2024年2月22日、とうとう日経平均はバブル高値の38,915円を超えました。もう少し時間がかかるかと思っていましたが、意外にあっさり超えてしまいました。当日は新聞の号外が配られたり、翌日の朝刊一面に大きく「バブル超え」の文字が掲載されたりと、一部で盛り上がりは見られましたが、多くの一般ピープルにとっては他人事のような印象でした。バブルは35年も前の出来事であり、今や日本人の忘却の彼方へ消え去ってしまったのでしょうか。
私は1987年4月に某銀行に入行したので、バブルの形成と崩壊をリアルタイムで経験しました。(もっとも、それがバブルだと分かったのは、バブルが崩壊して何年もたってからのことです。) 当時の状況を今と比較して感じるのは、関係者の熱量の違いです。当時は一般の事業法人が、本業そっちのけで「財テク」と称して株の投機にのめりこんでいました。投資家はプロもアマも冷静な判断力を失い、上がるから買う→買うから上がる→……という集団ヒステリー状態の中、地獄への階段を駆け上がっていきました。
なぜ、あのとき、誰もが熱病に冒されていたのか? 立ち止まって、後ろを振り返らなかったのか? ひとつには、当時の東京株式市場は海外投資家がほとんど参入できない鎖国状態にあり、東京市場が海外市場と比べ割高な状態にあっても裁定は働かず、冷や水をかけて目を覚ませてくれる人がいなかったからだと思います。(その後、ソロモンブラザーズ等の米系投資銀行の本格的参入がバブル崩壊のきっかけとなったことは象徴的です。)
しかし、今や海外投資家の東証売買シェアは6割から7割に達し、他市場と比べ東京だけが割高な水準に買われることは考えにくい状況です。今回のバブル超えも日本発のバブルというよりも、世界共通の半導体ミニバブルという方が妥当だと思います。インフレによる日本株大暴落説を唱える澤上篤人さんのような方もいらっしゃいますが、今の株高がバブルでないとすれば、調整があっても、当面、通常モードの10%~20%程度の下げを見込んでおけば十分でしょう。
それでは、長期個人投資家はこの先どう動くべきか。日経平均が最高値を更新した直後ですから、押し目を待つというのも一案でしょう。でも、このまま押し目らしい押し目もなくもう一段高、の可能性もあります。投資に相場観を入れないとの私の立場では、①全額直ぐ買う、②購入予算の取り敢えず半分を買う、の2択となります。②では3ヶ月とか6ヶ月とかの期間を定め、期間内にターゲットとする水準まで下がってこなければ、その時点で残りの買いを入れることになります。
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