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不動産

【不】不遇男さんの本を読んで

「逆転の狼煙」の不遇男さんといえば、不動産系ユーチューバーとして有名な方です。今回は、不遇男さんが最近出された書籍「人生が逆転する不動産投資入門」(ビジネス社)を読んだ感想をお話したいと思います。

巷の不動産投資本の多くが、再現性の怪しいキラキラ大家さんの体験談や、不動産物件の購入や物件購入後の管理のノウハウを書いたものであるのに対し、本書は投資家が不動産物件を購入する前にやるべきことや心構えを中心に書かれています。背景には、業者に煽られて事前準備不十分なまま物件購入に突き進み、致命傷を負う投資初心者が後をたたない現実があります。

不動産投資は割高な物件を買わないことに尽きます。割高な物件を購入してしまうとリカバーが困難となり、詰む可能性が高まります。(空室が発生したり、修繕が必要になったりという事象なら、大家の汗かきで何とかリカバー可能です。)本書は不遇男さんが不動産投資家として身につけた実践的なノウハウが満載です。不動産投資家を志す人は、割高な物件をつかまないためにも本書を手にすべきです。最後に、本書に書かれた不遇男さんのノウハウの中で、私が一番すごいと思ったものを一つご紹介します。

不動産投資を始める前にでお話したように、私は不動産投資で成功する秘訣は人脈と情報だと思います。一見さんの投資家には有利な情報は回ってきません。そのためには、いったん不動産業界に身を置いて、人脈を構築する必要があると考えています。しかし、言うのは簡単ですが、実際に不動産業界に就職してから不動産投資を始めるなんて、余りに遠回りです。この問題点に対し、不遇男さんは解決策を提示してくれました。それは、事前に金融機関を回り、担当者に融資可能な物件の条件についてヒアリングすることです。そして、「こういう条件の物件なら銀行から融資を受けられそうなので、物件の紹介をお願いします」と、投資家の方から不動産業者に営業をかけるのです。不動産業者から降ってくる情報に美味しいものはありません。だったら、投資家の方から不動産業者に情報を取りに行けばいいのです。まさに「逆転」の発想です。もちろん、直ぐに条件通りの情報が提供されることはないでしょう。でも、何社かの営業マンと情報のキャッチボールを続けているうちに人脈ができ、やがて有利な情報が入るようになると思います。
私があと20歳若ければ、不遇男さんスキームで不動産投資に挑戦していたかもしれません。

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株式

【株】株式相場の希望的観測と個別株の購入

これは全くの希望的観測です。こうなってくれたらラッキー!程度のものです。ですから、何の根拠もありません。実は私は年明け1月末までに日経平均が34,500円くらいまで上がってくれたらいいな、と思っています。そこまでいったら、会社の確定拠出年金(DC)で運用している日経平均インデックス投信を売却して一時金で受け取り、その資産をNISAへ移換して個別株を買いたいのです。ただ、マーケットでは日銀がマイナス金利を解除するとの思惑が急浮上しており、年内、日経平均は下値模索の展開が続くかもしれません。

思い通りに日経平均インデックス投信が売れたとして、次の問題は何を買うかです。高配当株を中心として、一部は成長株と地元(東海3県+静岡県)企業の株に投資したいです。私は、NISAの成長投資枠では配当だけでなく、値上がり益の非課税メリットも狙うべきと考えています。
いま私の頭にあるのは、以下の8銘柄です。セイノーHD(9076)、ホシザキ(6465)、AGC(5201)、コマツ(6301)、朝日インテック(7747)、メイテック(9744)、三菱HCキャピタル(8593)、大塚HD(4578)。この中で2~3銘柄をNISAで購入し、1~2銘柄を特定口座で購入することになりそうです。(私はイメージとしてこれらの銘柄を上げたまでです。皆さんに推奨する意図は全くありませんので、ご了承ください。)

私はこれらの企業の業績を知りません。知るつもりもありません。業績の善し悪しは既に株価に織り込まれていると考えているからです。私のような素人が生半可な知識で企業を分析するよりも、証券会社や機関投資家の一流アナリストの分析結果を反映した市場価格の方が、はるかに信頼に足ります。あとは個別企業のチャートをちょろっと見て、高値圏にないことが確認できたら買いの候補入りです。(私は概ね、個別株の市場価格=フェアバリュー、だろうと考えています。ただ、短期的な需給によって上ぶれたり下ぶれたりするので、チャートで確認するイメージです。)

当初はNISAのつみたて投資枠で投信を買うつもりでしたが、今のところ税金を払ってでも特定口座で個別株を買おうかと思っています。私は子供の頃から中日ドラゴンズのファンですが、今一番好きな選手はタイガースの佐藤輝明選手です。投信よりも個別株の運用に惹かれてしまう私の気持ちが分かって頂けますでしょうか?




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閑話休題

【閑】東京2021

早いもので、今年も残すところ1ヶ月余り。来年はオリンピックイヤーですが、ちょっと違和感があるのは私だけでしょうか。何でだろうと考えたら、前回の東京オリンピックがコロナの関係で1年延期されたため、それからまだ3年しかたっていないからだと思い至りました。
ところで、国民の非難の嵐の中、菅(前)総理はよくオリンピックの開催を強行したものだと、改めて思います。もし、あのとき日本がオリンピックの開催を断念していたら、今ごろ世界の笑いものになっていたかもしれません。

でも、国民の不評をかってまで、なぜ菅(前)総理は東京オリンピックの開催を強行したのでしょうか。真相はご本人に聞いてみないと分かりませんが、足下の世論に逆行してでもオリンピックを開催することが、将来日本のためになると確信していたからではないでしょうか。世論は気まぐれです。マスコミやSNSに煽られ、右に左に動きます。そして、国民の支持を得るにはそんな世論に迎合する方が近道です。しかし、真に国益を考えた場合、政治家はときに世論に背を向け、悪役を演じなければならない場面もあります。

目先のノイズに惑わされず、長期的視点に立って信じる道を行く。それは私たち長期投資家にも通じるものです。来る2024年。例によって、私は相場の予想はしません。どうせ当たりませんから。ただ、日本でインフレが定着するかどうか、この1点を見極めていきたいと考えています。デフレからの脱却が実現すれば、本邦経済は次のステージに進むことになるでしょう。

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年金

【年】資産運用立国と予定利率の誤解

日本経済新聞は2023年11月4日付朝刊の社説「企業年金の運用効率化へ改革を進めよ」で、「年金基金は……加入者や受給者の利益を考え、リスクを管理しながら常に運用の果実を引き出す努力が欠かせない。」「金利の低下が続いてきた運用環境は変化しつつある。低い利回りを前提にした運用のままでいいのか。予定利率の引き上げを含めて検討を始めるべきだろう。」と論じています。これは、10月2日に開催された日経サステナブルフォーラムにおける岸田総理大臣のスピーチに対応したものと思われます。岸田総理大臣は同フォーラムで資産運用立国に関連して、「年金や保険等の形で家計から運用を委託されている、アセットオーナーシップの改革にも取り組んでまいります。受益者に適切な運用の成果をもたらすよう、アセットオーナーに求められる役割を明確化したアセットオーナー・プリンシプルを来年夏を目途に策定いたします。その中で、最善の利益をもたらす資産運用会社の選択や、ステークホルダー等への運用内容の見える化などを求めてまいります。」、と述べました。「最善の利益をもたらす資産運用会社」なんて予め分かれば誰も苦労しないんだよ!という突っ込みはひとまず措くとして、予定利率を巡る議論から何とも香ばしい香りが漂ってくるものですから、以下簡単にコメントしたいと思います。

まず、確定給付企業年金(DB)の目的と、予定利率について確認しておきます。厚生労働省が提示するDB規約雛形の第1条にDBの目的が規定されています。そこでは「本制度は、確定給付企業年金法に基づき、本制度の加入者及び加入者であった者(=加入者等)の老齢、脱退についてこの規約の内容に基づく給付を行い、もって公的年金の給付と相まって加入者等の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と定めています。簡単に言えば、DBの目的は規約通りに加入者等に安定した給付を行うことにある、ということです。
次に、予定利率です。日経新聞の論調からは、「日本企業は予定利率(=運用の目標利回り?)をわざと低めに設定し、運用努力を怠って加入者等の利益を損なっている」的な印象を受けますが、実際はちょっと違います。【図1】をご覧ください。

DBの原資は通常、退職金です。退職金の金額が最初にありきで(図1では1千万円)、そのうち会社が掛金として負担する部分がいくら、運用収益で賄う部分がいくらといった具合に、1千万円を切り分けます。つまり、予定利率は会社が負担する掛金と運用収益の予定額を按分する際の目安となります。予定利率が低ければ、運用収益の見込み額は少なく会社が負担する掛金は多くなりますし、予定利率が高ければ、運用収益の見込み額は多く会社負担の掛金は少なくなります。ここで重要なのは、予定利率の水準に関係なく、加入者等が最終的に受取る金額は1千万円で変わらないことです。1千万円を会社が掛金として拠出するのか、運用で稼ぐのかの違いです。そして、安定した給付を旨とするDBの目的に鑑みれば、不安定な運用収益に多くを依存しない低い予定利率の方が加入者等にとっては好ましいのです。
予定利率の引き上げ⇒加入者の利益とする日経新聞社説の表現が妥当でないことが分かります。予定利率を引き上げて得をするのは、掛金負担が減少する事業主の方です。

運用利回りの高い状態が続けば、会社が給付増額(年金や一時金の増額)をしてくれるので加入者等の利益に繋がる、という意見もあると思います。ただ、この場合、給付増額の原資となる剰余金(別途積立金)は、【図2】のように実際の運用利回りと予定利率の差額です。ですから、予定利率が低いほど剰余金は発生しやすく、やはり予定利率は低い方が加入者等にはウエルカムとなります。会社がリスクをとって高い運用利回りをあげても、同じだけ予定利率を引き上げていたら剰余金は発生しません。
そもそも、給付増額をするなら、年金資産の運用益を充当するといった回りくどいまねをしなくても、賃上げと同じように本業の利益を充当すればいいだけの単純な話です。

このように、予定利率の引き上げは加入者や受給者にとってメリットはありません。また、アセット・オーナーたる事業主が予定利率の引き上げに合わせ運用資産のリスク量を増やした場合、運用利回りのボラティリティの増加に伴って経営上のリスクが高まるので、予定利率の引き上げは会社にとっても必ずしも好ましいものではありません。
このあたりの事情を賢明な金融庁・厚生労働省の方々がご存じないはずはなく、予定利率引き上げ論の裏側に何か別の狙いが隠されているのではないかと、ゲスな管理人は勘ぐってしまいます。

<おまけ>
以上、確定給付企業年金(DB)の予定利率についてお話してきましたが、資産運用立国に関連した議論では確定拠出年金(DC)についても触れられています。DBの予定利率に相当するものがDCの想定利率です。DCでは最終的に加入者等が受け取る退職金(年金、一時金)の金額は運用実績に応じて増減するわけですが、当初、会社が負担する掛金を決める際は、DBの場合と同じく退職金の金額と、掛金と運用収益の予定額を按分する目安が必要となります。ただ、DBと違うのは、ここでの退職金の金額は確定したものではなく、あくまで仮置きの数字だということです。掛金と運用収益の予定額の按分目安を、DCでは想定利率といいます。仮に想定利率を2%に設定して掛金を算出した場合、加入者は退職までの全期間平均で2%の運用ができなければ、見込み通りの退職金は受け取れないことになります。2%を上回る運用ができれば、見込み以上の金額を手にすることができます。
つまり、DCにおいて想定利率は、まさに運用の目標利回りとなります。したがって、想定利率は低い方が加入者にとって有利です。そこで懸念されるのが、DBの予定利率引き上げ論と一緒にDCの想定利率引き上げ論が起こることです。DBでは予定利率を引き上げ高リスク運用で損失が発生しても、損失の補填責任は事業主にあり加入者等の負担は生じません。しかし、DCでは想定利率が引き上げられ、やむなく加入者が高リスク運用を行い損失が発生した場合、加入者は全ての損失を負担することになります。一方、会社は掛金負担減少のメリットのみを享受します。
このように、DCの想定利率引き上げは、従業員サイドとして譲れない一線となります。

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株式

【株】金融経済教育の前にすべきこと

iDeCoに新NISAと、我が国の投資インフラの整備は着々と進んでいます。これで1,100兆円に及ぶ家計の預貯金が株式や投資信託に流れれば政府の目論見通りとなるのですが、現実はそう甘くないようです。そこで、政府は資産所得倍増プランに向けた7本柱の中で、iDeCoやNISAの改革・拡充と合わせて金融経済教育の充実を掲げ、国民の投資マインドの向上を図る考えです。

金融経済教育についてですが、金融広報中央委員会が作成した「金融リテラシーとライフデザイン」というモデル教育資料があります。その中の「資産形成」のパートで「株式や投資信託などの投資運用商品は元本割れの可能性があります(投資は自己責任です)が、ちょっとした工夫で、元本割れの可能性を軽減することが期待できます。」と、投資商品のリスク対応につき軽いタッチで説明しています。そして、その後で複利の効果から長期・積立・分散投資のメリットへとつなげるお決まりの展開となっています。
ポイントをおさえ良くできた資料ではありますが、私はこの資料を読んだ投資経験のない方が、投資にチャレンジしようという気持ちになるとはとても思えませんでした。

もし、あなたが横断歩道で信号待ちをしているときに、知らない男から「3日後に返すから1万円貸してほしい」といきなり言われたら、あなたは1万円を貸しますか? 貸すわけないですよね。でも、相手が会社の信頼できる同僚だったらどうでしょう。「まあ1万円くいらなら貸してもいいか」と思うかもしれません。あるいは、知らない男が数十万円はしそうなロレックスの腕時計をしており、「ロレックスを預けるから1万円貸してほしい」と言ったならば1万円を貸しても問題ないでしょう。
あなたが他人に1万円を貸すというリスクある行為を取ってもいいと考えるのは、相手に信用があったり担保を取ることができる場合です。同じように投資商品に元本割れの危険性があったら、「投資しても大丈夫」と思える信用や担保がない限り、国民は預貯金を取り崩して投資に回すことはありません。もっとも、投資で発生した損失を税金で補填することは御法度なので、国がすべきは「投資しても大丈夫」という信用=安心感を国民が持てるような環境整備かと思います。

米国では国民の多くが株式や投資信託に積極的に投資を行っていますが、それは米国民が(意識しているか無意識かは別として)、長期的に①資本主義のシステムで米国経済が成長すること、②経済成長を通じて米国企業が投資家に利益をもたらすこと、に関して強い信頼を置いているからだと思います。
翻って日本の場合はどうか。バブル崩壊以降30年、デフレと少子高齢化の影響で日本経済は(名目ベースで)マイナス~ゼロ成長を続けてきました。その結果、国民の経済成長への信用は霧散してしまいました。この状態でリスク資産への投資を呼びかけても、国民が聞く耳を持たないのは当然です。
しかし、足下では商品やサービスの価格が上昇したり、31年ぶりとなる高水準の賃上げが行われたりと、デフレからインフレへの転換の兆しがようやく見え始めています。この先、マイルドなインフレが定着すれば、長期にわたって名目ベースでプラスの経済成長が期待できます。

政府は金融理論の理屈をこねくり回す前に、マイルドなインフレの定着と金融・財政政策のバックアップで、日本経済をプラス成長の軌道に乗せるグランドデザインを国民の前に提示すること。そして、理解と共感を得られるまで、国民に熱意を持って繰り返し繰り返し語りかけていくこと。その地道な努力の先に、政府が目指す資産運用立国の実現があると思います。

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閑話休題

【閑】我が家の昭和的エコシステム

我が家には嫁さんと娘が一人ずついます。対外的には家族ということになっていますが、実態は「家族」というプロジェクトを共同経営する「パートナー」という方が近いと思います。各人にはそれぞれミッションが与えられており、堅実な遂行が求められます。

「オヤジ」である私は、会社で仕事をしてお金を稼いでくることがミッションです。嫁さんはオヤジが稼いだお金を使って家事や育児をし、家計を回すことがミッションです。娘は嫁さんの作ったご飯をモリモリ食べて、学校へ行ったり、友達と遊んだりと、元気いっぱい毎日を過ごします。そして、仕事のストレスや上司のパワハラで弱ったオヤジに元気を注入し、消耗したオヤジのヤル気を再生することがミッションとなります。私は毎朝出社前に娘と握手することで、彼女から元気をもらっていました。

「家族」プロジェクトの目的は、このエコシステムの下で各人が健康で自由な毎日を送ることです。法に触れたり他人に迷惑をかけない限り、誰からも干渉されず、好きなときに、好きなことをする。これこそ最高の幸せだと、私たち「家族」プロジェクトは考えます。

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株式

【株】株式市場の季節性

10年以上も前の話ですが、三菱UFJ信託銀行の調査情報2012年3月号に「資産リターンの季節性と投資戦略」というユニークなレポートが掲載されました。今回は、このレポートのサマリーをご紹介したいと思います。

株式などの資産リターンの季節性を調べると、投資家は上半期(冬~春)にリスクを追求し、下半期(夏~秋)にリスクを回避する傾向があるそうです。この季節性の発生原因は、夜の長さの変化による季節性感情障害にあると筆者は見ています。そして、この季節性に着目することで、パフォーマンスを向上できる可能性があることが示されます。

バブル崩壊後の1990年1月から2009年12月の日本株のリターンを検証すると、1~6月と7~12月の期間に分けた場合、上半期がプラスリターン、下半期がマイナスリターンと極端な差が生じていることが分かります。なぜ、このようなリターン格差が生じるのか。1~6月と7~12月の2つの期間で最も異なるものは何か。それは夜の長さだと筆者は言います。冬至から夏至に至る期間と夏至から冬至に至る期間に、この2つの期間はぴったり一致しているからです。人間が秋から冬にかけて精神的に不調となる季節性感情障害(SAD)や冬季うつ(winter blue)といった病気が知られていますが、発症のきっかけとして夜の長さが関係していると言われています。

Kamstra et alは2003年の論文「冬季うつ:SAD株式市場サイクル」で夜の長さと株式市場リターンの季節性に関係があることを発見し、それをSAD効果と名付けました。また、Kamstra et alは2011年の論文「季節性に対応した資産配分:投資信託資金流入量からの証拠」で、直接SAD患者のデータから株式市場のリターンの季節性を検証しています。この論文において、秋に株式投信からMMFや債券投信に資金が移動し、春には再び株式投信に戻ること、そしてこの資金フローにSAD発生/回復変数が強く関係することを明らかにしました。
秋が来て日が短くなることが投資家のSAD発生を誘発し、SADは抑うつを招き、抑うつは投資家をリスク回避に誘う。SADのような季節性抑うつ症状は(程度の差はあれ)多くの人に現れるので株式市場はその影響を免れないと、この仮説は考えます。

レポートでは最後に資産リターンの季節性を利用した投資戦略が紹介されます。スイッチング戦略と筆者が呼ぶもので、リスク資産に高いリターンが期待できる上半期はリスク資産で運用し、リスク資産のリターンがマイナスになる可能性の高い下半期は安全資産にシフトするという単純な手法です。レポートではこの投資戦略の有効性も検証されています。
ほったらかし投資をモットーとする私の立場でスイッチング戦略はお薦めするものではありませんが、複数の投資戦略を組み合わせて市場に臨んでいる投資家の方にはアイデアとして面白いかもと思い、今回紹介させていただいた次第です。

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ライフプラン

【ラ】相続放棄の積極的活用術

日本FP協会の「FPジャーナル10月号」の誌上講座/相続・事業承継設計に、「債務免除だけでない相続の放棄の活用」と題した記事が掲載されています。大変興味深い内容であり、また恥ずかしながら個人的に全く認識のなかった内容でしたので、ここでFP以外の皆さんとも共有したいと思います。
相続の放棄は、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を一切承継しないための方法です。ですから、通常はプラスの財産よりもマイナスの財産(つまり借金=債務)の方が大きい場合に、選択されることが多いと思われます。しかし、それ以外の目的にも、相続の放棄が役に立つ場合があるという話です。

①次順位の人へ相続させたい場合
相続順位を進めたい場合、相続の放棄が効果的です。例えば、父(既に死亡)、母、長男(独身)、次男の4人家族を想定します。父の財産を相続した長男が死亡した場合、子のない長男の相続人は母になります。財産は親(父)→子(長男)→親(母)と世代を行ったり来たりし、母の死後再び子(次男)に戻ってきます。世代往復のたびに税金が発生します。そこで、母が相続放棄をすれば次順位の次男が相続人となり、長男から直に次男に財産を承継することができます。ただし、次男が相続すると相続税の2割加算の対象となることに注意が必要です。

②生前贈与を受けた人が争続を避けたい場合
相続人が特別受益にあたる生前贈与を受けた場合、相続財産に特別受益を加えて(持ち戻して)遺産分割協議を行います。協議の際、生前贈与が他の相続人にバレて、争続に発展する恐れがあります。この場合、相続の発生と同時に相続を放棄すれば遺産分割協議の当事者でなくなるので、生前贈与の事実を他の相続人に知られることなく、争続を回避できる可能性があります。また、相続の放棄をした者が被相続人から遺贈によって財産を取得しなければ、相続直前の贈与であっても持戻しによる課税対象とならない利点もあります。

③遺留分侵害額請求をされたくない場合
遺留分を算定するための財産は、相続人に対する相続開始前10年以内の特別受益にあたる贈与と、相続人以外の者に対する相続開始前1年以内の贈与が含まれます。相続の放棄をした者は相続人以外の者となるので、相続開始の1年以上前に贈与を受けた分については遺留分の算定対象からはずれるので、遺留分侵害額請求を受ける恐れがなくなります。

④その他の注意点
被相続人が保険料負担者=被保険者である保険契約において、死亡保険金は相続財産とならない(保険金受取人固有の財産となる)ので、相続を放棄した者でも受取ることができます。なお、死亡保険金の相続税非課税枠(500万円×法定相続人数)を算出する際の相続人数には相続を放棄した者も含めますが、相続を放棄した者が受取った死亡保険金には非課税の適用はありません。
また、被相続人が被保険者=保険金受取人である入院給付金や手術給付金で未払いのものは本来の相続財産となるので、相続の放棄をする者は決して受取ってはいけません。誤って受取ってしまうと、単純承認したものと見做され相続の放棄ができなくなってしまいます。
ほかに、厚生年金や国民年金の遺族年金や未支給年金についても相続財産に該当しないため、相続を放棄した者も普通に受給することができます。

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株式

【株】上がってよし、下がってよしの株価かな

これは愛知県のお菓子メーカー、竹田製菓(株)の創業者(故)竹田和平氏の言葉です。日本のウォーレン・バフェットと言われた竹田氏と並べるのもおこがましいのですが、今の私の心境にぴったりです。

DC年金の悩ましい問題」で触れましたが、私は来年3月で今加入している企業型確定拠出年金(DC)を脱退します。それに伴い、DCで積み立ててきた資産(約400万円)を受取ることになりますが、私はそのお金を新NISAへ移換して個別株で運用することを考えています。私は、いつも1銘柄100万円単位で購入することが多いので、今回は4銘柄の株を買うことになります。どの会社の株を買おうか、今からわくわくしています。本当は年金の足しにすべく高配当株を買いたいのですが、足下ではちょっと割高かなと思ったりしています。それから、私は基本的に逆張り系なので、売り込まれているグロース株にも目が行きます。また、高年期に差しかかってからなぜか急に地元愛に目覚めた私は、地元名古屋の企業を応援したい気持ちもあります。

しかし、まずは株の購入資金を作ることが先決です。現在、私のDC資産は日経平均インデックス投信で運用していますが、これを3月末までに売却しないと個別株の購入はできません。教科書通りにいけば、時間分散して機械的に売っていけばいい話ですが、私の悪い癖でヤマっ気が出てきてしまいました。年末年始まで引っ張って、日経平均が吹いたところで一気に売ってやろうと考えています。当てがはずれて年度末まで相場がダラダラ下がるようなら、3月にDC加入者の資格を喪失した後もDCに留まり、運用指図者として引き続き資産売却のチャンスを狙うのもありかなと思います。(日頃、買い一辺倒で売りはほとんどやらないので、勝手が分かりません。どなたか教えて下さい。)

私は「日経平均インデックス投信を高値で売ったあと、個別株が下がったところを拾いたい。」 そんな虫のいいことを考えています。今の私の気持ちは、「上がったら、下がってよしの株価かな」でした。すいません、冒頭のコメント訂正します。

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株式

【株】投資のポイント

このブログを開始したのが2021年11月。早いもので約2年が経過しました。当初、テーマを株式投資にしぼって記事をアップしていくつもりでしたが、それでは早々にネタ切れになると考え、不動産、保険、年金と対象を広げました。それでも最近はネタ切れ気味で記事の更新が遅れており、この場でお詫び申し上げます。
今回は当ブログでの考察を振り返って、今の私が各種投資商品のポイントと考えている事柄について、短くお話させていただきます。

1.株式
・超長期の時間軸で、企業の成長からリターンを得る投資。
・難しいことは考えず、お金に余裕のあるときに気に入った銘柄に投資して、後はほったらかしでいい。
・損切りは不要。とにかく投資を継続することが大事。
・不確実性が高いので、勉強したり情報収集しても、ほとんど役に立たない。
・謙虚な気持ちで相場と向き合い、相場に勝とうと思わないこと。
2.不動産
・中期の時間軸で、賃料と金利のさやを抜く(投資というよりも)事業。事業主として汗をかく覚悟が必要。
・プロの世界につき、入念な準備をしてからでないと極めて危険。
・出口まで考慮した保守的な損益シミュレーションで十分なキャッシュフローを狙えることが必要条件。
3.保険
・「保険金/保険料」のレバレッジ効果を活用して効率的にリスクに備える商品。預金ではないので元をとるという発想はない。
4.年金
厚生年金や国民年金等の終身年金は、長寿リスクに備える商品。預金ではないので元をとるという発想はない。