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【株】公式から見える株価変動のメカニズム②

米国株安に連れる形で日経平均株価は年末に29,000円を割り込み、1月27日には26,000円割れ寸前まで大幅な下落を演じました。その背景には、米国での実質金利の上昇があると言われています。今回は、公式シリーズの第二弾として、金利(債券)と株式の相関関係を説明する「イールドスプレッド」を取り上げたいと思います。
イールドスプレッド(s)とは、株式の益利回り(=一株利益:EPS÷株価:P=1/PER)と、長期金利(r)の差のことです。長期金利は名目金利を使う場合もありますが、最近は実質金利を使うケースが多いようです。

イールドスプレッド(s)=1/PER-r ………③

イールドスプレッドは一定のレンジに収束する傾向があります。今回のように、実質金利(r)が上昇したら、それに合わせて益利回り(1/PER)も上昇し(PERは下落)、イールドスプレッド(s)は一定値が維持されるという話です。


では、実際に昨年11月から今年1月にかけての米国市場の数値を確認してみましょう。実質金利は11月9日にー1.19%を付けたあと、FRBの金融政策の変更を織り込む形で1月26日にー0.52%まで上昇しました。その間、0.67%の金利上昇です。一方、NYダウの益利回りは11月9日の4.42%(PERは22.65)から、1月26日に5.02%(PERは19.93)まで0.60%上昇しており、ほぼ実質金利の上昇分に相当していることが確認できます。つまり、11月から1月にかけてのNYダウの下落は、実質金利の上昇でほぼ説明ができるということです。
今回の米国株の下落は巷間言われるように、市場の予測を上回るFRBのタカ派的スタンスに、市場がビックリしたというところでしょうか。尚、グロース株の多いナスダックはより強く実質金利上昇の影響を受け、NYダウを上回る下落となっています。

公式から見える株価変動のメカニズム」の中の公式②で、金利が上昇してもそれ以上にEPSが増加すれば株価が上がるメカニズムをご説明しました。今、米国、日本とも12月決算発表の真っ盛りですが、金利上昇に負けないEPSの力強い成長が確認できれば、一旦は相場も戻り歩調を強めると思われます。
しかし、今回の実質金利上昇の背景にあるインフレは、コストプッシュ型の供給サイドを起点とするもので、いわゆる「悪いインフレ」と言われるものです。(「インフレが春を呼ぶ」ご参照) このタイプのインフレは、金融引き締め策が効きにくい点が特徴です。
今後、FRBの金利引き上げとバランスシート圧縮(QT)によってもインフレ鎮静化が難しいとなれば、米国株式市場、そして我が国の株式市場も、改めて大幅な調整局面を迎えることになるでしょう。