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【株】個人投資家がプロに勝てるわけ

内外の株式市場ではボラタイルな日々が続いています。11月10日発表の米CPIは想定外に弱い内容となり、これを見た米国10年債利回りは一気に30bpも低下、NYダウは1200ドルの急騰を演じ、ドル円は140円台に突入し6円の急落となりました。市場関係者の間では、これで株式相場のトレンドも転換するという声もちらほら出ていますが、正直、私はそこまで楽観的になれません。
ところで、そんな各市場のドタバタ劇を尻目に、冷めた眼差しで相場を見つめる方たちがいます。長期個人投資家の皆さんです。なぜ彼らはこの状況に冷静でいられるのか。それは、彼らには勝利の方程式が見えているからです。そこで、今回は長期個人投資家の勝利の方程式について考えたいと思います。

突然ですが、今競技場でAチームとBチームが試合をしようとしているとします。ただ、この試合はちょっと変わっていて、異種格闘技のようなものだと思って下さい。プロのサッカーチームであるAチームと、アマチュアのラグビー同好会Bチームが一つのボールを巡って試合をします。AチームはBチームのゴールにボールを蹴り込めば1点獲得。BチームはAチーム側のゴールラインを超えてトライすれば1点獲得です。さあ、この試合、一体どちらのチームが勝つでしょうか。

Aチームはプロのサッカーチームですから、選手個々の身体能力やテクニックは超一流です。チームとしての完成度もアマチュアとは比較になりません。Aチームの勝利は戦う前から決まったようなものです。でも、ちょっと待って下さい。この試合はサッカーとラグビーの異種格闘技でした。Bチームは確かに弱小のアマチュア同好会かもしれませんが、彼らはラグビーのルールに従って試合を進めます。足だけでなく手を使います。ドリブルで突進する相手選手をタックルで倒しても構いません。Aチームは2.44m×7.32mの相手ゴールにシュートを決める必要がありますが、Bチームは幅70mのAチームゴールラインを超えてトライすればOKです。こう考えると、Bチームの方が有利かもという気もしてきます。ここでアマチュアがプロに勝てるかもと思えるのは、ラグビーの方がサッカーよりもルールが緩やかだからです。

同じことが株式投資においても言えます。証券取引所は競技場に相当します。個々の株式銘柄はボールです。そしてボールを巡ってプロの投資家や証券会社、個人投資家が入り乱れて異種格闘技を繰り広げます。プロ投資家や証券会社は厳しい規制のもとで売買を行います。また、プロ投資家や証券会社の投資の時間軸は長くて1年。中には1日というケースもあります。それに比べ個人投資家を縛る規制は緩やかで、投資の時間軸も数年から数十年と余裕があります。このように、プロ投資家や証券会社と長期個人投資家では、適用されるルールが大きく異なっています。

プロ投資家が短期的な材料に振り回され、相場で投げ踏み(損失覚悟の投げ売りと買い戻し)を繰り返す様を長期個人投資家が呆れた表情で見つめる。これが冒頭のシーンです。
長期個人投資家の勝利の方程式。それは、長期個人投資家に許された「緩やかなルール」と「長期の時間軸」を最大限活用して相場に臨むことです。プロ投資家は高金利で株価が低迷するハイテク株を購入することは困難です。需給サイクルのボトムにある(と思われる)半導体株も然り。しかし、長期個人投資家はこれら安値圏にある優良株を「ごっつぁんです!」と有り難く購入することができます。これが長期個人投資家の勝利の方程式です。