橘玲さん著「DD論」(集英社)を読みました。今回は、当ブログでも度々取り上げている超高齢化社会の近未来について、本書の記述をご紹介します。
「人類史上未曾有の超高齢化社会を迎えた日本の最大の課題は、高齢者が多すぎることだ。政府の人口推計では、2040年には年金受給年齢である65歳以上が全人口の35%と3人に1人を超えている。それに伴って年金、医療、介護などを合わせた社会保障給付の総額は190兆円に達すると見込まれている。」
「20年後の人口を1億人、現役世代を5000万人とすれば、単純計算で現役世代1人あたりの負担は年400万円弱になる。このような社会が持続可能かは、少し考えれば誰だって分かるだろう。」
「1950年には65歳以上1人に対して15歳~64歳人口が12.1人だったが、いまから約40年後の2065年にはそれが1.3人になると見込まれている。1人の現役世代が、子育てと親の介護をしながら、さらに高齢者1人を支えなければならない。」
「いまの若者はこのことをよく知っており、将来の経済的な不安が少子化の最大の原因になっている。」
本書によれば、2020年1月に自民党の政治家がSNSで「あなたのために政治に何ができます?」と訊いたところ、「早く死にたい」「苦しまずに自殺する権利を法制化してほしい」という要望が殺到したとのことです。「正直、将来に対する不安が多様で大きすぎて早く死にたいと毎日考えています。(略)安楽死の制度化ばかりを望んでいます。」「自分の子に迷惑をかけ、何も生産できず、死ぬのを待つだけなら、条件付きの安楽死を合法化してほしいです。」などと、20代の若者が政治家に訴えるのが日本という国なのです。
若者たちの大きな不安の背景には何があるのでしょうか。彼ら/彼女たちが繰り返し訴えているのは、「このままでは高齢者に押しつぶされてしまう」という言い知れぬ恐怖です。いったい誰がこんな日本にしたのか? 私を含めシニア層の人々は、これら若者の魂の叫びを真摯に受け止めなければいけません。
1月18日の日経新聞朝刊は、政府が24日召集の通常国会に提出を予定する年金改革法案の概要を伝えています。その中で基礎年金の底上げについて、厚生年金の減額が先行すること等を理由に自民党内で慎重な意見が出ており、実施を29年以降に先送りすることとなったとのこと。マクロ経済スライドの影響で今後大幅な減額が見込まれる基礎年金(国民年金)を、厚生年金の資産を流用して減額幅を圧縮しようという内容の法律改正ですが、厚生年金受給者の反対を自民党の政治家が恐れ先送りしたわけです。これでは本来シニア層が引き受けるべき負担を、またしても次世代がかぶる形となります。
同じシニア層の私ですが、敢えて言いたい。あんたたち、ホントいい加減にしなよ!
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