通常、医療保険やがん保険には、その間は給付金の支給が免責される(給付金が支払われない)○○日ルールが設定されています。そのあたりの事情をよく理解しないで契約すると、いざというときに保険が使えず大変なことになります。そこで、今回は医療保険やがん保険の代表的な○○日ルールをご紹介し、保険事故に備えたいと思います。
1.90日ルール
がん保険には加入後90日は保障がきかない「待ち期間」という期間が設定されています。この待ち期間内にがんと診断されても給付金は支払われず、契約は無効になります。では、なぜがん保険には待ち期間が設定されているのでしょうか?それは、がんは自覚症状がなくても発病している可能性があるからです。(自覚症状がなければ告知義務違反になりません。)がん保険に加入した直後にがんが見つかっても保障されないことは、是非覚えておきましょう。そして、がん保険に加入後90日間は、がん検診や人間ドックを受診しないことです。(笑) なお、最近は入院給付金や手術給付金、通院給付金等に待ち期間が設定されていない商品もありますが、がん診断時の一時金(診断給付金)はありませんので注意が必要です。
2.60日ルール
60日ルールが適用されるのは、三大疾病保障のうち心筋梗塞と脳卒中です。医療保険(特約)では、給付金の支払い条件として以下のようなルールが設定されているケースがあります。(がんについては1.の90日ルールが適用されます。)
①保険開始以後に急性心筋梗塞を発病し、初めて医師の診断を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする常態が継続したと、医師によって診断されたとき。
②保険開始以後に脳卒中を発病し、初めて医師の診断を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと、医師によって診断されたとき。
つまり、心筋梗塞や脳卒中を発症しただけでは給付金は支給されないのです。心筋梗塞では60日以上の労働制限、脳卒中では60日以上の後遺症。これが給付金支給の条件となります。
もっとも、最近は「急性心筋梗塞または脳卒中の治療を直接の目的として、手術または入院したとき」のように、60日ルールを適用しない商品もあります。
3.180日ルール
一般に、同一の傷病を原因とする入院で退院から次の入院までの間が180日以内の場合は、1回の入院とみなされます。例えば、最初に40日間入院した後で退院し、20日間自宅療養、その後再び同じ病気で25日入院した場合は、2回の入院でも1回の入院とみなされ、1回・65日間の入院とカウントされます。しかし、保障される期間は1入院支払限度日数の60日分のみとなり、残りの5日分は給付対象外となります。(1入院支払限度日数が60日の場合) なお、商品によっては異なる傷病が原因の入院であっても180日ルールが適用され、1回の入院とみなされるケースがありますので、契約に際しては必ず確認が必要です。また、同一の手術を2回以上受けた場合、その手術が一連の手術(※1)であるときは、同一手術期間(※2)内に受けた一連の手術のうち最も高額の手術についてだけ給付金が支払われるというルールもありますので、重ねて注意が必要です。
(※1)医療診療報酬点数表または歯科診療報酬点数表で、一連の治療過程に連続して受けた場合でも、手術料は1回のみ算定される手術
(※2)一連の手術で最初に手術を受けた日からその日を含めて60日間。(商品によって60日以外の場合もあり)