5月31日、ソフトバンクグループ(SBG)は個人を対象に、利率3.03%の7年債(2031/6/13償還)5,500億円の発行を決定しました。引受け証券の各社とも、売れ行きは好調のようです。当債券は日本格付研究所(JCR)からシングルAの格付けを取得しました。また先頃、米国格付け会社のS&Pグローバルは、SBGの長期発行体格付けをダブルBプラスに1ノッチ引き上げています。今回はSBG第63回無担保社債の発行条件が適正か否か、簡単な方法で確認してみたいと思います。具体的には、①SBG既発債の流通利回りと比較する、②同じ格付けの他社債券の利回りと比較する、の方法でチェックします。
まず①ですが、日本証券業協会の「公社債店頭売買参考統計値表」を使います。これは、日本証券業協会が会員の証券各社からの報告に基づき、公社債の気配値を日次で公表しているものです。この表で5月31日のSBGの既発債の流通利回りを確認すると、2031/4/25償還の第62回債の(平均)利回りは2.995%、2031/3/14償還の第59回債の(平均)利回りは2.982%となっています。したがって、第63回債の利回り3.03%はほぼ妥当であるといえます。
次に②ですが、ここでは国内格付けJCRのAではなく、海外格付けS&PのBB+を基準に見ていきます。米国ハイ・イールド債指数のBB格債インデックスを見ると、5月31日時点のスプレッド(米国国債への上乗せ金利)は2.22%となっています。(出所:野村アセットマネジメント/週間市場情報米国~米国ハイ・イールド債市場~) 5月31日の2031/6/20償還の日本国債(超長期国債第128回債、129回債)の利回りを「公社債店頭売買参考統計値表」で確認すると、0.755%と0.759%となっています。これに、BB格債スプレッドの2.22%を加算すると2.975%と2.979%となります。やはり第63回債の利回り3.03%は妥当といえそうです。当債券を購入された個人投資家の皆さんの眼力に感服です。
ここで、SBG社債のリスクについて考えてみます。通常、債券のリスクというと、金利が頭に浮かびます。しかし、今回、個人投資家の皆さんは、償還まで持切りを前提に購入されていると思います。そのため、金利リスクよりも、大量の社債を発行しているSBGの信用リスクの方が気になるのではないでしょうか。実際、SBGの信用リスクが顕在化するような場面では、SBG社債を市場で売却することはほぼ不可能と思われます。(売れたとしても価格の大幅なディスカウントを求められるでしょう。)そのときは、SBGと心中する覚悟が必要です。
現在、ソフトバンク株の配当利回りは4.4%程度ですが、ボラティリティの高い株式は怖いけど、社債なら投資してもいいという個人投資家の方は多いと推察します。かねて私は、リスクレベルが株式と国債の中間をいく資産があればいいと思っていました。一見、JREITが当てはまりそうですが、当ブログで指摘してきたようにJREITは株式なみにリスクの高い資産です。そういう意味では、今回のSBG社債のようなハイ・イールド債こそ、適役だと思います。政府の資産運用立国の方針のもと、ブラックストーン等の海外運用会社と連携した国内証券会社が、プライベート・エクイティや私募不動産、私募インフラ投資といったプライベートアセットを販売する動きが強まっています。しかし、私はこれらの資産よりも、透明性の高いハイ・イールド債市場の育成を急ぐべきだと考えます。
【閑】海の中の槍ヶ岳
「海と山と」では海と山が通じているというお話をしましたが、今回はその続きです。まずは、下の写真↓と上の写真↑を見比べて下さい。ちなみに上の写真↑は槍ヶ岳です。
荒ぶる海から突き出た、槍の穂先のような岩の塊。何じゃこりゃ?と思われたことでしょう。これは東京のはるか南約650キロ、鳥島の南約76キロにある高さ100mの孀婦岩(ソーフガンまたはソーフイワ)といわれる奇岩です。(偶然の一致というべきか、槍の肩から槍ヶ岳山頂まで、いわゆる「槍の穂先」の標高差も100mです。) 2018年秋に放送されたNHKスペシャル「秘境探検 東京ロストワールド孀婦岩」を見て知ってるという人もいるかもしれません。
写真を見ると単独の岩が突き出ているように見えますが、実は水深200mほどのところに平らな台地状の山があり、その山は水深2,500mの深海から立ち上がっているのです。(ケーキにロウソクが付き刺さっている様子を想像して下さい。)つまり、標高2,800mのアルプス級の高山の先端100mが海から突き出ているわけです。孀婦岩は安全岩という硬い岩石でできていることが学術調査で分かっていますが、今のような波の浸食を受け続けていくと、数百年から数千年で消えてなくなると推測されています。
以前は、孀婦岩への不定期航路を持つ「スターマリンⅢ号」という大型高速遊漁船があり、ダイビングショップによる孀婦岩ツアーが開催されたこともありますが、その後、乗客減少により海外へ移転したようです。現在は、下田から孀婦岩まで行く船をチャーターできるとの情報もありますが、詳細は不明です。私は来年、槍ヶ岳に登りたいと考えていますが、孀婦岩にはダイビングはおろか近付くことさえままなりません。
(※)古い本ですが孀婦岩については「東京都・豆南諸島まるごと探検」(山下和秀著 三五館)に詳しい。
【保】新社会人にお薦めしたい保険
昔は新人が職場に配属になると生保のおばちゃまがどこからともなく現れ、気が付いたときには保険に入らされていたものです。今はどこの会社もコンプラが厳しくなり、生保の営業担当者が職場に乱入することはなくなりましたが、私のような古いタイプの人間にとってはどこか寂しくもあります。今回は新社会人の皆さんに、保険屋のオヤジではなく善良な第三者として、お薦めの保険をご紹介したいと思います。
その前に、なんで私たちは保険に入るのか、そもそもの理由について考えてみます。皆さんはこれからの長い人生の中で、ときに思いもよらないトラブルに遭遇することがあるでしょう。他人に損害を与えてしまったら、あなたが土下座して謝っても相手は許してくれないかもしれません。そんなとき、どうやってピンチを脱出すればいいのか。一番手っ取り早く確実なのは、お金による解決です。交通事故でヒトをはねてしまった。火事で家が燃えてしまった。大病を患い仕事ができなくなった。そんな万一のアクシデント(保険事故といいます)に備え、お金の準備をするための仕組みが保険です。お金を貯めるには預金や投資信託といった金融商品もありますが、必要なお金が積み上がるまで長い時間がかかります。その点、保険であれば契約したその瞬間に、何千万から何億ものお金の準備が完了します。次の瞬間、保険事故に見舞われても、所定の保険金を受取ることができます。すごいと思いませんか? これが私たちが保険に入る理由です。
では次にどんな保険に入るべきか、どういう基準で入ればいいのか、考えてみます。保険には国が運営する公的保険と、保険会社が販売する民間保険があります。公的保険は日本国民は全員強制加入なので、入るor入らないを検討すべきは民間保険についてとなります。我が国の公的保険、具体的には健康保険(国民健康保険)と厚生年金(国民年金)ですが、いずれも充実した良い制度です。ですので、新社会人の皆さんは、公的保険の保障が不十分だと思う領域にしぼって民間保険に入ればいいのです。(※1)
(※1)自動車事故には自賠責保険という強制加入の保険がありますが保険金額が不十分なので、ドライバーは別途、民間の自動車保険に入る必要があります。また、火災に備える公的保険はないので、マイホームを建てたら民間の火災保険に加入する必要があります。
それでは、保険事故別に公的保険と民間保険を見比べながら、民間保険への加入の必要性を考えてみましょう。まずは、定期保険です。これは被保険者が死亡(高度障害)したときに、保険金が支払われるものです。対応する公的保険は、厚生年金(国民年金)の遺族年金となります。夫が死亡したときに、妻に18歳未満の子がいる場合、国民年金から遺族基礎年金が支払われます。(子のない妻には遺族基礎年金は支給されないので要注意です。) 年金額は妻(母)が約78万円、18歳未満の子一人につき約22万円(第三子以降については一人あたり約7万円)が支給されます。加えて、厚生年金からザックリ「夫の月給×300ヶ月×5.5/1000×3/4」で計算される金額が遺族厚生年金として支給されます。(※2・3) 例えば、夫の月給が30万円の場合、30万円×300×5.5/1000×3/4=37万円、となります。したがって、夫死亡、妻(母)+子一人のケースでは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を合わせて78万円+22万円+37万円=137万円が、子が18歳になるまで毎年支給されることになります。
ここで、夫死亡後に妻(母)と子供で年間いくら生活費が必要かを想定し、遺族年金だけでは不十分な金額について定期保険でカバーするようにします。年間300万円が必要ならば、300万円ー137万円=163万円の不足です。そして、子供が中学校に入学するまで仮に5年間として、必要となる815万円(=163万円×5年)をカバーするため、死亡保険金が1,000万円の定期保険に加入するイメージです。子供が中学校に入学した後は、妻(母)が仕事に就いて家計を支えることが前提です。私は、定期保険は独身者には不要で、結婚して子供ができたらゆっくり考えればいいと思います。
(※2)夫の勤続期間が25年(300ヶ月)を超える時は、実際の勤続月数で計算。また、月給は正確には平均標準報酬(月)額を使用する。
(※3)遺族厚生年金は子のない30歳未満の妻は5年間のみ受給できる。子のない夫は55歳以上の場合に限り受給できるが、60歳まで支給停止となる。ただし、遺族基礎年金を同時に受給できる場合は遺族厚生年金は支給停止されず、55歳から受給可能。
次に医療保険とがん保険です。医療保険は入院または手術が必要な病気・ケガ全般が保障の対象となるのに対し、がん保険はがんのみが保障の対象です。これらに対応する公的保険は、健康保険の療養の給付となります。会社員が病気やケガで病院にかかると、窓口で医療費の3割の自己負担を請求されます。ただ、自己負担が一定額以上になると、高額療養費制度によって健康保険から一部払戻しを受けることができます。これにより、実際の医療費の自己負担は通常、月額8万円~10万円程度に収まります。(※4・5) したがって、いざというとき10万円を用意できる人は、医療保険やがん保険に入る必要はありません。新入社員の皆さんは、お金の余裕ができるまでの間、医療保険やがん保険に加入するということでいいと思います。
(※4)高額療養費の自己負担限度額=80,100円+(医療費ー267,000円)×1%。よって、医療費が1,000万円の場合でも自己負担は20万円弱。尚、正確には高額療養費の自己負担限度額は被保険者の所得水準によって異なる。
(※5)健康保険組合では、任意給付として高額療養費の上乗せ制度を設けているところがある。任意給付があると自己負担の上限が2万円程度に抑えられるので、事前に会社の健康保険組合に確認しておきたい。
最後は就業不能保険です。就業不能保険は、病気やケガの療養のため長期の休業が必要となり、給料が減額ないし無給となった場合に給付金が支給される保険です。対応する公的保険は、健康保険の傷病手当金となります。傷病手当金は、被保険者が病気やケガの療養のため仕事に就けない場合に、連続した休業4日目から給料の日額の2/3(正確には標準報酬月額の12ヶ月平均÷30×2/3)が、最大1年6ヶ月支給されます。皆さんが給料日額の2/3では生活できないとか、支給期間が1年半では不安だと思うのであれば、就業不能保険に入ることを検討してもいいと思います。ひとつ、就業不能保険の問題点を言うと、メンタル系の疾患が支給対象とならないことです。(尚、ライフネット生命の就業不能保険では、所定の精神疾患の場合、一時金が支給されます。)そこで、GLTD(団体長期障害所得補償保険)をご紹介したいと思います。これは就業不能保険と似ていますが、就業不能保険が生命保険なのに対し、GLTDは損害保険です。また、GLTDは1年更新の短期保険で、会社が契約者となって従業員のためにかけるグループ保険です。ですので、皆さんの会社がGLTDを導入していなければ、加入することはできません。私がGLTDを推す理由ですが、それは補償(GLTDは生保でなく損保なので保障ではなく補償となります)の充実と、保険料の割安さです。GLTDは認知症やメンタル疾患等の精神障害も対象(填補期間は最長2年まで)となり、充実した補償を受けられます。また、保険料は22歳男女とも就業不能保険の半分程度と割安に設定されています。(ただし、GLTDの保険料は毎年更新となるので、50歳以降で逆転の見込み。) 私は、長期休業による収入減少に対する公的保険の保障は不十分と考えています。そのため、新入社員の皆さんには、就業不能保険またはGLTDの加入を最優先にお薦めします。皆さんの会社がGLTDを導入しているのなら、迷わず加入しましょう。
【株】個人投資家向けTAA
TAA(Tactical Asset Allocation)とは、株式・債券・キャッシュの資産配分を戦術的かつ機動的に変更することで、収益の獲得を狙う投資戦略です。通常の投資戦略が株式や債券の銘柄選択によって収益を狙うことに比べ、ユニークな戦略といえます。かつては先端の大手年金基金等で採用されていましたが、パフォーマンスの有効性に疑問ありとのことで、最近では限定的な採用に留まっているようです。そんなTAAですが、今回は個人投資家が採用してはどうですか、という提案です。
個人投資家の最大の悩みといえば、「相場暴落の恐怖」でしょう。そして、ほったらかし投資においては、「相場暴落の恐怖」をいかに克服するかが大きな課題となります。「相場暴落の恐怖」に耐えきれず、底値で損切りした苦い経験のある個人投資家は多いと思います。かくいう私もその一人です。そんな「相場暴落の恐怖」をどうやったら克服できるのか。長年の私の課題でしたが、ここもとの日本株の下落局面において、あるアイデアを思いつきました。今回の下げ相場での投資行動でお話したように、私は確定拠出年金(DC)で積み立てていた資産を3月にキャッシュ化し、4月、日経平均株価が下落するのに合わせて幾つかの日本株を買い下がりました。その間、私はひたすらお目当ての銘柄を安く買うことだけを考えていました。日経平均が下落すれば、私が保有している他の銘柄の評価額も悪化するにも関わらずです。この経験から、私はひとつの仮説を立てました。「投資家はある銘柄を買おうと思った瞬間から、その銘柄を安く買える相場の下落を歓迎し、自身が保有する他の銘柄の評価額の下落は気にならなくなる。」 どうでしょう? あなたにも当てはまるのではないですか。もし、この仮説が正しければ、追加投資するためのキャッシュを持っていれば、「相場暴落の恐怖」を克服できるはずだ。私はそう考えました。
問題は、富裕層でもない限り、追加投資の原資を常に手許にプールしておくのは難しいことです。では、一般の個人投資家はどうすればいいのか。そのためには、保有資産の一部を事前にキャッシュ化し、相場暴落に備えればいいのです。例えば、保有資産の10%を目途にキャッシュ化をします。具体的には相場の上昇局面で、①含み益の大きい銘柄から順に売却する、あるいは反対に②含み損の大きい銘柄/含み益の小さい銘柄から順に売却する(実現損は配当と相殺)、といった方法が考えられます。いずれの方法も、株価の上げ下げに応じ、株式⇒キャッシュ⇒株式と、資産配分の変更を繰り返すことになります。私はこの手法を本来の意味合いとは異なりますが、「個人型TAA」と呼ぶことにしました。「個人型TAA」は、当ブログのモットーである「ほったらかし投資」の趣旨に鑑みると邪道です。長期的なパフォーマンスにも、恐らく悪影響を与えるでしょう。ただ「相場暴落の恐怖」に怯え、底値で損切りするといった愚行を繰り返すよりは、多少のコストを払ってでも「個人型TAA」で武装し、「相場暴落の恐怖」に泰然と立ち向かう方が生産的だと思いますが、いかがでしょう?
当ブログではたびたび書いてきましたが、私の趣味は山登りとスキューバダイビングです。山へは1年を通じ足を運んでいますが、海は7月末~9月末の夏季限定となります。ダイバーの中にはドライスーツに身を包み、真冬の海に潜るツワモノもいますが、ヘタレはそんなことはしません。これからの季節、週末は越前海岸や伊豆の海に通いながら、間を見て山へ行く日々が続きます。ちなみに山の方は7月上旬に昨年の雪辱を果たすべく白山(2,702m)に登り、続いて7月下旬に北アルプスの薬師岳(2,926m)、9月初に南アルプスの光岳(2,591m)に登る予定です。
昨今のアウトドアブームで、低山、高山を問わず日本中の山はどこも登山者であふれています。一方で寂しい限りなのが、(首都圏から近い伊豆半島を除く)全国のダイビングスポットです。ファンダイブに参加するのは、ほとんどが50歳以上のシニアで、参加人数も数人程度と閑古鳥が鳴いています。しかし、私が山登りとダイビングを始めた30年前は違っていました。山登りはキケン・キツイ・キタナイの3Kと言われ、山ヤ(山登りをやっている人)は変わり者、さらには反社会的勢力として世間から白い眼で見られていました。山はそんなアウトローたちの聖地だったのです。逆にダイビングはテニスやスキーと並ぶお洒落なスポーツとして人気を博し、ダイビングスポットはどこも若者で賑わっていました。今は昔といいますが、海を愛する者として、とても悲しく思います。
ところで、私の山仲間でダイビングをやっている人は一人もいません。でも、ダイバー仲間で山をやっている人は何人もいます。これはなぜだろうと考えました。海は山ヤにとって全く異質な世界ですが、山はダイバーにとって海に似た親近感を感じさせる場所です。例えば、海に潜ると根といわれる大きな岩が出てきます。そして、根を海底から見上げると、山を見上げているかのような錯覚にとらわれます。また、海中を泳ぐ魚たちは、まるで空を舞う鳥のようです。海底に目をやれば、そこには赤、青、黄色と色とりどりのソフトコーラルのお花畑が広がっています。このように海の景色が山と通じていることを感じたダイバーが、活動の場を海から山へと広げていくのは自然なことだと思います。
身近なダイビングスポットというと、温泉で有名な熱海があります。熱海の汚れた海に潜ると、別世界が目に飛び込んできます。温泉街の目と鼻の先でこんな光景↓が展開しているなんて、誰も想像しませんよね。私も初めて熱海で潜ったときはビックリしました。そして、後日、北アルプスの白馬岳のお花畑↑を訪れたときに熱海の海で見た光景がフラッシュバックし、2度目のビックリを経験したものです。
私はこれからも海と山の二刀流を続け、海と山を一体として経験することで得られる感動を、一人でも多くの人に伝えていきたいと思います。
【不】再考、不動産投資
不動産投資というと、株式投資と似たようなものと考える人が多いかもしれません。が、実態は投資というよりも事業です。ですから、本当は他のビジネス、例えば飲食業などと比較すべきです。不動産投資家は、事業者=プロとして不動産事業に関わることが求められます。不動産投資で得られた賃料収入は、不動産所得として事業所得と同じ総合課税の対象となりますし、不動産投資家には株式投資家を守る投資者保護基金のようなセーフティネットは用意されていません。国も不動産投資家を事業者=プロと見ている証拠です。そもそも、銀行が積極的に融資してくれるのも、彼らが不動産投資家を事業者とみなしているからです。株式投資家からすると、ありえへん話です。
このように、プロとしての取り組みが必要な不動産投資ですが、書店には素人向けの解説本が山積みされており、気軽に始められる副業としてサラリーマンに人気があります。一部の解説本は、賃料という安定収入に借入れによるレバレッジをコーティングすることで、ローリスクでハイリターンを手にできるかのような幻想を読者に与えてきました。私は不動産の世界に不用意に足を踏み入れた投資初心者が、これからの金利上昇で損失を被ることを懸念しています。
ところで、従前私はレバレッジを効かせた不動産投資について、超ハイリスク運用との認識を持っていましたが、最近考えを改めました。不動産投資は、やり方によってはリスクを軽減できることを知ったからです。今ではハイレバレッジの不動産投資を、ローリスクは言い過ぎでもミドルリスクくらいなら言ってもいいのでは、と思っています。
不動産投資には6つのリスクがあるといいます。空室リスク、滞納リスク、災害リスク、価格下落リスク、修繕リスク、金利上昇リスクです。しかし、このうち予測不能で事前対応が困難なリスクは災害リスクだけ。他の5つは投資家の経験とスキル、そして外部業者のサポートが有れば、ある程度対応が可能です。例えば、空室が発生しても、迅速に空室を埋めるノウハウを投資家が持っていれば、空室のダメージを軽減できます。設備の老朽化で修繕が必要な場合も、低コストで対応してくれる親密な業者さんがいれば、修繕のダメージを軽減できます。また、複数の物件をタイミングを分散して入れ替えていけば、価格下落や金利上昇等のマーケットリスクにも対応できます。ベテラン投資家は各人が独自のスタイルでリスク対処法を確立し、本来はハイリスクなレバレッジ付き不動産投資をミドルリスク化しているのです。
不動産投資家は、下表のようなCF(キャッシュフロー)シミュレーションを用いて投資の是非を判断します。(下表はサンプルです) 空室リスク、滞納リスク、価格下落リスク、修繕リスク、金利上昇リスクをシミュレーションに織り込んだうえで、イメージするCFが獲得できる目途が立てば物件の購入に進みます。そして、最終的な投資の成否は、物件の運営でいかにリスクを抑え、シミュレーションと実績の乖離を圧縮できるかにかかっています。不動産投資は株式投資と異なり、投資家自らリスクの源にアクセスし、改善を図れる点がメリットであり、また、シミュレーションベースで投資を考えられることから、株式投資よりもリスクは低いと言えそうです。(株式投資で15年間の損益シミュレーションを立てても、毎年の損益のブレが大き過ぎて役に立ちません!) ただし、それは投資家に十分な経験とスキル、そして信頼できる外部業者との連携があっての話となります。
【おまけ1 最近の融資事情】
かぼちゃの馬車事件以降、銀行の不動産融資への態度は硬化しており、区分は別にして一棟物ではフルローンはほぼ不可能な状態です。某銀行では最近、頭金2割以上、年収1200万円以上、金融資産5000万円以上が融資実行のメルクマールになっているとの話もあります。
【おまけ2 素人が見た不動産投資の本質】
今回の論考の中で気付いたことがあります。私は不動産投資の経験がない素人ですが、素人なりに「これが不動産投資の本質では?」というものに思い至りました。実務にあたる不動産投資家の方々にとっては「何を今更」でしょうが、「灯台もと暗し」という言葉もあります。忘れないうち記録に留めておきたいと思います。
「不動産投資はシミュレーションに始まり、シミュレーションに終わる」 この一文から不動産投資の本質が見えてきます。
①シミュレーションが成立する物件を購入する
②リスク削減に注力しシミュレーションからの乖離を極小化する
この2点です。
【株】今回の下げ相場での投資行動
401K(確定拠出年金)で運用していた日経平均インデックス投信の解約資金が、4月になってようやく私の口座に入金されました。支払い請求の書類を提出したのが3月初ですから、1ヶ月以上かかった計算です。正直、この対応の鈍さにはあきれました。ただ、入金を待っている間に内外株式の雲行きが怪しくなり、相場が下げ基調となったのはラッキーでした。私は押し目を拾うべく、早速買いの手を入れました。上表がその途中経過です。私は今回の下げの目途を日経平均の高値41,000円から▲10%と置き(毎度のように根拠はありません、単なる希望的観測です)、そこに至るまで38,000円割れから買い下がるイメージでした。今回の下げでは、新NISAの成長投資枠を高配当株で埋めたかったので、メイテックHD(9744)とコマツ(6301)を購入しました。また、最近日本株投資を始めたアジアや中東のお金持ちが好みそうな(?)大型優良株のダイキン工業(6367)を、特定口座で購入しました。あと若干購入資金が残っているので、この先日経平均が36,000円に近付けば、さらに買い下がりたいと思います。
もう一つ宿題があります。我が家の円資産のリスク分散のため、米国債を購入する件です。米国ではにわかに金利引き下げ観測が後退し、長期金利が上昇しています。私が目を付けている米国債(利率4.375%、償還2028/8/31)もアンダーパーになっており、買いたい気分が増しています。しかし、一方で残念なのが円安の進行です。4月26日の日銀金融政策決定会合での結果を受け、足下、ドル円は158円台に突っ込みました。米国長期金利が上昇したことで、米国債の購入を煽るユーチューバーも多いですが、外債を購入する際に注意しなければいけないのが為替です。外債投資はほとんど為替投資といっても良いくらいです。
ご参考に、先程の私が目を付けている米国債の利回りが為替によってどれだけ変化するか、下表にて試算してみました。例えば、米国債の購入時の為替が1ドル=155円であった場合、利金と償還金の支払い時の為替が145円だと年間利回りは2.65%に低下します。これが135円まで円高になると、年間利回りは僅か0.97%です。利率(クーポン)が4.375%だと思って購入した米国債が、ちょっと円高になっただけで利回りが大幅に低下することがお分かり頂けると思います。
2つめの表は、ドル円が145円の水準で米国債を購入した場合です。ここでも、為替が135円に円高になると年間利回りは2.53%まで低下します。実際はここから20%税金が引かれるので、手取りベースでは2%です。
米国債の利金と償還金をドルで受取りドルで消費する人はいいのですが、円で受取る必要がある場合、米国債のパフォーマンスは為替に大きく依存することをご認識下さい。外国債券は安全資産ではありません。外債投資はハイリスクな為替への投資です。
で、私はと言いますと、日銀の為替介入でドル円が145円を割れるようなタイミングがあれば、行こうかなと考えています。ですが、4年後に勝てる気は全くしません。
【閑】ジョブ型雇用が招く近未来の日本
最近ジョブ型雇用という言葉を目にする機会が増えました。ジョブ型雇用とは、人材を採用する際に職務内容(ジョブ)を明確に定義して雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用形態をいいます。ジョブ型雇用はもともと欧米で主流(ほぼ100%)の制度ですが、我が国でも注目を集め導入する大手企業が増えています。ジョブ型雇用に対し、従来から日本企業で採用されてきた雇用形態はメンバーシップ型雇用と呼ばれます。メンバーシップ型雇用とは、終身雇用制を前提に新卒で社員を一斉に採用し、業務内容や勤務地を限定せずに契約を結ぶ雇用形態のことです。
ジョブ型雇用では職務を遂行する能力を持った即戦力のプロを、必要に応じ随時採用します。メンバーシップ型雇用では新入社員を一括採用し、研修や異動・配置転換によって時間をかけて戦力化を図ります。(ジョブ型雇用では異動・配置転換はありません) ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の流れをイメージすると、下図のようになります。ジョブ型雇用では人は職務と紐付けされ(下図では人事)、労働者は同一の職務に従事しながら、スペシャリストとして転職を重ねてキャリアアップを図ります。一方、メンバーシップ型雇用では人は会社と紐付けされ(下図ではA社)、同一の会社内部で色々な職務を経験しながら、ゼネラリストとしてキャリアアップを図ります。メンバーシップ型雇用の縦の動きに対し、ジョブ型雇用では横の動きとなります。(こんな感じに社会のあり方が変わっていくとすると、儲かる会社のイメージが湧いてきませんか?)
ジョブ型雇用というと何か目新しい雇用形態のように聞こえますが、むしろ原始的なものです。18世紀に出版されたアダム・スミスの「国富論」に分業による生産性の向上が論じられていますが、ジョブ型雇用の原型はこの「国富論」にあると言われています。我が国においても戦前はジョブ型雇用が一般的で、メンバーシップ型雇用が普及したのは戦後の高度経済成長期のことです。そのため、1947年に施行された労働基準法はジョブ型雇用が立て付けとなっており、雇用時に労使で締結する労働契約に就業場所や従事する職務の内容を絶対的記載事項として明示するよう求めています。(※1)
近年ジョブ型雇用が注目を集めるのには、いくつか理由があります。一つめは、経団連が2020年に公表した「2020年版経営労働政策特別委員会報告」において、日本型雇用システムであるメンバーシップ型雇用のメリットを活かしつつ、適宜ジョブ型雇用を取り入れていくべきと提言していることです。二つめは、日本企業が高スキルのプロ人材を獲得し国際競争力を上げるには、グローバルスタンダードであるジョブ型雇用の迅速な導入が不可欠なことです。三つめは、コロナ禍による在宅勤務やテレワークの普及で、上司や同僚との緊密なコミュニケーションが必要となるメンバーシップ型雇用のミスマッチが目立ってきたことです。そして最後に、「失われた30年」で疲弊した日本企業に定年まで丸抱えで社員の面倒をみる余裕がなくなり、メンバーシップ型雇用の維持が困難になってきたことです。私は最後の理由が一番大きいだろうと見ています。
さて、この先ジョブ型雇用が一般化した場合、日本社会はどう変わるのでしょうか。海外の事例がヒントになります。「50代からの東京アーリーリタイア生活」のブログ主:WATARUさんによれば(WATARUさんは海外勤務が長い)、海外ではあるポジションで人材を募集する場合、会社は正社員と(社外の)個人事業主を同じ土俵で比較して採用を決めるそうです。WATARUさんが参画したプロジェクトでは、約半数がコントラクターと呼ばれる個人事業主だったとのこと。はじき出された正社員は、場合によってはクビです。(※2) このように、ジョブ型雇用の世界では正社員といえども安住の地位にはなく、社外の個人事業主たちと生存競争を繰り広げる不安定な日々を送ることになります。では、正社員の将来は暗いかというと、私は必ずしもそうではないと思います。なぜなら、仕事への満足度調査で、正社員よりもフリーターの方が満足度が高いとの結果がいくつも報告されているからです。処遇面で明らかに不利な立場にあるフリーターが、なぜ正社員よりも仕事への満足度が高いのか。それは恐らくフリーターが会社に隷属せず、自分の意思に従って仕事をしているから。そして、自分で自分の人生をコントロールできている自負があるからだと思います。ジョブ型雇用の導入で会社の指揮命令系統を離れ自主性を取り戻した正社員は、きっと仕事への満足度を向上させることでしょう。
(※1)労働契約法は、一定の条件を満たした場合には就業規則に定める労働条件をもって、労働契約の内容に代えることを認めています。そして就業規則では、就業場所や従事すべき職務の内容の記載が免除されます。つまり、メンバーシップ型雇用は労働契約法のもとに成立していることになります。
(※2)現在、日本では労働契約法の解雇権濫用法理がネックとなって、事業主は自由に社員をクビにすることはできません。解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効とされます。しかし、今後時代の変遷に伴い、このあたりの解釈も変わっていく可能性はあります。
FIREを達成した多くの賢人たちが言うように、良き人生とは何にも束縛されず、好きなときに好きなことができることだと思います。人生の最終目標は”自由”だと言っても過言ではないでしょう。しかし、”自由”は簡単には手に入りません。”自由”の前には様々な組織や人が立ちはだかります。そして、そういった邪魔者たちを蹴散らすには権力が必要です。でも、権力を手にできるのは、一握りの運に恵まれた者だけです。では、私たち一般ピープルはどうしたらいいのか。それは、”マネー”を手にすることです。
”マネー”は権力の代わりに、邪魔者たちから自由をつかみ取ってくれます。したがって、人生の最終目標である”自由”を手に入れるための中間目標は、”マネー”となります。では、”マネー”を手にするにはどうしたらいいのか。それは、健康な心と体を維持して仕事に励み、生活費を除いた給料の残りを投資に回す。そして、このプロセスを時間をかけて愚直に繰り返すことです。これが”マネー”を手にするための手段となります。しかし、多くの人は会社から給料をもらったところで「仕事」の後工程を棄権し、「投資」まで進もうとしません。これでは”マネー”を手にすることは叶いません。
もし、あなたが”自由”を手に入れたいと本気で思うのなら、「仕事」の後工程である「投資」まできっちりやり切ることです。
【株】オルカン一択の世相に物申す
春本番。桜の花は散ってしまいましたが、引き続き、世間はNISA一色、オルカン一色です。初めてもらう給料からオルカンでつみたてNISAスタート、という新入社員の方も多いと思います。そんな大人気のオルカンですが、今回は投資に当たり注意しておきたい点についてお話したいと思います。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス投信(通称オルカン)。この投信1本で全世界の株式に分散投資できることが売りとなっています。しかし、オルカンの投資先の6割以上はアメリカで、構成銘柄の上位にも米国企業が多く含まれており、実際オルカンとS&P500は似た動きをします。ですから、全世界の株式へ分散投資したつもりが、開けてみたら米国株への集中投資と変わらない、ということになりかねません。そして1番の問題点は、オルカンは外国株投信であり為替リスクがあるにも関わらず、オルカンを推奨する業者やメディアがあまり言及していない点です。
一部の証券会社は、オルカンと日経平均株価のチャートを並べてオルカンの優位性を訴求していますが、これは近年のオルカンのパフォーマンスが、円安の為替差益で嵩上げされているからです。外国株式の場合、株のリターン・リスクに為替のリターン・リスクが乗っかります。したがって、日本株よりも外国株の方がリターン、リスクとも高くなります。そして、為替の期待リターン、リスクは株式のそれとは性格が異なることに注意すべきです。株式の期待リターンはプラスです。それは株式のリターンの源泉が企業の成長力にあるからです。一方で為替の期待リターンはゼロです。それは、為替は2国間の通貨の交換比率に過ぎず、そこから付加価値は生まれないからです。
では、為替のオルカンへの影響はいかほどでしょうか。簡単な試算で確認してみます。今、為替が1ドル=150円として、150万円でオルカンを10,000ドル購入したとします。20年後、オルカンは買値の10倍、100,000ドルになりました。ここでオルカンを売却し円転するとしたら、収益はいくらになるか。
20年後の為替を、①1ドル=200円、②1ドル=170円、③1ドル=150円、④1ドル=120円、⑤1ドル=100円、⑥1ドル=70円、とします。各ケースの収益は、①100,000ドル×200円-150万円=1850万円、②100,000×170-150万円=1550万円、③100,000×150-150万円=1350万円、④100,000×120-150万円=1050万円、⑤100,000×100-150万円=850万円、⑥100,000×70-150万円=550万円。このように、売却時点の為替の水準で、円ベースのオルカンのパフォーマンスが大きくブレることが分かります。購入時と売却時で為替の水準が不変(③)であれば1350万円であった収益が、売却時に1ドル=100円の円高(⑤)であれば850万円まで減少してしまいます。逆にオルカン売却時に大きく円安に振れていれば、投資家は日本株を大きく上回るリターンを手にすることができます。
下図にオルカンへの株式と為替の影響をまとめました。縦軸が株式のリターン、横軸が為替のリターン。○はリターンがプラスのとき、×はリターンがマイナスのときです。ケース1は株式・為替ともプラスのときです。ケース4は株式・為替ともマイナス。ケース2とケース3は株と為替の片方がプラスでもう片方がマイナスのときです。具体的な市場環境を想定すると、ケース1は株高・円安でオルカンとしてはベストな環境です。逆にケース4は株安・円高で最悪の環境です。ケース2は株高・円高、ケース3は株安・円高となります。株と為替は別々の理屈で動くので、このようにマトリクスで考える必要があります。ちなみに昨今はケース1に該当し、リーマンショック~アベノミクス以前の時期(2008年~2012年)はケース4に該当します。4つある市場環境のうち、たまたま今がベストなケース1であるからこそオルカンの好調があると言え、市場環境が変われば保証の限りではありません。
投資初心者のオルカン購入者が、このような外国株式の特性を理解した上で購入しているか。証券会社や銀行といった業者が、株だけでなく為替のリスクを、分かりやすい言葉で丁寧に説明しているかどうか。そこが問題です。
誤解のないように申し上げておきますが、私はインデックス運用を否定しているわけではありません。運用はオルカン1本で事足りるという、最近の風潮に物申しているのです。すでに保有している円資産とのリスク分散で外貨資産を持ちたいからと、オルカンに集中投資するのであれば問題ありません。しかし、退職後の生活費に充てるためのお金であったり、住宅の購入費であったりと、円資産としての出口が予定されるお金をオルカンに集中投資するのは考えものです。国内株式とのミックスで運用されてはいかがですか?
識者の中には円安は国策なので、この先も円安傾向は続くと主張する向きもありますが、円安が国策などということは決してありません。確かに円安は、輸出企業やインバウンドの恩恵を受けられる国内企業にとってプラスです。が、それは日本企業が外需を取り込んでいるからであり、外国から見れば内需を横取りされたことになります。そのため、行き過ぎた円安は海外とのあつれきを呼び、ときに外交問題に発展します。(円安政策が近隣窮乏化策と呼ばれる所以です。) 古い話ですが、1985年9月22日、G5(日・米ほか先進5ヶ国)は米国の強力な圧力のもと、米国の貿易赤字削減のため円高ドル安誘導を発表しました。有名なプラザ合意です。このとき、発表からわずか1日で為替は1ドル=235円から20円も円高になり、翌1986年7月には150円台まで円高は進行しました。こんな昔話を持ち出したのは、為替市場は極めて政治色の強いマーケットであり、しばしば市場原理で説明の付かない理不尽な動きをするからです。為替に関しては株式以上に思い込み・決め打ちは危険であり、慎むべきです。
最後に、今後、為替が円高に動く可能性について考えてみたいと思います。まずありそうなのは、ナスダックやNYダウ等の米国株の暴落に伴うドル安・円高です。バリュエーション面から見た米国株の割高は、多くの市場関係者が指摘するところです。それから、11月の大統領選でトランプさんが選ばれ、彼が米国の輸出産業保護のため円安を声高に批判するケースです。また、日本発のケースとしては、日銀の金融引締めが時期尚早であり、本邦経済がデフレに後戻りしてしまう場合が考えられます。繰り返しますが、為替は株式以上に予測困難なマーケットです。株式のリスクをとったうえに為替のリスクまでとる必要が本当にあるのか、今一度考えてみて下さい。