオルカンのパフォーマンスが大きくブレることが分かります。購入時と売却時で為替の水準が不変(③)であれば1350万円であった収益が、売却時に1ドル=100円の円高(⑤)であれば850万円まで減少してしまいます。逆にオルカン売却時に大きく円安に振れていれば、投資家は日本株を大きく上回るリターンを手にすることができます。

下図にオルカンへの株式と為替の影響をまとめました。縦軸が株式のリターン、横軸が為替のリターン。○はリターンがプラスのとき、×はリターンがマイナスのときです。ケース1は株式・為替ともプラスのときです。ケース4は株式・為替ともマイナス。ケース2とケース3は株と為替の片方がプラスでもう片方がマイナスのときです。具体的な市場環境を想定すると、ケース1は株高・円安でオルカンとしてはベストな環境です。逆にケース4は株安・円高で最悪の環境です。ケース2は株高・円高、ケース3は株安・円高となります。株と為替は別々の理屈で動くので、このようにマトリクスで考える必要があります。ちなみに昨今はケース1に該当し、リーマンショック~アベノミクス以前の時期(2008年~2012年)はケース4に該当します。4つある市場環境のうち、たまたま今がベストなケース1であるからこそオルカンの好調があると言え、市場環境が変われば保証の限りではありません。

投資初心者のオルカン購入者が、このような外国株式の特性を理解した上で購入しているか。証券会社や銀行といった業者が、株だけでなく為替のリスクを、分かりやすい言葉で丁寧に説明しているかどうか。そこが問題です。
誤解のないように申し上げておきますが、私はインデックス運用を否定しているわけではありません。運用はオルカン1本で事足りるという、最近の風潮に物申しているのです。すでに保有している円資産とのリスク分散で外貨資産を持ちたいからと、オルカンに集中投資するのであれば問題ありません。しかし、退職後の生活費に充てるためのお金であったり、住宅の購入費であったりと、円資産としての出口が予定されるお金をオルカンに集中投資するのは考えものです。国内株式とのミックスで運用されてはいかがですか?

識者の中には円安は国策なので、この先も円安傾向は続くと主張する向きもありますが、円安が国策などということは決してありません。確かに円安は、輸出企業やインバウンドの恩恵を受けられる国内企業にとってプラスです。が、それは日本企業が外需を取り込んでいるからであり、外国から見れば内需を横取りされたことになります。そのため、行き過ぎた円安は海外とのあつれきを呼び、ときに外交問題に発展します。(円安政策が近隣窮乏化策と呼ばれる所以です。) 古い話ですが、1985年9月22日、G5(日・米ほか先進5ヶ国)は米国の強力な圧力のもと、米国の貿易赤字削減のため円高ドル安誘導を発表しました。有名なプラザ合意です。このとき、発表からわずか1日で為替は1ドル=235円から20円も円高になり、翌1986年7月には150円台まで円高は進行しました。こんな昔話を持ち出したのは、為替市場は極めて政治色の強いマーケットであり、しばしば市場原理で説明の付かない理不尽な動きをするからです。為替に関しては株式以上に思い込み・決め打ちは危険であり、慎むべきです。

最後に、今後、為替が円高に動く可能性について考えてみたいと思います。まずありそうなのは、ナスダックやNYダウ等の米国株の暴落に伴うドル安・円高です。バリュエーション面から見た米国株の割高は、多くの市場関係者が指摘するところです。それから、11月の大統領選でトランプさんが選ばれ、彼が米国の輸出産業保護のため円安を声高に批判するケースです。また、日本発のケースとしては、日銀の金融引締めが時期尚早であり、本邦経済がデフレに後戻りしてしまう場合が考えられます。繰り返しますが、為替は株式以上に予測困難なマーケットです。株式のリスクをとったうえに為替のリスクまでとる必要が本当にあるのか、今一度考えてみて下さい。

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【株】債券という商品

債券という商品は、私たち個人投資家には普段あまり馴染みがありません。しかし、確定拠出年金(DC)で利用するバランス型投信や、会社で加入する確定給付企業年金(DB)では必須の投資対象となります。そこで、今回は債券について、まとめてみたいと思います。債券の特性は預金や株式と比較するとはっきり分かるので、まずは預金と比較してみましょう。

両者に共通しているのは、どちらも元本保証の安全資産だという点です。満期まで持っていれば、ちゃんと元本が返ってきます。(ただし、債券の発行体が倒産したら元本は返ってきません。) それから、固定型と変動型の金利(クーポン)がある点も共通しています。(以下では固定型の債券を前提とします。) 一方、異なるのは、預金は売買できないのに債券は売買できる点です。債券は小切手や手形と同じ有価証券であり、主に証券会社の店頭で売買が可能です。また、預金は満期までの期間が最長でも10年となりますが、債券は償還まで40年の超長期債もあります。(永久債といって満期のない債券もありますが、ここまでくると債券というより株式に近い商品となります。)

次に、株式と比較してみます。どちらも売買できるという点では共通していますが、株式に元本保証はなく満期もありません。債券の金利(クーポン)は固定ですが、株式の配当は企業の業績によって変動します。また、債券と株式では逆の値動きをするという特徴があります。例えば、景気が悪化すると債券価格は上昇するケースが多い反面、株式価格は下落するケースが多いです。(両者は常に逆の動きをするわけではありません。)

世の機関投資家は、株式と逆の動きをする債券の特性を利用するため、債券に投資をします。(※) 債券を持っていれば株式が下落しても、損失の一部を債券の上昇で相殺できるからです。そういう意味で、債券は機関投資家にとって株価下落に備えた保険といえます。(反面、株価が上昇すれば債券価格は下落し損失が発生します。この損失が保険料=コストになります。) ここで、毎年5%以上のリターンを目指している年金基金があったとします。この基金が株式に100%投資した場合(ポート①)、期待リターンが7%、リスクは15%とします。そして、株式と債券に分散投資した場合(ポート②)は、期待リターンが5%、リスクは10%とします。はたして年金基金はどちらのポートフォリオを選ぶでしょうか? もし、この基金が5%以上のリターンを安定的に上げたいと考えるのであれば、きっとポート②を選択するでしょう。
(※)債券は金利商品としての性格もありますが、現状では金利が低すぎて金利商品としては魅力がありません。

このように、機関投資家にとってリスク抑制ツールとして有益な債券ですが、私たち長期個人投資家にとっても同じように有益と言えるのでしょうか。結論から言いますと、私は個人投資家にとって債券は無用の長物だと思います。なぜなら、個人投資家は、債券よりもはるかに強力で低コストのリスク抑制ツールを持っているからです。それは時間です。個人投資家は他人の資産を預かって運用しているわけではないので、1年毎にリターンを確定する必要はありません。また、コストを払って年度リターンのブレを抑える必要もありません。リターンが大きく落ち込む年があっても、それは評価上の損失に過ぎません。長期の時間軸の中でやがて株価は上昇トレンドに回帰し、評価損は解消され累積リターンはプラスに転じることでしょう。極論すれば、私は長期個人投資家はリターンだけを見て投資すれば十分と考えます。それでもリスクが気になるという方は、資産の一部を債券でなくキャッシュ(預金)で保有すべきです。

【おまけ】債権という商品
債券と間違えやすい商品に債権があります。日本語ではどちらも「サイケン」と発音し区別がつきませんが、英語では債券はBond、債権はLoanとなり、金利系商品という以外は別ものです。債券は「発行体(国や地公体、企業など)が資金調達するために発行する有価証券」であるのに対し、債権は「個人や法人が契約や法律に基づいて他者に対し債務の履行(例えば金銭の支払い)を請求できる権利」を言います。何となく商品性も似てますが、法的性格は全く別の商品です。投資家を自負する方は混同しないようにしましょう。





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【株】インフレと株高の関係

3月19日に日銀は賃金の上昇を伴う2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったとして、マイナス金利政策を解除しました。事前にはマイナス金利解除により為替が円高に転じるとの観測もありましたが、3月27日には一時1ドル=152円近辺まで円安が進行しました。慌てた財務省は日銀・金融庁と3者会合を開いて介入をちらつかせながら、必死で市場を牽制しました。一方、円安を見た株式市場は、再度41,000円トライの様相です。ここもとの株高の根底には、日本経済のデフレ脱却→インフレ転換期待があると言われています。でも、インフレになればモノの値段が上がって国民の生活は苦しくなるはずなのに、なぜ株は上がるのでしょう? 今回は、この点について考えてみたいと思います。

今、黒字企業A社と赤字企業B社があるとします。直近決算ではA社が売上100・売上原価80で粗利が20、B社は売上60・売上原価80で粗利が▲20とします。A社、B社とも、今期は原材料費が10%上がったので、製品価格を10%値上げしました。(尚、両社とも製品価格の値上げに伴う売上数量の減少はないものとします。) この場合、A社、B社の今期決算はどうなるでしょうか。
A社の売上は100×1.1=110、売上原価は80×1.1=88、で粗利は110-88=22となり前期比+2の増益です。B社の売上は60×1.1=66、売上原価は80×1.1=88、で粗利は66ー88=▲22で前期比▲2の減益です。このように同じ10%の原材料費の上昇でも、黒字企業には増益要因として、赤字企業には減益要因として効いてくることが分かります。また、原材料費の上昇を製品価格に転嫁できない黒字企業や、製品価格に転嫁できても売上数量の減少を招いてしまう黒字企業にとっても、原材料費の上昇は減益要因となります。

このように、インフレは競争力のある黒字企業にとっては利益を伸ばすチャンスとなる反面、競争力のない企業、赤字企業にとっては業績が悪化するきっかけとなります。マクロ的な視点で見ると、インフレは企業の優勝劣敗を明確化し、ゾンビ企業を淘汰することで、経済の効率性・生産性をアップします。
海外投資家は、東証が主導する企業経営改革に加え、インフレによる日本企業のパフォーマンス向上に期待し、日本株を買っているものと思われます。
逆に、デフレはぬるま湯の中で競争力のない企業や赤字企業を温存し、経済のパフォーマンスを低下させます。デフレ下の日本で、海外投資家が日本株を売り続けたのは当然のことです。

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【株】私の個別株投資遍歴

今日は私の個別株の投資遍歴についてお話します。はたして、私の運用力はいかほどか。日経平均株価に勝っているのか。ちょっと恥ずかしいですが、全部見ていただきましょう。
私が初めて株式を購入したのは、1997年10月のJR東海株の第一次売り出しのとき。売り出し価格は忘れてしまいましたが、今でも保有しています。その後、1990年代は短期の売り買いを繰り返していましたが、損失を出した記憶しかありません。(当時の記録は残っていません。) 1998年の金融恐慌の際は、額面(50円)を割り込んだ長銀株をスケベ買いしました。私はまさか天下の長銀が潰れることはないだろうと高をくくっていましたが、残念ながら潰れてしまいました。おかげで私の長銀株は紙クズです。

2000年代に入り長銀ショックの傷も癒えたころ、私は短期の利ざや稼ぎから長期目線の株式投資に方向転換しました。2003年8月のマキタに始る個別株の投資遍歴は下表のとおりです。

まず目に付くのが、2007年8月から2020年10月まで、購入日にブランクがあることです。この時期、私が勤めていた某銀行で株式投資が許可制となったため、個別株の購入を自粛したためです。(私は2019年9月に銀行を退職しました) 2008年のリーマンショックから日経平均のザラ場7,000円割れを経て、2012年のアベノミクス相場の開始まで、日本株の千載一遇の買い場が続きますが、この間、私は相場に参加していません。まさに痛恨の極みです。個人投資家として失格です。個別株はだめでも投信は買うことができたので、日経平均のインデックス投信でも買っておけばよかったのです。

私が今まで購入した銘柄の中で、会社の業績やバリュエーションを分析して買った銘柄は1社もありません。(そもそも、私にそんな能力はありませんし) なんとなく新聞で目に付いたとか、地元の会社だから応援しようとか、そんな動機で買っています。もともとマキタは高配当の地味な会社でしたが、いつの間にか海外生産比率をアップして高成長企業に様変わりしていました。それから、HOYA、村田製作所と買い進めるにつれ、ポートフォリオのグロース色が濃くなり配当利回りが下がってきたので、2020年の投資再開時にはバリュー系の高配当株を買おうと考えていました。そこで購入したのが、オリックス、東京海上、三菱商事、JT、アイカ工業です。また、このとき、実験的にJREITを2銘柄購入しました。ヘルスケア&メディカル投資法人と大和ハウスリート投資法人です。(その後、国内金利の上昇による価格下落リスクが気になったので、大和ハウスリート投資法人は売却しました。) 他に、タカラレーベン・インフラ投資法人ほかインフラファンド3銘柄にも投資しましたが、2022年10月にタカラレーベン・インフラ投資法人が公開買い付けに伴い上場廃止となるのに合わせ、全銘柄を売却しました。(マーケットの縮小による流動性低下で、インフラファンドは長期保有に向かないと考えました。)
2022年2月以降は、FRBの利上げで大きく下落したナスダックの影響で低迷していたグロース銘柄の中から、信越化学とリクルートを買いました。住友金属鉱山、カネカを買ったのは単なる思いつきです。また、値動きの鈍かった帝人、岡谷電機産業、尾張精機、アイチコーポレーションの4銘柄を損切りし、別の銘柄に入れ替えました。(私は基本的に損切りはしませんが、より魅力的な銘柄を買う原資に充当するために売却することはあります。)

以上、ざっくり私の個別株の投資遍歴をご覧いただきましたが、上表で青く網掛けしている銘柄は、購入時から2024年3月21日までの騰落率が日経平均に負けているものです。勝敗の星取りでいくと9勝6敗となり、私が日経平均に勝ったように見えますが、この表に載っていない損切り銘柄があるので、個別株の配当を加えたトータル損益でも日経平均に勝てていないよう思います。(アバウトな話ですいません。正確な計算は勘弁して下さい。) 
私の個別株の拙い投資遍歴から言えるのは、手間をかけて個別株に投資するよりも、インデックス投信に投資する方が楽に良好な結果を出せるということです。それから、個別株はインデックス投信よりもはるかにリスクが高く、心臓によくありません。一例として、マキタのチャートを付けておきます。(出処:yahooファイナンス) 2021年9月にコロナ禍による好業績への期待から、7,050円の最高値を付けましたが、コロナの落ち着きとともに株価は下げ足を早め、2022年11月に2,589円の安値を付けました。僅か1年余りで3分の2近くの下落です! 私は都合の悪いことは忘れてしまう性分なので平気でしたが、普通の人は短期間に株価が3分の1になったら精神的にきついと思います。でも、インデックス投信なら、何十年に1度のリーマンショック級の経済ショックでも来ない限り、株価が3分の1になることはまずありません。

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【株】清原達郎さん著「わが投資術」を読んで

いい感じで日経平均が下がってきました。個人的希望を言わせていただくと、あと2,000円ほど下がってくれると嬉しいのですが。でも、今まで買えてない人が多いようですから、そこまで下がらないかもしれませんね。
今回は注目の清原達郎さん著「わが投資術」(講談社)を読んだ感想について、書いてみたいと思います。ただ、ネタバレになるので詳細は書けません。興味を持たれた方は、是非本書を手に取ってみて下さい。

清原さんの投資手法は、ご本人いわく「割安小型成長株投資」です。えっ? 割安株投資? 成長株投資? どっち? 思わず聞き返したくなりますが、まさしく割安成長株投資なのです。この投資法は小型株の中で低PERかつネットキャッシュ比率の高い銘柄を選んで、3年~5年間保有し株価が上昇したところで売却するというものです。小型株である理由は、マーケット関係者から注目されず割安な状態で放置されている可能性が高いから。業績が好調で増益が続くと、当社に注目するヘッジファンドや小型株を得意とする証券会社の関心を集めます。市場の注目を集めるに従ってPERが切り上がっていきます。清原さんの言葉を借りれば、「バリュエーションの梯子を上がっていく」感じです。このPERの上昇によって、当社株のパフォーマンスは驚異的なものとなります。(※)

割安小型成長株投資はスタンダード市場(旧、店頭登録市場)を舞台としていますが、グロース市場(旧、マザーズ市場)はどうか。気になるところです。清原さんは、「中身が冴えない割には高PER銘柄が多く、最悪の市場です。赤字のバイオ株など、見る価値のない株が多すぎます。」と辛口の評価をしています。

以上、ごくごく簡単に「わが投資術」をご紹介しました。最後に私の感想をお話します。本書には、実務家でないと書くことのできない(他書にはない)貴重な株式投資のノウハウが満載です。ひと通り投資を勉強した方で中期目線で株式投資に取り組まれる方にはピッタリの教科書でしょう。ただ、ほったらかし投資の長期個人投資家の目指す路線とは、ちょっと違うかなと思いました。

(※)清原さんのファンドが買いを入れることで、割安に放置されていた小型株の商いが急増し、それが市場関係者の関心を呼ぶケースも多いと思います。このあたりは個人投資家には真似できない領域です。