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【株】高齢者こそ株式投資を~アクティブシニアへのエール~

株などのリスク資産での運用は長期投資が可能な若年期~中年期に行い、高齢期においてはキャッシュや債券等の低リスク資産にシフトするというのが通説となっています。でも、原則があれば例外もあります。私は高齢者が株式の運用を行うのも大いにありとの立場です。人生100年時代と言いますが、あくまで100歳はこれからの時代の平均寿命であり、高齢者の半数は100歳超まで生きることになります。そんな時代を迎える私たちにとって最大のリスクは長寿です。長寿リスクに対しては、終身でキャッシュフローを受け取れる仕組みを作ることが肝要です。その仕組み作りに効果的なパーツとしてはまず、厚生年金・国民年金の公的年金が上げられます。そして、次に上げられるものが株式です。株式は取り崩さずに配当だけを受け取り、公的年金と合わせて高齢期の生活費を賄うことができれば、人生100年時代も恐るるに足らずです。また、株式本体は次世代に相続すれば、株式が貴方の子供や孫の生活を貴方に代わって支えてくれます。

定年退職を機に、多くの会社員がセミの抜け殻のようになってしまいます。特にプライベートの時間を犠牲にして仕事に打ち込んできたモーレツ社員ほど、その傾向は強いようです。私はそんな人にこそ株式投資をお薦めしたいです。一時的に資産を減らしても勉強と割り切ることのできるお金が少しでもあれば、無理のない範囲で株式投資をやってみてはいかがですか。私は、定年退職した会社員が抜け殻になるのは、ストレスと緊張感から一気に解放されるからだと考えます。人間はお猿さんの時代から捕食者の驚異というストレスにさらされる状態が普通であって、退職後のストレスレスな状態はむしろ異常なのではないでしょうか。そして、ストレスのない状態に心と体が適応不全となり、結果、人は抜け殻になってしまうのではないでしょうか。

株式投資は、金額の多寡を問わず緊張感を伴うものです。相場が下落して含み損を抱えれば、大きなストレスを感じます。相場上昇により含み益が拡大すれば、達成感と充実感を味わうこともできます。もう現役は引退したのだから、後は静かに余生を過ごしたいという方は別ですが、退職後も弛緩せずスリリングな時間を過ごしたいという方には、株式投資は最適です。ただ、高齢期から株式投資を始める場合も、成果を出すには十分な時間が必要だという点は、最初にお断りしておきます。
配当を受け取ることを目標とし、値上り益は当面期待しないことです。最低でも10年程度の時間的猶予は必要だとお考え下さい。そして、場合によっては株式の売却は見送り、次世代へ相続することも視野に入れていただきたい思います。それは無理な相談だとおっしゃる方は、ここまでの私の話は忘れてください。

投資家という仕事に定年はありません。投資家は生涯現役です。そんな高齢者はいつまでも瑞々しさを失いません。いい年して生臭さが抜けないと陰口をたたく人もいるでしょうが、いいじゃないですか、勝手に言わせておけば。ボランティアやアウトドアに取り組むのもいいですが、株式投資に挑戦することもなかなか素敵なことです。
私もあと数年で高齢者の仲間入りです。20年先を睨み、ここもとの下落相場で大きく売り込まれたグロース株をこつこつ拾っています。