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【株】オルタナ投資の新たな展開

2023年9月12日の日経新聞朝刊は、第1面で「KKR、SBIと新会社」「プロ向け投信、個人販売」と報じました。記事では、「KKRはプライベートエクイティ(PE=未公開株)や不動産などへの投資を手がける世界大手だ。こうした分野はオルタナティブ投資と呼ばれ、一般に上場株や債券などよりも高い利回りが期待できる。」 「第1弾はプライベートデットと呼ぶ、企業に融資したり、債券を購入したりするファンドになるようだ。」「最低投資額は300万~500万円程度に抑え、購入後は四半期や月単位で現金化できるようにする方向だ。」としています。

従来オルタナティブ投資というと、ジョージ・ソロスに代表されるグローバルマクロやCTA、ロングショート等の投資手法を指すことが多かったと思いますが、記事で語られているのは伝統的資産とされる株式や債券以外の投資商品群を指します。さらに、これらは上場していない、いわゆる私募(プライベート)であることが特徴です。

日本でも私募不動産やプライベートエクイティ/デット、私募インフラといったオルタナ商品は、以前から年金基金や機関投資家が投資をしています。これらの商品に共通するのは、流動性に制約があることです。売りたいと思っても、予め決められたタイミングでないと売れません。極端な場合、償還まで売却不可なんていう商品もあります。では年金基金等は、そんな使い勝手の悪い商品になぜ投資するのでしょうか。それは、これらの商品は取引所に上場していないので、時価評価されないからです。基本的に購入時の価格のままバランスシートに載せられます。つまり、年金基金等は、投資商品の時価下落(キャピタルロス)による企業決算への影響を気にすることなく、配当や利息といったインカムゲインを享受することができるわけです。もっとも、投資の世界にフリーランチはありません。平時は評価損を計上する必要はないものの、経済危機等の有事には減損によって一気に損失が表面化するリスクがあります。私募商品は決して元本保証の銀行預金ではありません。

では、私たち個人投資家にとって、これらオルタナ商品は検討に値するのでしょうか。結論からいいますと、決算を意識する必要のない個人投資家には私募のメリットは薄く、むしろ低流動性のデメリットの方が大きいと思います。また、冒頭の記事では、KKRは通常億円単位の最低投資額を300万~500万円に、現金化のタイミングも四半期や月単位にと、条件面でかなり譲歩しているように見受けられます。通常このようなケースでは、機関投資家向けの同様の商品より著しくリターンが劣後する恐れがあるので注意が必要です。
個人的には、これらの商品は新築RC一棟マンションをキャッシュで購入するような超富裕層にこそ相応しいもので、サラリーマン投資家が無理に300万円を捻出して投資するような代物ではないと思います。