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【ラ】人生100年時代を生きる

1月7日付けの日経新聞朝刊に「今世紀中に人類の最終寿命が130歳まで延びる可能性は13%」とした論文が発表されたとの記事が掲載されました。人生100年時代というワードは最近色々なところで目にしますが、実際すぐそこまで来ているようです。でも、「人生100年時代とは」と問われて、即答できる人は少ないでしょう。別に正解があるわけではありませんが、私は次のように理解しています。
健康寿命を全うした後のステージを、高度な医療・介護のサポートを受けながら、尊厳を維持し自身の意思に従ってゴールに向けて進むこと。

人生100年時代=健康寿命100年時代、であればいうことはないのですが、残念ながらそうはいきません。がんや認知症の早期発見が可能となり、健康寿命もそれなりに延びるとは思います。しかし、現在であれば命を諦めざるを得ない病気も、医療の進歩により治療を続けながら生き長らえることができる。これが近未来の人生100年時代の姿ではないでしょうか。
このことは、そのまま高齢期の生活費、医療費、介護費の増大につながります。そして、超高齢化は少子化と同時に進行するので、公的医療・介護の財政は逼迫し、私たちの自己負担増大は避けられないでしょう。
一方、高齢期の収入の中心である公的年金(国民年金、厚生年金)は、今後マクロ経済スライドの影響で年金額が徐々に減額される予定になっています。さらに、海外で高まっているインフレ圧力が国内に伝播した場合は、年金額の実質価値が減少することになります。

このように、人生100年時代を展望した場合、高齢期のコストは上昇し収入は低下するとの憂鬱な未来が待っています。では、私たちは人生100年時代を前に、何をすればいいのでしょうか?先にもお話しましたが、これからは国が所管する公的制度(医療・介護)をあてにすることは危険です。自分自身の身は、自分で守らなければいけません。現在であれば、最後は生活保護というセーフティネットに頼れますが、今後は無理かもしれません。

では、自助努力といって具体的に何をすればいいのか。私はまず可能な範囲で、「終身もの」で超高齢期の様々なリスクをヘッジすることだと考えます。「終身もの」とは「終身」と名の付く金融商品を称して私が名付けたものです。終身年金、終身医療保険や終身がん保険などです。長寿リスクをヘッジする終身年金としては、現下のマイナス金利下で役に立つのは公的年金しかありません。民間でもトンチン年金という終身年金が売られていますが、割高な保険料に対し年金額が小さく有効ではないです。できるだけ長く働き公的年金の年金額を積み増すとともに、繰下げを行うことが効果的です。
医療保険やがん保険では、終身保障のタイプに加入することで今後の公的医療の給付減や自己負担の増加リスクをヘッジします。ただ、民間の医療保険やがん保険には給付日数や給付額に上限が設定されており、完全なリスクヘッジにはなりませんので、ご注意ください。尚、単に「終身保険」と言われる生命保険は死亡保険の類ですから、ここでの検討対象にはなりません。

次に、本業を定年退職した後も副業と資産運用を継続することで、年金収入の減少リスクをヘッジすることが考えられます。定年退職後も続けるのですから、好きな仕事、楽しい仕事を副業にできれば理想的です。また、本業退職後は資産を取り崩すのみではなく、一部で運用を継続し配当を得ることができれば、さらに年金の補完になります。
今後のインフレリスクに対抗するには、実質価値が減価する預貯金等キャッシュ運用は避けた方がよく、現物投資が効果的です。株式投資もいいですが、不動産投資はさら効果的です。今から現物投資のノウハウ習得に努めるといいでしょう。また、通貨の分散も必要になるかもしれません。

最近、FIREがブームとなっていますが、私を含めシニア世代こそFIREのエッセンスを学ぶ必要があるように思います。