ドル・コスト平均法とは、株式などの価格が変動する商品に対して「常に一定金額を定期的に」購入する方法のことをいいます。投資金額を一定にすることで、価格が低いときには購入量(口数)を多く、価格が高いときには購入量(口数)を少なくすることとなり、商品の購入を機械的かつ効率的に行うことができます。今、定期購入する株式の価格をp、購入量をqとすると、ドルコスト平均法での株式の購入は、pq=k(一定)と表現できます。例えば、毎月の定期購入額をk=20,000円と設定した場合、p=100円の月はq=200単位、p=400円の月はq=50単位購入することになります。価格が低い月は購入量を多く、価格が高い月には購入量を少なくする調整機能が発揮されています。と、ここまではどの投資本にも書かれている内容ですが、当ブログではもう一歩踏み込みたいところです。
株式等を機械的かつ効率的に売却するにはどうすればいいのか。うまくドル・コスト平均法を応用できないものか、考えてみましょう。具体的には、ドル・コスト平均法とは逆に、価格pが低い月には売却量qを少なく、価格が高い月には売却量を多くできればいいわけです。これは、例えばq/p=k(一定)を満たすように、p、qを決めれば実現できます。仮にk=10と設定したとします。p=100円の月はq=1000単位を売却、p=400円の月はq=4000単位を売却するイメージです。これなら、価格が低い月は売却量を少なく、価格が高い月には売却量を多くすることができます。ただ、注意しなければいけない点があります。購入のときと違い、売却では価格pがどんどん上昇していくと、売却量qも青天井で多くなっていきます。結果、予定以上の株式を売却してしまう危険性があるのです。このリスクを回避するためには、予め1回あたりの売却量に上限を決めておく必要があります。例えば、q/p=10(q≦5000)みたいな感じです。
目下、政府はシニア層の資産取崩しニーズに応えようと、「プレミアムNISA」の創設に動いていますが、今回検討した逆ドル・コスト平均法を使えば特別な商品や仕組みがなくても、機械的かつ効率的に資産の取崩しができると思います。