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株式

【株】投資のポイント

このブログを開始したのが2021年11月。早いもので約2年が経過しました。当初、テーマを株式投資にしぼって記事をアップしていくつもりでしたが、それでは早々にネタ切れになると考え、不動産、保険、年金と対象を広げました。それでも最近はネタ切れ気味で記事の更新が遅れており、この場でお詫び申し上げます。
今回は当ブログでの考察を振り返って、今の私が各種投資商品のポイントと考えている事柄について、短くお話させていただきます。

1.株式
・超長期の時間軸で、企業の成長からリターンを得る投資。
・難しいことは考えず、お金に余裕のあるときに気に入った銘柄に投資して、後はほったらかしでいい。
・損切りは不要。とにかく投資を継続することが大事。
・不確実性が高いので、勉強したり情報収集しても、ほとんど役に立たない。
・謙虚な気持ちで相場と向き合い、相場に勝とうと思わないこと。
2.不動産
・中期の時間軸で、賃料と金利のさやを抜く(投資というよりも)事業。事業主として汗をかく覚悟が必要。
・プロの世界につき、入念な準備をしてからでないと極めて危険。
・出口まで考慮した保守的な損益シミュレーションで十分なキャッシュフローを狙えることが必要条件。
3.保険
・「保険金/保険料」のレバレッジ効果を活用して効率的にリスクに備える商品。預金ではないので元をとるという発想はない。
4.年金
厚生年金や国民年金等の終身年金は、長寿リスクに備える商品。預金ではないので元をとるという発想はない。


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年金

【年】DC年金の悩ましい問題

私は今年60歳で正社員を退職し、来年度から嘱託社員として今の会社(R社)で継続雇用となる予定です。健康保険にも引き続き加入します。ですから、てっきり今加入している企業型確定拠出年金(DC)にも引き続き加入できるものと考えていました。ところが、会社のDC年金規約をパラパラとめくっていたら、嘱託社員は加入者とならないと書いてありました。念のため運営管理会社のコールセンターに問い合わせましたが、間違いないとのこと。そんなわけで、私はいきなり次の3択を迫られることとなったのです。

①DCから脱退し、積み立ててきた資産を一時金(または年金)で受取る。
②運用指図者としてDCに留まり、掛金の拠出はせず積立資産の運用だけ行う。
③DCの積立資産をiDeCoに移換し、iDeCoで掛金の拠出と積立資産の運用を行う。

どれを選択するか決めるためには、個別にメリット・デメリットを比較する必要があります。まず①ですが、DCの資産を受取ると、一時金なら退職所得、年金なら雑所得として課税されます。ですが、受取ったあとの資産の使い道は自由です。何で運用しようと制限はありません。次に②ですが、今まで会社が負担していた手数料(私の会社では393円/月)は自己負担となりますし、掛金を拠出することができなくなります。③の場合も自己負担の手数料が発生します。また、運用商品が一部の投信に限定され、個別株の運用はできません。しかし、掛金は所得控除の対象となるので、節税効果が期待できます。DCの加入期間とiDeCoの加入期間は通算されるので、DCに10年以上加入していればiDeCoに資産移換しても必要なときに資産を引き出すことができます。

さあ、どうしたものか? 悩ましい問題です。一晩考えて私が出した答えは、①と③の折衷案です。DCの積立資産は一時金で受取り、新NISAへ移換します。新NISAでは非課税の個別株投資を楽しみたいと思います。また、所得控除を受けるため、iDeCoに加入して毎月の給料から掛金を拠出します。iDeCoではエマージング株式のインデックス投信でも運用しようかと考えています。私のように企業年金に加入できない会社員の場合、iDeCoに最大23,000円/月まで掛金を払うことができるので、年間で23,000円×12ヶ月=276,000円 276,000×20%=5万5千円程度の節税ができます。(所得税10%、住民税10%の場合)


最後に、DC資産を一時金で受取る場合に注意すべき退職所得の控除額計算の特例についてお話します。
会社から退職金を受取ったあと何年か経過してDC資産を一時金で受取る場合、退職からDC資産受取りまでの期間が19年以内ですと退職所得控除の調整が必要となります。
私は1987年4月にM社に入社し2019年9月に退職、同10月に退職金を受取りました。また、M社のDCには2008年4月に加入し、2019年10月にM社の関係会社であるR社のDCに資産移換しました。そして、2024年4月にR社DCの資産を一時金で受取る予定です。ここで、M社退職金を受取った2019年10月から、R社DC一時金を受取る2024年4月までの期間が問題となります。その間4年と6ヶ月で19年以内ですので、調整が行われます。
本来であればDC一時金にかかる退職所得の控除期間はDC加入期間である2008年4月~2024年3月の16年となるはずですが、ここでは、M社退職金とDC一時金の重複期間を除いた2019年10月~2024年3月の5年(端数切上げ)となってしまいます。退職所得控除は40万円×5年=200万円、となります。(本来なら、40万円×16年=640万円)

ところで、先ほどお話したように私がDCに加入したのは2008年4月です。そう、リーマンショック(2008年9月15日にリーマンブラザーズ破綻)の直前です。運用開始早々に大変痛い目に遭いましたが、毎月1万円(2019年10月より1万2千円)ずつ愚直に日本株インデクッス投信を買い続けてきたお陰で、掛金合計196万円に対し時価資産額は415万円ほどになっています。複利とドルコスト平均法の威力を実感しています。
この415万円から退職所得控除200万円を引き、2分の1をかけた約108万円が退職所得となります。そして、これに所得税5%、住民税10%をかけた約16万円がDC一時金にかかる税金です。16万円÷415万円=4%の手数料と考えると、安くはありません。ちなみに、運用指図者としてDCに居座っても、DC一時金にかかる退職所得控除の枠は拡大しません。掛け金を拠出しない運用指図者であった期間は、退職所得控除の対象としてカウントしないルールとなっているからです。

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株式

【株】オルタナ投資の新たな展開

2023年9月12日の日経新聞朝刊は、第1面で「KKR、SBIと新会社」「プロ向け投信、個人販売」と報じました。記事では、「KKRはプライベートエクイティ(PE=未公開株)や不動産などへの投資を手がける世界大手だ。こうした分野はオルタナティブ投資と呼ばれ、一般に上場株や債券などよりも高い利回りが期待できる。」 「第1弾はプライベートデットと呼ぶ、企業に融資したり、債券を購入したりするファンドになるようだ。」「最低投資額は300万~500万円程度に抑え、購入後は四半期や月単位で現金化できるようにする方向だ。」としています。

従来オルタナティブ投資というと、ジョージ・ソロスに代表されるグローバルマクロやCTA、ロングショート等の投資手法を指すことが多かったと思いますが、記事で語られているのは伝統的資産とされる株式や債券以外の投資商品群を指します。さらに、これらは上場していない、いわゆる私募(プライベート)であることが特徴です。

日本でも私募不動産やプライベートエクイティ/デット、私募インフラといったオルタナ商品は、以前から年金基金や機関投資家が投資をしています。これらの商品に共通するのは、流動性に制約があることです。売りたいと思っても、予め決められたタイミングでないと売れません。極端な場合、償還まで売却不可なんていう商品もあります。では年金基金等は、そんな使い勝手の悪い商品になぜ投資するのでしょうか。それは、これらの商品は取引所に上場していないので、時価評価されないからです。基本的に購入時の価格のままバランスシートに載せられます。つまり、年金基金等は、投資商品の時価下落(キャピタルロス)による企業決算への影響を気にすることなく、配当や利息といったインカムゲインを享受することができるわけです。もっとも、投資の世界にフリーランチはありません。平時は評価損を計上する必要はないものの、経済危機等の有事には減損によって一気に損失が表面化するリスクがあります。私募商品は決して元本保証の銀行預金ではありません。

では、私たち個人投資家にとって、これらオルタナ商品は検討に値するのでしょうか。結論からいいますと、決算を意識する必要のない個人投資家には私募のメリットは薄く、むしろ低流動性のデメリットの方が大きいと思います。また、冒頭の記事では、KKRは通常億円単位の最低投資額を300万~500万円に、現金化のタイミングも四半期や月単位にと、条件面でかなり譲歩しているように見受けられます。通常このようなケースでは、機関投資家向けの同様の商品より著しくリターンが劣後する恐れがあるので注意が必要です。
個人的には、これらの商品は新築RC一棟マンションをキャッシュで購入するような超富裕層にこそ相応しいもので、サラリーマン投資家が無理に300万円を捻出して投資するような代物ではないと思います。

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株式

【株】労働者の武器

そごう・西武労働組合は31日、予定通りストライキを実施しました。大手百貨店のストは約60年ぶりとのことですが、昔は鉄道やバス、航空会社等が毎年のように行っていました。ちなみに、国内のストのピークは第1次オイルショック時の1974年で、件数にして51,975件、累計参加者は約362万人だったそうです。

日本国憲法28条では労使間の対等な交渉を促進するため、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定し、労働組合法等で具現化する立付けとなっています。ストライキは「団体行動をする権利」のひとつですが、他にもビラを配ったり集会や演説といった情宣行動を行うことも正当な争議行為として労働者に認められています。
私たち労働者は自身の労働力を労働市場で資本家に売り、対価として賃金を得ることで日々の生計費を賄っています。ただ、生産手段を持たない労働者一人一人の力は弱く、労働市場で資本家と対等に交渉することは難しいです。そのため、憲法では労働者が団結し(労働組合を結成し)、団体交渉や団体行動する権利を保障することで、労働者が資本家と対等に交渉できるよう基盤を整えています。
団結権・団体交渉権・団体行動権(労働3権)は、労働者が資本家に対して賃上げ等の要求を実現するために認められた強力な武器です。

他にも労働者の武器はあります。それは株主になって株主総会に出席し発言することです。たとえ1単位株しか保有しない泡沫株主であっても、株主総会では一人の株主として大株主と同じ土俵で発言することができます。大勢の株主の前で経営者に問題提起し、色々な要求をぶつけることが可能です。

この武器を使って経営者から奇跡的な勝利を勝ち取った事例があります。2018年に世間を騒がした「かぼちゃの馬車」事件です。この事件では女性用シェアハウスに投資した多くのサラリーマン大家さんが巨額の損失を被り、スルガ銀行からの借入れが返済不能となりました。大家さんたちには自己破産しか残された道はありませんでした。そんなとき、一人の弁護士が立ち上がります。彼は大家さんたちの被害者団体を組織し、皆でスルガ銀行東京支店の前でデモを行ったり、スルガ銀行の株を買って株主総会に乗り込みスルガ銀行の不当を訴えました。これらの活動で追い詰められたスルガ銀行は、ついに大家さんたちの債権全額放棄に応じたのでした。

株式投資には資産形成装置としての重要な機能がありますが、他にも株主として総会に出席し発言することでメッセージを直接経営者に伝えるという機能があります。この点は見過ごされがちですが、重要なポイントだと思います。中学・高校の先生方には、金融リテラシー教育で生徒さんたちに是非お伝えいただきたいです。