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不動産

【不】マンションワンダーランド

皆さんのお住まいは戸建てですか、それともマンションですか。私は社宅生活が長かったせいもあり、未だに賃貸のアパート暮らしです。ところで、(分譲)マンションですが、その本当の姿をご存知の方は意外に少ないのではないでしょうか。そこで、今回はマンションの不思議な世界に迫ってみたいと思います。
マンションは法律上は区分所有建物といいます。民法が規定する所有権(物権)は物を全面的に支配する権利であり、区分という概念はありません(一物一権主義)。そこで、区分所有法という民法の特別法によって、複数の住人で一つの建物を区分所有するという不思議な権利関係が実現することになりました。私はマンションを見ると、沖縄の海で目にしたテーブルサンゴを連想してしまいます。

○マンションの不思議その1~管理組合
見ず知らずの他人同士が一つ屋根の下に暮らすのですから、各人がやりたいようにやっていたら収拾が付きません。そこで住人をまとめる仕組みが必要になります。その仕組みが管理組合です。区分所有法第三条では、「区分所有者は全員で建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し、……」とあり、住人(区分所有者)は全員強制的に管理組合の組合員となります。強制的と聞いて、「えっ?」と思われた方もいらっしゃると思いますが、住人は希望の有無を問わず、自動的に管理組合の組合員となっていきます。ちょっと不思議な気がします。
管理組合は住人の安心・安全な生活と資産価値保全のため、敷地や共有部分の保安・保守・清掃等を行い、組合管理部分の修繕や長期修繕計画を作成し、共有部分の火災保険その他損害保険の業務、風紀・安全の維持の業務等を行います。戸建てであれば、所有者は王様のように思いのまま勝手にふるまえますが、マンションの場合は区分所有者の自由は制限され、管理規約に従わなければいけません。マンションの住人であるサラリーマンは、外で会社組織に属しつつ、内では管理組合に属するという二重の隷属を強いられます。
管理組合の業務は上記のように多岐に亘るので、組合員自ら対応するには無理があります。そのため業務の大半が管理会社に委託されます。ところが、昨今管理員の人件費高騰により、管理会社から管理組合に管理費の値上げが要請されています。この要請に応諾できない管理組合は、管理会社から委託を拒絶されるケースが増えているようです。今や管理会社が管理組合を選ぶ時代です。資金力のない管理組合は、止むを得ず自主管理をすることになります。マンションを買うときは「管理を買え」と言いますが、今後は管理の実態以上に修繕積立金や管理費の水準が十分かが問われることになると思います。

○マンションの不思議その2~専有部分と共用部分
マンションは専有部分と共用部分(+敷地)からできています。ザックリいうと、区分所有者個人の持ち物が専有部分、マンションの住人全員の持ち物が共用部分です。区分所有法第二条には、専有部分は「区分所有物の目的たる建物の部分をいう」とあり、共用部分は「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の付属物及び規約により共用部分とされた付属の建物をいう」とあります。これだと分かりにくいので、マンション標準管理規約にある共用部分の範囲を抜粋します。
(共用部分の範囲、抜粋)
エントランスホール、廊下、階段、エレベーター、共用トイレ、屋上、屋根、内外壁、界壁、床、天井、柱、基礎部分、ポンプ室、機械室、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、管理人事務室、倉庫及びそれらの付属物、集会室……
注意していただきたいのは太字の部分です。壁、床、天井、柱は共用部分となります。区分所有者個人の持ち物じゃないんです!では、マンションの部屋からこれらを除いたら、一体何が残るのでしょうか。空気? 私たちは空気を買うために数千万円もの大金をはたいているのでしょうか。何とも不思議な話です。
各住戸の専有部分と共用部分の境界について区分所有法には規定がなく、マンションごとの管理規約に委ねられますが、次の3通りの考え方があります。
①内法説
壁、床、天井等の境界部分の全てが共用部分で、境界部分によって取り囲まれた空間部分のみが専有部分とする考え方。
②壁心説
境界の壁の中央までが専有部分の範囲とする考え方。
③上塗り説
壁や天井の躯体部分は共用部分であるが、その上塗り部分(壁紙や内装部分)は専有部分とする考え方。

さすがに①内法説は厳し過ぎるからか、標準管理規約では③上塗り説を採用し、天井、床及び壁はコンクリートを除く部分、玄関扉は鍵および内側の塗装部分のみが専有部分となります。玄関扉や窓ガラスは共有部分になるので、勝手に取り替えることはできません。リフォームする場合も、床のじゅうたんや壁紙等は自由に変更できますが、その他の修繕や工事は事前に管理組合の理事長に申請し、承認を受けなければいけません。

このように何かにつけ自由を制限されるマンションですが、根強い人気があります。近隣に駅や病院、学校やショッピングセンター、レストラン等があり、日常生活をおくるのに便利であることが理由です。これからも大都市圏を中心にマンションの供給は続くでしょう。マンションの購入をご検討中の方は、マンションの不思議な世界を予めご理解いただくことをお奨めします。