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【株】株式投資のキモをザックリ理解する

株式投資の解説書を読むと、期待リターンだの標準偏差だの、アルファだのベータだのと、小難しい用語が次々に出てきます。でも私たちは投資期間や許容リスクを制限されたプロの投資家ではないので、そんな細かい話は無視しましょう。もっとザックリと大きな流れをつかむことの方が大事です。そこで、今回は「年1時間で億になる投資の正解」を読んででご紹介した内容を引きながら、株式投資のキモをザックリ理解してみたいと思います。

ここで一つだけ専門用語を使うことをお許し下さい。JPモルガンの超長期市場予測(2024年版)によれば、日本大型株の期待リターンは6.7%、日本小型株の期待リターンは7.2%となっています。そこで、取り敢えず間を取って、日本株の期待リターンを7%とします。期待リターンというと何かすごいことのように聞こえますが、何のことはありません。ただの利回りのことです。日本株に投資したら、年7%の利回りが期待できるということです。期待というのは、株式はリスク資産なので、預金のように利回りが確定したものでなく、あくまで期待=予想ベースの数字だよ、という意味です。

ところで、皆さんは「72の法則」をご存じでしょうか?「72の法則」とは、お金が倍になるために必要な期間が簡単に分かる算式のことです。72÷金利(%)=お金が倍になる期間、となります。(※) ここに日本株の期待リターンの7%を入れると、72÷7=10となります。10年で資産が倍に、20年で資産が4倍になる計算です。
(※)あくまで概算、目安です。

株式投資はいいことばかりじゃありません。リスクも考えなければいけません。しかし、私たちは素人の長期個人投資家ですから、標準偏差のような細かい理屈は要りません。ザックリ、何年で何%くらい下落するといった情報があれば十分です。そこで、「年1時間で億になる投資の正解」の出番です。この本の中でS&P500の過去データとして、1年に3回▲5%の下落、16ヶ月に1回▲10%の下落、7年に1回▲20%の下落、そして22年に1回▲50%の下落が紹介されています。米株と日本株の違いはありますが、日本株を米株よりやや厳しめに見ておけば大丈夫。日本株は、1年に1回▲10%の下落、5年に1回▲20%の下落、20年に1回▲50%の下落をするものとしましょう。

5年に1回▲20%の下落なんて、とんでもない! 20年に1回▲50%の下落って、資産が半分になるって話? ふざけるな!
お怒りはごもっともです。ですが、ちょっと待って。日本株の期待リターンに目をやって下さい。10年で資産は倍、つまり利回りは100%です。20年で300%。確かにこれらは計算上の話、机上の空論です。実際はそんなに上手くはいきません。でも、20年、30年……といった長期の時間軸においては、机上の空論が現実となる可能性が高まります。5年で▲20%、20年で▲50%相場が下落しても、それまでの相場上昇で十分なお釣りが来るはず、という仕掛けです。

長期の株式投資の成功の秘訣は、短期的に含み損を抱えても安易に損切りせず、複利の効果で資産が積み上がるまで我慢することです。一旦資産が積み上がれば、含み益がクッションとなって短期的な相場下落も気にならなくなります。長期の時間軸では「相場下落による損失」よりも、「相場上昇による利益」の方が圧倒的に大きいのです。そして、相場の下落は、次なる相場上昇のために欠かすことのできないものなんです。あなたは高くジャンプしようと思ったとき、どうしますか? 一度大きく屈み込みますよね。それと同じです。