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【ラ】人生の目標

FIREを達成した多くの賢人たちが言うように、良き人生とは何にも束縛されず、好きなときに好きなことができることだと思います。人生の最終目標は”自由”だと言っても過言ではないでしょう。しかし、”自由”は簡単には手に入りません。”自由”の前には様々な組織や人が立ちはだかります。そして、そういった邪魔者たちを蹴散らすには権力が必要です。でも、権力を手にできるのは、一握りの運に恵まれた者だけです。では、私たち一般ピープルはどうしたらいいのか。それは、”マネー”を手にすることです。

”マネー”は権力の代わりに、邪魔者たちから自由をつかみ取ってくれます。したがって、人生の最終目標である”自由”を手に入れるための中間目標は、”マネー”となります。では、”マネー”を手にするにはどうしたらいいのか。それは、健康な心と体を維持して仕事に励み、生活費を除いた給料の残りを投資に回す。そして、このプロセスを時間をかけて愚直に繰り返すことです。これが”マネー”を手にするための手段となります。しかし、多くの人は会社から給料をもらったところで「仕事」の後工程を棄権し、「投資」まで進もうとしません。これでは”マネー”を手にすることは叶いません。

もし、あなたが”自由”を手に入れたいと本気で思うのなら、「仕事」の後工程である「投資」まできっちりやり切ることです。

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【ラ】大相続時代と資産所得倍増プラン

日本は団塊の世代が超高齢者となる「大相続時代」を迎えようとしています。大相続時代についてMUFG資産形成研究所は1月の月次レポート「資産所得倍増プランの実現に向けて」の中で、「団塊の世代を含む70歳以上の高齢者層に最も家計金融資産が偏在している環境下、年間死亡数が140万人を超える大相続時代を迎えることになります。特に、団塊世代が80歳代に突入する2030年代は年間死亡数が160万人台となり、現在の約145万人から2040年のピークである約167万人へと大幅な増加が見込まれています。」(P15)と伝えています。

政府は資産所得倍増プランの目標として、家計による投資額(株式・投資信託・債券等の合計残高)の倍増を掲げています。足下(2023年9月末)の家計の有価証券投資残高は285兆円ですが、これを570兆円レベルまで持ち上げようというのです。新NISAがスタートしてNISA全体の残高が倍増したとしても25兆円ほどですから、なかなかハードルの高い目標です。そして、さらに目標の達成を困難にするのが冒頭の「大相続時代」です。株式を相続した相続人は、後になって「二重課税」に悩まされることになります。そのため、被相続人(予定者)の多くが相続発生前に株式を売却し、キャッシュの状態で相続する道を選ぶことになります。結果、株式は次世代に受け継がれることなく、家計の有価証券投資残高は減少します。

ここで、相続株式の二重課税の問題についてお話します。(上場)株式を相続した相続人は、相続した株式を相続発生時の時価(※1)を基準に相続税を納めます。そして、何年か後に相続した株式を売却すると、譲渡益(※2)に関し所得税を納めることになります。問題は譲渡益を計算する際の取得費の考え方です。相続人は相続時の時価をベースに相続税を払って株式を取得したわけですから、相続時の時価を取得費(取得原価)とすべきです。しかし、我が国の税制はそうなっていません。なんと、被相続人が株式を取得した時点の価格を取得費とする定めです。
被相続人が何十年も前に株式を購入したような場合、多額の含み益が生じている可能性が高いです。相続人は相続時点の含み益を反映した時価で、既に相続税を納付済です。それなのに、相続人が相続株式を売却すると、改めて相続時点の含み益に所得税を課税されてしまい、大きな経済的ロスを被ることになります。(米国では相続時の時価を取得費とするルールになっています。) 相続税は相続による経済的価値の移転に着目した課税、所得税は資本所得への課税、と税目の体系が異なるから二重課税には当たらない、というのが税務当局の見解のようですが、私には全くの屁理屈に思えます。
(※1)次の価額のうち最も低いもの。①相続発生日の終値②相続発生日の月の終値の平均③相続発生日の前月の終値の平均④相続発生日の前々月の終値の平均
(※2)譲渡益=売却金額ー取得費ー譲渡費用

政府が資産所得倍増プランを本気で実現したいなら、「大相続時代」が始る前に株式に係る相続税と所得税の二重課税を解消すべきです。もし徴収税額の減少が心配なら、現在余りにも優遇されている不動産の相続税を課税強化すればいいのです。その方が相続税制の資産種別間の不均衡も是正されて一石二鳥だと思いますが、いかがでしょう?

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【ラ】年の瀬に死について考える

お正月を1週間後に控えた年末に、縁起でもないテーマですいません。
私は来年60歳となります。そろそろ死というものが視野に入ってくるお年頃です。なので、ここらで一度整理しておこうと思った次第です。

私事で恐縮ですが、私の亡くなった祖父は、明治生まれの大変タフな人でした。虫歯になると歯にたこ糸を巻き、もう片方の糸の端を木の幹に巻き付けてから頭を後ろにそらす。そうやって自分で虫歯を抜いていたそうです。(これは私の父から聞いた話です。麻酔なしで歯を抜くなんて、それって拷問だと思うのですが……。我が祖父ながら恐るべし。) そんな祖父が老衰で死ぬ間際、死ぬのが怖いと泣いていたそうです。
死の恐怖は一体どこから来るのでしょう。宗教的な要素を除けば、死に至る過程で感じる精神的肉体的痛みと、人が「生き物」から「モノ」と化すいまわの際の漠とした恐怖感からではないでしょうか。

がんを始めとした疾病に伴う痛みに関しては、昨今緩和治療の進歩でかなり軽減してきているようです。(骨のガンなど相変わらず厳しい痛みを伴うものも一部あります) また、放射線や抗がん剤といった治療の結果生じる痛みもありますが、痛みを伴う治療は敢えて行わないというQOL優先の選択肢を取ることで、その類いの痛みからは解放されます。

さて、いまわの際の恐怖ですが、実は私はあまり心配していません。なぜなら、高齢者となり認知症になってしまえば、恐怖も何も感じないだろうからです。認知症バンザイ! また、運悪く認知症とはならず、クリアな意識の中で死を迎えるはめになっても、いまわの際の正にその瞬間、意識は眠りにつくかのようにフェードアウトし、安らかにくたばることができるだろうからです。私は生き物には安らかに最期を迎えるためのソフトが予めインストールされているはずと、勝手に思っています。
もっとも、健康のため適度に体を動かし(海と山)、お酒の飲み過ぎに気をつけ、楽しく仕事と投資を続けることができれば、当面死を気にする必要はなさそうです。

皆さん、良いお年をお迎え下さい。

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【ラ】相続放棄の積極的活用術

日本FP協会の「FPジャーナル10月号」の誌上講座/相続・事業承継設計に、「債務免除だけでない相続の放棄の活用」と題した記事が掲載されています。大変興味深い内容であり、また恥ずかしながら個人的に全く認識のなかった内容でしたので、ここでFP以外の皆さんとも共有したいと思います。
相続の放棄は、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を一切承継しないための方法です。ですから、通常はプラスの財産よりもマイナスの財産(つまり借金=債務)の方が大きい場合に、選択されることが多いと思われます。しかし、それ以外の目的にも、相続の放棄が役に立つ場合があるという話です。

①次順位の人へ相続させたい場合
相続順位を進めたい場合、相続の放棄が効果的です。例えば、父(既に死亡)、母、長男(独身)、次男の4人家族を想定します。父の財産を相続した長男が死亡した場合、子のない長男の相続人は母になります。財産は親(父)→子(長男)→親(母)と世代を行ったり来たりし、母の死後再び子(次男)に戻ってきます。世代往復のたびに税金が発生します。そこで、母が相続放棄をすれば次順位の次男が相続人となり、長男から直に次男に財産を承継することができます。ただし、次男が相続すると相続税の2割加算の対象となることに注意が必要です。

②生前贈与を受けた人が争続を避けたい場合
相続人が特別受益にあたる生前贈与を受けた場合、相続財産に特別受益を加えて(持ち戻して)遺産分割協議を行います。協議の際、生前贈与が他の相続人にバレて、争続に発展する恐れがあります。この場合、相続の発生と同時に相続を放棄すれば遺産分割協議の当事者でなくなるので、生前贈与の事実を他の相続人に知られることなく、争続を回避できる可能性があります。また、相続の放棄をした者が被相続人から遺贈によって財産を取得しなければ、相続直前の贈与であっても持戻しによる課税対象とならない利点もあります。

③遺留分侵害額請求をされたくない場合
遺留分を算定するための財産は、相続人に対する相続開始前10年以内の特別受益にあたる贈与と、相続人以外の者に対する相続開始前1年以内の贈与が含まれます。相続の放棄をした者は相続人以外の者となるので、相続開始の1年以上前に贈与を受けた分については遺留分の算定対象からはずれるので、遺留分侵害額請求を受ける恐れがなくなります。

④その他の注意点
被相続人が保険料負担者=被保険者である保険契約において、死亡保険金は相続財産とならない(保険金受取人固有の財産となる)ので、相続を放棄した者でも受取ることができます。なお、死亡保険金の相続税非課税枠(500万円×法定相続人数)を算出する際の相続人数には相続を放棄した者も含めますが、相続を放棄した者が受取った死亡保険金には非課税の適用はありません。
また、被相続人が被保険者=保険金受取人である入院給付金や手術給付金で未払いのものは本来の相続財産となるので、相続の放棄をする者は決して受取ってはいけません。誤って受取ってしまうと、単純承認したものと見做され相続の放棄ができなくなってしまいます。
ほかに、厚生年金や国民年金の遺族年金や未支給年金についても相続財産に該当しないため、相続を放棄した者も普通に受給することができます。

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【ラ】相続は難しい

相続は難しい、といつも思います。そこで、何でこんなに難しいのか考えてみました。たどりついた答えは、「相続は文脈によって意味合いが変わるから」です。相続関連の同一のワードであっても、それが遺言や遺産分割のような法律に係わる文脈で使われるのか、相続税の節税対策のような税金に係わる文脈で使われるのかによって、意味合いが異なってきます。そして、文脈が不明なまま相続の話をすると、聞き手は話し手の意図を理解できず混乱することになります。弁護士や司法書士を訪問する相談者は法律の問題で悩んでいるでしょうし、税理士を訪問する相談者は税金の問題で悩んでいるものと推測できます。しかし、FPの場合は相談者が抱える問題が何なのか様々なケースが想定され、予断は禁物です。相談者の意図を当初の段階で確認しておかないと、誤った情報を相談者に提供することになりかねません。十分に注意したいものです。
それでは、相続に関連するワードの解釈が文脈によっていかに変わるか、実例をいくつか見ていただきたいと思います。

まずは、「相続財産」です。遺産分割の対象となる財産のことですが、例えば、被相続人が被保険者となっている「死亡保険金」は、民法上は「相続財産」に該当せず、遺産分割の対象にもなりません。保険金受取人の固有の財産とされるからです。また、原則、遺留分(※1-a)の対象にもなりません。(※2) しかし、税法上は「死亡保険金」を「みなし相続財産」として「相続財産」に含め、相続税の計算をします。被相続人の死亡に伴い支給される「死亡退職金」も同様で、民法上は「相続財産」に該当しませんが、税法上は「みなし相続残産」として相続税が課税されます。
さらにややこしいのが、「遺族年金」です。厚生年金や国民年金等公的年金の「遺族年金」は、受給権者の固有の財産として民法上も税法上も「相続財産」に該当しません。しかし、企業年金のうち確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)の「遺族年金」は、死亡退職金に準じて相続税の対象となります。同じ企業年金でも厚生年金基金の「遺族年金」は、公的年金に準じ相続税は課税されません。

次は、「遺産分割の期限」です。民法上はいつまでに遺産分割を終えなければいけないか、特に「期限」は設けられていません。しかし、民法の改正で2023年4月より特別受益(※1-b)や寄与分(※1-c)の主張をする場合に限り、相続開始後10年以内に遺産分割を終える必要が生じました。また、不動産登記法の改正で2024年4月より、相続が発生し不動産の所有権を取得したことを知ったときから3年以内に、不動産の登記を名義変更することが義務付けられました。
税法上は、相続が発生したことを知った日から10ヶ月以内に申告し、相続税を納税しなければいけません。10ヶ月以内に遺産分割協議がまとまらない場合、配偶者控除や小規模宅地の特例等の相続税軽減措置は使えません。ただ、相続税申告時に「3年以内の分割見込書」を提出すれば、遺産分割が成立した時点で更正請求を行うことで、遡って特例の適用を受けて納め過ぎた税金の還付を受けることができます。

最後は、「持ち戻し」についてです。民法での「持ち戻し」とは、生前に被相続人から特別受益を受けた人がいる場合、その特別受益を相続財産に加えて遺産分割を行うことをいいます。これにより相続人間の公平を図ることができます。特別受益に時効という概念はありませんので、どれだけ古い贈与であっても、特別受益として「持ち戻し」の対象とすることができます。ただし、遺留分を計算する際の特別受益については、10年以内と期限が設定されています。
また、税法での「持ち戻し」とは、相続発生の直前に行われた生前贈与はその効果が否認され、贈与された財産を相続財産に加えて相続税を計算する制度をいいます。2023年度税制大綱では、「持ち戻し」の対象が従来の相続開始前3年分から7年分に延長されることとされました。(2024年度の贈与から適用。経過措置あり。)

(※1)ここで、用語を整理しておきます。
(a)遺留分:遺贈や生前贈与などに対抗して主張できる、自己の最低限の相続分のこと。
(b)特別受益:遺贈や生前贈与で被相続人から特別な利益を得た人が相続人の中にいた場合の、その相続人が得た利益のこと。被相続人から贈与された住宅取得資金や結婚資金等が該当。遺産分割の際、その相続人の持ち分から控除します。
(c)寄与分:介護等によって被相続人の財産の維持や増加に貢献した人が相続人の中にいた場合の、その相続人が与えた利益相当のこと。遺産分割の際、貢献に応じてその相続人の持ち分に加算にします。
(※2)最高裁の判決では生命保険金について、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、特別受益に準じて持戻しの対象となると解する」とされています。つまり、保険金受取人の受取る死亡保険金が他の相続人とのバランスを大きく崩すほど多額な場合には、保険金受取人が遺留分侵害額請求の対象となりうるということです。

【おまけ】
もうひとつ悩ましいのが、民事信託(家族信託)と相続の関係です。信託財産は民法上「相続財産」ではないとされており、税法上も信託受益権を「みなし相続財産」として取り扱う旨、規定されています。(「みなし相続財産」として課税されるということです。)そのため、第一受益者に続く第二受益者が信託契約に設定されていれば、第一受益者に相続が発生しても信託受益権は遺産分割の対象とならず、信託契約に従って第二受益者に直接承継されます。ただし、第二受益者が設定されていない場合は、他の相続資産と一緒に遺産分割の対象となります。

次に、信託受益権が遺留分侵害額請求の対象になるかです。かつては死亡保険金と同様、「みなし相続財産」であるから遺留分の請求対象とはならない、とする説が有力でした。しかし、現在では受益者の死亡で移転した信託受益権は遺留分の請求対象となるとする説が有力です。民事信託の信託受益権は、原則、遺産分割の対象とならない点では死亡保険金と同様ですが、遺留分の対象となる点で死亡保険金と異なる点に注意が必要です。

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【ラ】現実的なFIREの手法について

世のFIRE本に登場するのは、多くが高給サラリーマンだったりアベノミクス相場に上手く乗った投資家だったりと、私たち一般ピープルの参考になりにくいケースが多いように思います。そこで、今回は現実的な年収や資産運用を前提とした、一般ピープルが再現可能なFIREプランを検討してみたいと思います。

まず、【図1】をご覧下さい。これは一組の男女が22歳から45歳まで正社員として働きながら、給料の一部を投資に回し45歳でFIREを実現。その後、積み立てた資産を45歳から年金支給開始年齢の70歳まで取崩しつつ、70歳以降は公的年金によって終身にわたり生計を維持していく様子を表したものです。
計算の前提ですが、年収については手取りベースで男性300万円、女性200万円、税・社会保険料控除前ベースで男性400万円、女性250万円とします。【表1】をご覧下さい。年齢別(控除前ベース)年収の中位値を記しています。【図1】で22歳から45歳までの(控除前ベース)平均年収を、男性400万円、女性250万円とすることが現実的であると納得いただけると思います。

男性と女性は30歳でカップルとなり、以後、家計を共有するものとします。その場合、家計年収は手取りで500万円ですが、うち300万円(月額25万円)を生活費に回し、残りの200万円を投資に回すとします。30歳から45歳までの15年間で毎年200万円を積み立て年利3%で運用したとすると、FIRE時に運用資産は3,720万円まで拡大します。
 年間積立額×3%15年の年金終価計数=総積立額 → 200万円×18.599=3,720万円
次に、この積立金を引き続き3%で運用しながら45歳から70歳までの25年間で均等に取り崩すと、年間取崩額は212万円となります。
 総積立額×3%25年の資本回収計数=年間取崩額 → 3,720万円×0.057=212万円
最後に、70歳から受取る公的年金(国民年金、厚生年金)について概算します。まず、国民年金ですが、20歳から60歳までの40年間フルに加入し保険料を支払った場合に満額の78万円がもらえます。本事例では20歳から22歳までの2年間は国民年金に未加入だったとします。また、FIRE後、45歳から60歳までは自己負担で国民年金保険料を支払うものとします。
 国民年金=78万円×38年÷40年=74万円
厚生年金は正社員時代の税・社会保険料控除前の年収累計に0.55%をかけて算出します。(概算値)
 厚生年金(男性)=400万円×23年×0.55%=51万円
 厚生年金(女性)=250万円×23年×0.55%=32万円

したがって、家計の公的年金の合計額は、74万円×2+51万円+32万円=231万円
さらに70歳まで支給を繰り下げると、 231万円×1.42=328万円、となります。ここから、介護保険料や国民健康保険料が控除されますので、手取りベースでは300万円とします。
これでカップル成立後の30歳から45歳の間と、70歳以降(終身)の期間は年間300万円程度の生活費を確保できることになります。45歳から70歳までの25年間は年間100万円の不足が生じますが、二人でアルバイトやパート、投資等でやり繰りするものとします。

この事例のポイントは、①正社員として厚生年金に加入し老後終身の生活保障を確保する、②カップルとなることで家計を共有し一人あたりの生活費を削減する、③年平均3%の運用を行う、の3点です。このうち、①については2022年10月から社員101人以上(2024年10月からは51人以上)の会社で2ヶ月を超える雇用の見込みがある方は厚生年金に加入することが義務付けられるので、実現のハードルはかなり下がります。②については、FIREの目的を共有できる相手であれば、同性でも構いません。また2人より3人、3人より4人……、のグループの方が効果は大です。とにかく、家計の共有により一人あたりの生活費を削減することが目的です。③については、日本株でも米国株でもいいですがインデックス投信をドルコスト平均法で買っておけば、年平均3%程度の利回りは十分期待できると思います。

問題は月額25万円、年間300万円で生活が成り立つかです。住宅費や子供の教育費を考えると、到底予算は足らないでしょう。足りたとしても、コスト削減最優先の日々に疲れ果ててしまうかもしれません。もし25万円生活が無理なら【図1】のモデルを出発点として、生活が成り立つ水準まで給与や運用で年収アップを図る必要があります。【表2】に年齢別の年間消費支出の全国平均を記していますが、全年齢層で年間支出は300万円を上回っています。

現実的なFIREを考えると、正社員になることは絶対条件です。正社員になれば厚生年金や健康保険の保険料の半額を事業主に負担させることができます。私たち労働者は、正社員としてこの特権を行使しない手はありません。もう一度【図1】をご覧下さい。20歳~45歳時の300万円から70歳以降の300万円に向かって矢印が伸びています。これは20歳~45歳の間の正社員としての年収が、自動的に70歳以降の厚生年金額に反映される様を表しています。私たちは自分で年金の積み立てを行う必要はなく、国が給料の天引き分と事業主の拠出分を合わせて年金の積み立てを行ってくれるのです。
経済的条件に恵まれない一般ピープルがFIREを実現するには、厚生年金の仕組みを知り、そして使い倒すことが必要です。

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【ラ】一部相続人への遺産分割の非通知について

相続が発生したときに関係が疎遠な相続人(例えばAさん)がいたりすると、Aさんには相続発生の事実を知らせず内々で遺産分割の手続きを進めようとなりがちです。では、最後までAさんに隠し通すことは可能なのでしょうか。また問題はないのでしょうか。以下で、ケース別に確認してみたいと思います。

まず、遺言がないケースです。遺言がない場合、預金の名義変更や不動産の相続登記等の手続きに遺産分割協議書の提出を求められますが、同協議書には相続人全員の直筆の署名と実印の押印が必要です。そのため、一部の相続人に内緒で遺産分割手続きを進めることは不可能です。

次に、公正証書遺言以外の遺言(自筆証書遺言や秘密証書遺言)があるケースです。この場合、遺言書の開封前に家庭裁判所による遺言書の検認(※1)を受ける必要があります。検認に先立って、家裁は相続人全員に宛てて「検認期日」の連絡を入れます。一部相続人に内緒にしようと思っても、ここでバレてしまいます。

最後に、公正証書遺言があるケースです。この場合、遺言に遺言執行者(※2)の記載がある場合と、ない場合に分かれます。遺言執行者の記載がある場合、民法第1007条2項の規定により、遺言執行者は就職後にその旨を全ての相続人に通知することが義務付けられています。そして、ここでいう通知義務は就職の事実を知らせるだけでは不十分で、遺言書の内容まで知らせるべきと考えられています。従って、このケースでも、一部相続人に内緒にすることはできません。
では、公正証書遺言に遺言執行者の記載をしなければ、一部相続人に内緒で遺産分割手続きを進めることができるのでしょうか。残念ながら、それも難しそうです。遺言執行者の記載のない遺言の場合、金融機関によっては名義変更の手続きに応じないところがあるようです。また、通知されなかった相続人から、遺留分侵害額請求を提訴される可能性もあります。従って、後々のトラブルを回避するためにも、相続人全員に公平に遺産分割の内容を通知することが望ましいと思われます。
(※1)検認:相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言の形状、加除訂正の状態、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続き。尚、遺言の有効・無効を判断するものではないので注意が必要。
(※2)遺言執行者:遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きを行う人のこと。遺言執行者は各相続人の代表として、遺言の内容を実現するため様々な手続きを行う権限を有している。

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【ラ】介護・認知症プラン

人は誰でも最後はPPK(ピンピンコロリ)で逝きたいといいますが、今後は難しくなるかもしれません。2021年の厚生労働省の健康寿命調査では、男性は72.68歳、女性は75.38歳でした。医学の進歩で今後とも男女の平均寿命は伸びていくでしょうが、健康寿命の伸びは限定的と思われます。結果、介護・認知症ステージの期間が伸びることになります。その場合、人々はNNK(ネンネンコロリ)で最後を迎える可能性が高くなります。
介護・認知症はゆっくりやってくることもあれば、いきなりやってくることもあります。高齢者を抱える家族としては、早い段階から準備にはいっておいた方がいいです。私自身、認知症で要介護状態の親がいます。今回は、高齢者の介護・認知症への備えとして、何をどういう順番で進めていけばいいのか、皆さんと考えてみたいと思います。

親が認知症となり意思能力を失った場合、まっさきに困るのは親の預金口座が凍結されることです。子が親の介護費用を親の口座から支払おうにも、銀行は支払いに応じてくれません。そうならないために、介護・認知症プランの第1ステップとして、親が認知症になる前に、親の普通預金のキャッシュカードとパスワードを子と共有しておきたいです。また、親の定期預金は、できれば普通預金に振り替えておいた方が無難です。銀行の中には、予め親の代理人を登録できるところがありますので、確認のうえ可能であれば必ず登録しましょう。生命保険では指定代理請求人を登録できますので、登録しておきましょう。親が株式や投信をお持ちなら、証券会社の代理人登録サービスを利用してください。以上が、まずやっておきたいことです。

次に、親が要介護の状態となった場合のキーマン(司令塔、情報集約者)を、家族の中で決めておいてください。いざというときにリーダーとなってプランを推進していく役割です。そして、親の介護対応について本人の希望を聞き、その実現可能性につき人繰りと金繰りの観点から検討します。

【図1】は厚労省が全国の40歳以上の男女に、どこでどのような介護を受けたいかについてアンケートを行ったものです。男女とも約3/4が自宅での介護(①~③)を希望しています。住み慣れた環境で介護を受けたいとの思いは強いようです。皆さんの親御さんも、自宅での介護を希望する可能性が高いと想定しておきましょう。自宅介護の問題は、介護を行う「人繰り」をどう付けるかです。絶対避けなければいけないのは、家族が介護を丸抱えして介護離職に追い込まれたり、精神的肉体的に追い詰められて家族の方が病んでしまうことです。

そのためには、公的介護保険の制度を理解し、使い倒すことです。介護保険の居宅サービス(介護担当者が自宅を訪問し親のサポートをしてくれる)や、通所サービス(親が介護施設を訪問し、レクリエーションや食事、入浴を楽しむ)をフルに活用し、家族の負担を最低限に抑えます。そして、残った介護対応に家族の誰が当たるのか、その負担に耐えられるのか、を検討します。
家族が負担に耐えられない場合は、残念ですが親の希望に反して介護施設への入所を検討せざるを得ません。各地の包括支援センターが無料で色々な相談に乗ってくれるので、積極的に活用するといいです。

親が【図1】の④~⑥(特に④)を希望した場合は、「金繰り」が問題となります。介護に係る費用は、親の金銭で賄うことが大前提です。そのため、親の経済力、キャッシュフロー、ストックの資産について、親から情報を入手しておく必要があります。年金や株の配当といった正のキャッシュフローと、借入金の支払い等の負のキャッシュフローの金額。株式や不動産、保険といったストックの資産の金額です。
年金以外にも収入があるようなら、自己負担で介護サービスを追加することができますし、不動産や株式等の資産があれば、有料老人ホームの入居一時金に充当することができます。

介護施設も種類が分かれています。公的施設か民間施設か。長期入所者用か短期入所者用か。医療行為が必要な人向けか、不要な人向けかなど。事前に近隣の介護施設をチェックし、予算と目的にあった施設があるか確認しておきたいです。

親が認知症になったら資産が凍結されると言いました。預金や生命保険等、予め代理人を登録することが可能な資産は安心ですが、親御さんが不動産をお持ちの場合は、別途方策を検討しなければいけません。不動産は預金のように代理人を登録することはできませんが、信託契約を子と締結することで代理人と同様の効果を持たせることができます。具体的には、親を委託者兼受益者、子を受託者とする信託契約(家族信託)を締結する方法です。この場合、親名義の資産は子の名義に移るため、契約締結後に親が認知症となり意思能力を失っても、子が契約者として親の資産の管理・売却ができます。また、信託契約には、不動産以外にも預金や株式等の管理・運用を対象とすることも可能です。相談には、司法書士や行政書士等の法律専門職が乗ってくれます。(実際に契約書を作成する場合は手数料が必要になります。)

最後に。親の希望を可能な限り叶える形で介護・認知症プランを設定して、それで終わりではありません。大事なのは、介護・認知症プランが実際に走り出した後です。親が意思能力を失った後は、子が主人公です。子は、介護・認知症プランが問題なく回っているか、定期的にチェックしなければいけません。介護担当者や施設のスタッフにヒアリングし、親の介護における問題点の把握に努めます。そして、必要に応じ、家族だけでなくケアマネージャーを交えてミーティングを開き、対応を検討します。家族と介護関係者との良好なコミュニケーションが、親への上質な介護サービスの提供につながります。

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【ラ】二世代連結ライフプラン

遺産相続のトラブルは、その多くが遺産総額5,000万円以下の中流家庭で起こっています。法定相続人3人の相続税非課税枠は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となりますから、配偶者+子2人が相続人のケースでは5,000万円はほぼ非課税で相続可能です。にもかかわらずトラブルが発生するということは、遺産分割で揉めるということでしょう。
このように、相続対策は不要な中流家庭においても遺産分割に係るトラブル防止の観点から、相続対策は必須のアイテムとなっています。

また、高齢者の多くが認知症に至ります。80歳後半では男性の35%・女性の44%が、95歳では男性の51%・女性の85%が認知症になるといわれています。万全の相続対策を講じたとしても、それ以前に到来する介護・認知症ステージにおける対策が不十分では、安心できる高齢期を送ることはままなりません。私は、介護・認知症対策(プラン)を子世代と共有しておくことをお勧めします。
いざ自分が介護・認知症の状態になったとき、どのようなサポート態勢を望むのか、金銭的負担はどうするのか、年金、預貯金、保険等の資産状況を事前に子世代に開示するとともに、意見交換しておくのです。

子世代にとっても、介護・認知症の対応に係る親世代の希望や経済状況の情報に触れることはウェルカムだと思います。親世代の介護に係るコストは巨額になりますから、予め親世代から情報入手した上で、子世代のライフプランに織り込むことが望ましいです。
また、相続・遺言対策(プラン)の一環で親世代の資産の一部を子世代に前広に贈与することで、子世代のライフプランを充実したものにできます。

今後の人生100年時代を念頭におくと、上図にあるように親世代のライフプラン~リタイアメントプラン~介護・認知症プラン~相続・遺言プランを、子世代のライフプランと連結することで、2世代のプランをより満足度の高いものにできると思います。
自分の認知症発症後の世話について子供に相談したい親や、親の資産の生前贈与について相談したい子供は多いでしょう。親子がざっくばらんに意見を交わす場を設定し、話し合いの結果を二世代連結ライフプランにまとめるのはFPの仕事です。
必要に応じ、司法書士、税理士、社労士等の士族をコーディネートするのはFPにしかできません。

年金や医療等の保険料負担で高齢者世代に仕送りを強いられる若年世代の貧困が、社会問題化しています。経済的に余裕のある高齢者世代は、若年世代にお返しをする必要があります。そのためのスキームの一つが、今回お話した二世代連結ライフプランです。


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【ラ】人生100年時代を生きる

1月7日付けの日経新聞朝刊に「今世紀中に人類の最終寿命が130歳まで延びる可能性は13%」とした論文が発表されたとの記事が掲載されました。人生100年時代というワードは最近色々なところで目にしますが、実際すぐそこまで来ているようです。でも、「人生100年時代とは」と問われて、即答できる人は少ないでしょう。別に正解があるわけではありませんが、私は次のように理解しています。
健康寿命を全うした後のステージを、高度な医療・介護のサポートを受けながら、尊厳を維持し自身の意思に従ってゴールに向けて進むこと。

人生100年時代=健康寿命100年時代、であればいうことはないのですが、残念ながらそうはいきません。がんや認知症の早期発見が可能となり、健康寿命もそれなりに延びるとは思います。しかし、現在であれば命を諦めざるを得ない病気も、医療の進歩により治療を続けながら生き長らえることができる。これが近未来の人生100年時代の姿ではないでしょうか。
このことは、そのまま高齢期の生活費、医療費、介護費の増大につながります。そして、超高齢化は少子化と同時に進行するので、公的医療・介護の財政は逼迫し、私たちの自己負担増大は避けられないでしょう。
一方、高齢期の収入の中心である公的年金(国民年金、厚生年金)は、今後マクロ経済スライドの影響で年金額が徐々に減額される予定になっています。さらに、海外で高まっているインフレ圧力が国内に伝播した場合は、年金額の実質価値が減少することになります。

このように、人生100年時代を展望した場合、高齢期のコストは上昇し収入は低下するとの憂鬱な未来が待っています。では、私たちは人生100年時代を前に、何をすればいいのでしょうか?先にもお話しましたが、これからは国が所管する公的制度(医療・介護)をあてにすることは危険です。自分自身の身は、自分で守らなければいけません。現在であれば、最後は生活保護というセーフティネットに頼れますが、今後は無理かもしれません。

では、自助努力といって具体的に何をすればいいのか。私はまず可能な範囲で、「終身もの」で超高齢期の様々なリスクをヘッジすることだと考えます。「終身もの」とは「終身」と名の付く金融商品を称して私が名付けたものです。終身年金、終身医療保険や終身がん保険などです。長寿リスクをヘッジする終身年金としては、現下のマイナス金利下で役に立つのは公的年金しかありません。民間でもトンチン年金という終身年金が売られていますが、割高な保険料に対し年金額が小さく有効ではないです。できるだけ長く働き公的年金の年金額を積み増すとともに、繰下げを行うことが効果的です。
医療保険やがん保険では、終身保障のタイプに加入することで今後の公的医療の給付減や自己負担の増加リスクをヘッジします。ただ、民間の医療保険やがん保険には給付日数や給付額に上限が設定されており、完全なリスクヘッジにはなりませんので、ご注意ください。尚、単に「終身保険」と言われる生命保険は死亡保険の類ですから、ここでの検討対象にはなりません。

次に、本業を定年退職した後も副業と資産運用を継続することで、年金収入の減少リスクをヘッジすることが考えられます。定年退職後も続けるのですから、好きな仕事、楽しい仕事を副業にできれば理想的です。また、本業退職後は資産を取り崩すのみではなく、一部で運用を継続し配当を得ることができれば、さらに年金の補完になります。
今後のインフレリスクに対抗するには、実質価値が減価する預貯金等キャッシュ運用は避けた方がよく、現物投資が効果的です。株式投資もいいですが、不動産投資はさら効果的です。今から現物投資のノウハウ習得に努めるといいでしょう。また、通貨の分散も必要になるかもしれません。

最近、FIREがブームとなっていますが、私を含めシニア世代こそFIREのエッセンスを学ぶ必要があるように思います。